今日は明日の前日だから

わたしはおもう。わたしはつづる。あなたにみてほしいのは、あなたがあなただから。

ぐる島。

2006-10-20 20:24:32 | Weblog
あたしってばかだから、いっつもどこにいるのかよくわかってないのよねえ。
たったいまきづいたら果てしなくひろがる金色の草原に三本の矢に選ばれなかった四本目みたいにつきささってたのよ。
そう、つきささってたの。
ジャンプしようとする。
土くれたちがあたしをつかむ。
「いかないでー。いかないでー」
その声はあたしのきらいな甘ったれた友人に似ていて、あたしは結局ぐる島のやつか、と思う。
ぐる島、というのはあたしがつけたあだ名。「福島」っていうんだけど、すぐにだれかとぐるになりたがるからぐる島。ちょうちょうちょおーうやなやつ。だけどもてる。ちなみにうちは男子校。他校の女子にもてる。そう、あたしは男です。
あたし、っていってるのはなんでだろう。
言葉遣いが女っぽいのはなんでだろう。
でも、きづいたらあたしはくどいようだが金色の草原にささっていて、「あたし」だった。
いろいろ思い出してみる。
ぐる島のこと、学校のこと。ぼんやりとしかおもいうかばない。
すると。
ほんっとーにすると。
ぼん、ぼん、っちょっちょいちょい、と大声でいいながらぐる島が出てきた。
このときはじめてあたしはぐる島の顔を思い出した。
「村井、あんた元気?」
「いや、見てのとおりよ」
「あんた、あしたから女の体に入ってもらうから」
「はあ?だれ?」
ぐる島は意を決したかのように云った。
「俺の彼女」
なんで?あ、思い出した。ぐる島の彼女(やつは彼女だけは大事にする)は交通事故にあったんだ。あれ、あたし、そのとき。
「お前だろ?みりかの背中押したの。俺おぼえてっぞ。つぐなえよ。また逢おう」
それであたしはあたしなの?
あたしって村井って云うの?



フラッシュがたかれたような気がした。それもポスターを撮るような大仰なやつが。


みりか、みりかあ、声が聞こえる。
あ、かちさん。かちさんだね。

こうしてふたりは幸せに暮らしたとさ。
かちさん、愛してる。


で、村井は?

今、天国と地獄の境目で、そんなもんねーよ、と暴言を吐き、殺された。
つまり、やつは三度殺された。

でもあたしはかちさんを愛している。
それでいい。