感染症内科への道標

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ASCO 悪性腫瘍で治療中の成人における発熱性好中球減少症抗菌薬野望、外来治療ガイドライン 2013

2013-04-14 | 臓器別感染症:全身・皮膚・軟部組織
Antimicrobial prophylaxis and outpatient management of fever and neutropenia in adults treated for malignancy; American society of clinical oncology clinical practice guideline
Christopher R. Flowers et al

発熱を認めていない患者での発熱性好中球減少症のリスクをどのように評価するか?
A-1 a. 全体的に評価(必要に応じて感染症専門医コンサルテーション);患者、癌、治療関連ファクター。ASCO WBC growth factors guidelinesに該当する患者ではG-CSFを投与
A-1 b. 好中球100を下回る状態が7日間以上と予想される状態でのみ抗菌薬予防投与を考慮するべきである。
A-1 c. 侵襲性真菌感染症のリスクが6-10%以上と予防され、好中球100を下回る状態が7日間以上と予想される場合に抗真菌薬は制限する。 
A-1 d. ステロイド 20mg 以上が1か月以上の状態ではPneumocystis jiroveciiに対する予防投与の対象である。 
A-1 e. HBV再活性のリスク患者では抗ウイルス薬を予防投与する。 
A-1 f. 特性の血液悪性腫瘍を治療する際にはseropositive患者でHSV, VZVの再活性化予防投与をするべきである。 
A-1 g. 患者と家族はインフルエンザワクチンの投与を行う。 

外来ではどのような予防投与薬を用いるか?
・フルオロキノロン(グラム陰性桿菌の耐性率が20%を超える地域では効果が乏しいかもしれない)
・カンジダのリスクが高い場合は経口アゾール又は経静脈的にエキノキャンディン。アスペルギルスのリスクが高い時にはmold active triazole
・Pneumocystis jirovecii予防にはST合剤 
・HBV再活性化予防にはLamivudine
・ヘルペスウイルスを予防するためにはnucleoside analog
・インフルエンザワクチン、暴露の人でリスクがある人はneuraminidase inhibitorの予防投与が考慮されるかもしれない。 

追加の予防処置
・職員の手指衛生 
・高濃度のairborne fungal sporesがある環境を避ける。 
・HEPA filer, マスク、靴の履き替え、栄養介入、ガウン、グローブはルーチンでは必要ない。;耐性菌予防でのみ考慮されるべきである。

外来治療の対象は?
・MASCC、Talcott’s ruleで評価。低リスクであっても個々で評価
・低リスク患者でも離院前4時間は経過観察 
・Psychosocial and logistic requirements
クリニック、病院から1時間以内又は48km以内
主治医の同意 
コンプライアンス 
付き添い家族 
ノンプライアンスの既往がないこと


3日間の経過観察
頻回のtelephone contact
好中球モニタリング 
2-3日で改善しなければ再評価、入院考慮 

MASCC
症状が軽微又は無症状 5点 
低血圧がない(収縮期が90mmHgを超える) 5点
COPDがない 4点 
過去の真菌感染症がない 4点 
点滴を必要とするような脱水がない 3点 
中等度の症状 3点 
外来 3点 
60歳未満 2点 
21点以上が低リスク 
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