感染症内科への道標

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臨床留学ガイド その2 USMLE

2009-02-26 | 臨床留学情報(保存版)
 1)USMLE
 最も重要です。大学のお受験を連想されるかもしれません。しかし、どこの馬の骨ともわからない、外国人を判断するにはやはり一番簡単な方法なのでしょう。内科の場合この点数が低い(内科は今では90以下を指します)又は一回でも不合格の歴があると、まず医師の机に行く前に、そのまま秘書のゴミ箱にいきます。逆に点数がいいだけで、多少不人気なプログラム(外国人を採用する所)はプレマッチ(マッチング前のポジション確約、本当は違反ですが、かなり一般的)がもられます。高得点(95前後)を一回でが基本ですが、その基準は年々上がっています。準備を適切に行えば、STEP1,STEP2ともに90は確実にとれます。只、臨床をこなしながらは殆ど不可能です。前述のようにSTEP2 CS(OSCE)は毎年恐ろしい具合に合格率を下げており、日本人が最も苦手な分野なので注意が必要です。せっかくSTEP1,2で90以上とれてもSTEP2 CSで落ちると応募の際、経歴が大きく傷つきます。こつは練習あるのみです。Patient noteを甘くみて失敗している日本人が多いです。Kaplanの直前講習は必須、講義は大して約には立ちませんが、模擬患者で模試が受けられるのが大きいです。 

 基本的準備 
 STEP1: Kaplan Q Book, Kaplan Q bank(online), USMLE worldをきっちりとく、first aidの内容は丸暗記。最後にNBME(online模試、試験機関直々に作成、スコア予測はほぼ100%的中、365日受験可能)を数回受けて確実に90を超えることを確信してから受験。臨床医はとにかくbiochemistryが弱い。でもかなり重要でこれをしっかりやらないと90越えは難しい。
 STEP2 CK: 全くSTEP2と同じ。どちらを先に受験するかは好み次第、STEP2 CKは正直臨床医にとっては楽で楽しい。なぜなら初期研修で学んだことがばんばん聞かれるから。でも教えてもらったことが間違っている(アメリカンスタンダードとしては)こともありちょっとショックを受ける。教科書はBlue print又はkaplan note 他の下手な問題集、参考書には手を出さない。いいかげんで時間の無駄。(私は後で気がつきました。。。)
 STEP2 CS: 前述の通り。これがUSMLEの試験の中では一番お金がかかる100万弱消えます。(飛行機代、受験費用、ホテル代、直前講習代。。。) それで落ちたら最悪ですので、しっかり準備が必要です。参考書はKaplan CS とFirst aid, USMLE world。

 2)US Clinical experience
かなり重視されます。卒業してからアメリカでエクスターンシップ、クラークシップを行うのは本当に至難です。遥かに価値の劣るオブザーバーシップ(見学のみ)でさえかなり困難です。それでも外国人医師はobservershipを得るために本当に死に物狂い(私も含まれています)です。学生時代のほうが受け入れが断然によく、チャンスがあれば是非いっておくべきです。聖隷はUCLAの1ヶ月のエクスターンシップのチャンスがあるので是非活用すべきだと思います。2ヶ月間でき強力な推薦状を書いてもらえるとかなりAdvantageになります。野口のハワイは今では名前だけexternshipで中身は見学なので、微妙です。経験者の先生方の評価はかなり下がってきています。(ただ10月-1月に行うとinterviewがついてくるのでこれは大きい、一つのinterviewを得るのは本当に大変ですので。)

 *海軍病院はその意味ではかなり大きいです。日本の医療の進歩で重症患者は日本の病院に搬送されるため、internの仕事は診療に加え、翻訳、搬送の付き添いが多くなります。卒後数年を経てからの応募が主体となってきています。臨床経験はあまり期待できませんが、アメリカ人から直に推薦状を書いてもらえ、us hospitalでtransitional programのinternをしている事は採用に際して多大なプラスとなります。 

 *最近、FMG America, FMG portal, Americlerkship, FMG Affordable等のインターネットを介したエクスターンシップ斡旋サイトが増えていますが、かなり注意が必要です。詐欺が横行していますので。一ヶ月30万前後(滞在費は別途)を要求し、hands-onのclinical experienceが受けられると掲げられていますが、多くはprivate clinic(外国人が開業、中にはレジデンシーを受けていない医師につかされる場合もあり)での雑用の手伝いとなります。Residency programが要求するのは教育指定病院での臨床経験なので、こういった所での経験は反映されません。
現在までにわかっている個別の情報
FMG America: 最古の斡旋機関。公式に詐欺の容疑で連邦局より摘発をうけ、公式homepageにblack listとして掲載されています。数箇所の州で現在訴訟中。
FMG Affordable: 今年の3月、アメリカ医師会の雑誌に優良機関として紹介され一躍有名に。その一ヵ月後、開設者(元医師)が2003年に保険詐欺をして有罪判決を受けていたことがわかり詐欺サイトの代表格へ。(有罪判決は裁判所の公式home pageで公開)。これは下調べをしなかったアメリカ医師会の責任は非常に大きい。訴えられていてもおかしくありません。私もこれにはひっかかる寸前でした。Americlerkship: どうやら数年前まで別の名前で活動していて悪評が広まり名前を変えたとのこと。Homepageは綺麗。活動の詳細は不明ですが、事務所がapartmentになっていてかなり怪しい。体験者からの評判ももちろん最悪。
FMG Portal: かなりの老舗。Clinicを中心にexternshipを提供する。不思議と悪評が少ない。注意がかなり必要。
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4 コメント

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FMGaffordable=fraud? (FMGaffordable=fraud?)
2011-01-21 22:48:59
はじめてブログ拝見させていただきました。
私は現在卒後3年目で米国の内科residencyのmatchを目指し準備中です。
それで、US clinical experienceを得るために先日、FMG affordableに3000ドルを支払い、この春からtrainingの予定となっています。
私も経営者が保険金詐欺で有罪判決になっているのは知ってはいましたが、それが直接trainingの内容まで詐欺であるとはいえないと考え、応募しました。しかし、trainingが近づいているにも関わらず、研修先もいまだに決まらない(確認したところ開始の1週間前に決まるとのこと)状態で、日に日に不安がつのっています。FMGaffordaleについて実際にtrainingを受けたことがある方をご存知でしたら教えていただけますでしょうか。お願いします。
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Re: (管理人)
2011-01-22 07:03:11
初めまして。
公開の内容ですので、事実や他での同様に記載されている以上の批判は避けていますので御了承ください。 

私も以前コンタクトをとって振込寸前までいった経験がありますが、当時のカナダの上司と相談し、上記内容も加味してやめました。 

いい加減な所で実習するとヘタをすると正規の履歴書にかけない空白が一生残る事になります。US clinical experienceの誘いは本当に甘い蜜です。
返信する
Unknown (FMGaffordable=fraud?)
2011-01-27 00:22:18
御返事ありがとうございます。
慎重に検討し、決定したいと思います。
US clinical experience、residencyでは必須に近い状況なのに得る機会がかなり限られているとはおかしな話ですよね。何とかがんばります。
今後ともよろしくお願いします。
返信する
Re: (管理人)
2011-01-31 00:01:17
私も当時は必死でしたので同感です。 
今の立場でしたら1か月の空きがあれば臨床研究を2-3本仕上げられ論文を実績としますが、当時はとてもできませんでした。
どんな経験でも苦労したものは必ず糧になります。是非がんばってください。 
こちらこそ宜しくお願い致します。
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