感染症内科への道標

研究学園都市つくばより感染症診療・微生物検査・感染制御の最新情報を発信しております。

髄膜炎菌B型ワクチンの淋菌に対する効果

2017-10-19 | ワクチン・Travel Medicine
Effectiveness of a group B outer membrane vesicle meningococcal vaccine against gonorrhoea in New Zealand:a retrospective case-control study
Helen Petousis-Harris, et al
Lancet 2017

淋菌:年間7800万人が発生しており耐性化が進んでいる。現時点ではワクチンはない。近年、キューバ、ニュージーランドとノルウェーで髄膜炎菌B型ワクチン接種後に淋菌発生の低下が指摘されている。

淋菌と髄膜炎菌で疾病は異なるが、遺伝子型は似ている
髄膜炎菌B型ワクチン3回打ち⇒2004-2008(20歳以下)

ニュージーランドで効果を後ろ向きに検証
性病クリニックを受診し淋菌、クラミジアと診断された15-30歳。髄膜炎菌B型ワクチンを接種することができる方。
6ヶ月前までに3回接種:接種済み、1-2回接種:部分的接種済み
ケース:淋菌陽性 コントロール:クラミジア陽性

全国で35の性病クリニックを同定し、24のクリニックに参加を打診、11クリニックが参加。人口の64%をカバー。淋菌:培養もしくは遺伝子検査、クラミジア:遺伝子検査

1759件の淋菌、15090件のクラミジア、1329件の同時感染。15067受診者
⇒初回データ確認可能1241件(淋菌)、12487件(クラミジア)

1241名中:ワクチン未接種(632) 51% 部分的(98) 8% 接種済み(511) 41%
12487名中:ワクシン未接種(5310) 43% 部分的(753) 6%  接種済み(6424) 51%

ワクチン接種 vs. 未接種: Adjusted OR 0.69 (0.61-0.79 p<0.0001)

部分的に効果ありとの結論
New Zealand OMVワクチンに比べ現行のワクチンはOMV抗原+NHBA, fHbp, NadAなどが含まれており今後の検討が必要である。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ダニ媒介脳炎の疫学、予防接... | トップ | 検査技師が書類送検 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ワクチン・Travel Medicine」カテゴリの最新記事