感染症内科への道標

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旅行医学質問箱

2009-05-16 | ワクチン・Travel Medicine
日本旅行医学会より2009年4月に出版。日本旅行医学会は2002年に発足された新しい学会であり現在584名の認定医を持つ。旅行に際して各種診断書や旅行中の内服薬、各国の医療事情等について適切なアドバイスを行うことを目的とする分野である。本書では旅行に際して起こる疑問が網羅されている。一般人やパラメディカルにもわかるよう記載されている。(医学知識がないとつらいですが)。医師としては患者への説明向けに使える。
エッセンス:
機内の環境:機内の気圧は富士山の5合目に相当する。機内の湿度は5-15%。健常人でも機内ではPaO2は98mmHg→55mmHgへと低下する。 
搭乗できない条件:36週以降の妊婦。心筋梗塞6日以内、心臓手術9日以内、DVT4日以内、脳卒中4日以内。結核、SARS,はしか、風疹など。
Hb8.58/dl以上。精神疾患は7日以上安定。
ドクターコール:1000フライトで5.43件 
基本ルール:①身分を明らかにする。②病歴を聴取③必要に応じて通訳を要求④乗務員にも状況を説明⑤重症であれば近くの空港へ⑥可能であれば地上スタッフと連絡⑦経過を記載⑧自信をもって行えない治療は絶対しない。
持参薬:痛み止め、風邪薬、整腸剤、内服薬は予備1週間 (英文薬剤証明書を持参) 
オーダーメイドの旅行用診断書は形式があり、全体(アレルギーを含め)を把握する事が必要 
血栓症予防策:2-3時間毎歩く、座席に座ったままで複式呼吸と足の運動を1時間に3-5分行う。水分をとる。ゆったりとした服装。足は組まない。睡眠薬は使用しない。女性や高齢者は通路側に座る。
時差の特効薬は到着直後の睡眠不足の解消を心がけることである。 
高山病予防:ダイアモックス、ゆっくりとした日程、水分補給。アルコール、満腹、睡眠在は避ける。
旅行者下痢症:血便、高熱、1日10回以上の下痢、強い腹痛、嘔吐のうち2つ以上該当すれば抗菌薬を投与すべき。セフェム系は小腸上部で吸収されるため適当ではない。
雷はどこにでも落雷する。高い所とは限らない。樹木の下の雨宿りは危険。4m以上離れて姿勢を低くし、雷雲が過ぎるのを待つ。建物や自動車の中なら安全。
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