- パクチーの好き嫌いは遺伝子によって決まる部分があり、パクチー嫌いの多くは嗅覚受容体のひとつである「OR6A2遺伝子」に変異を起こしていることが判明しています。
- パクチーを好きな人はパクチーを新鮮で香ばしい、柑橘系の風味と感じる一方で、パクチーが嫌いな人は石鹸のような風味と感じると言われています。
具体的には、パクチーを「石けんのような味がする」と嫌う人の割合は、ヨーロッパなどに住むアシュケナージ系ユダヤ人が約14%、南ヨーロッパや北欧の人々が約13%、アフリカ系アメリカ人やラテン系アメリカ人が約9%だったのに対し、東アジア人では約8%、南アジア人では約4%しかいませんでした。
英語圏では「石けんっぽい」と形容されることが多いパクチーの風味ですが、このような表現が定着する前は「虫みたいな臭い」と言われていました。パクチーと食文化について論じた2023年9月の研究によると、1997年に発刊された植物辞典には「新鮮なパクチーを砕くと、ナンキンムシやカメムシのような不快な臭いを放つ」と説明されていたとのことです。
遺伝子によって味覚が左右されるケースは、パクチーだけではありません。例えば、嗅覚受容体「OR7D4」の遺伝的変異によっては、アンドロステノンというホルモンに敏感になります。そのため、この変異を持っている人は去勢されていないオスの豚の肉を食べると臭みを感じてしまう可能性があります。
他にも、ケールや芽キャベツのような苦い野菜、あるいはホップの苦味が効いたビールが好きになるかどうかを決定する味覚受容体「TAS2R38」や、グレープフルーツやキニーネ、サッカリンの好みを左右する味覚受容体「TAS2R31」などがあります。
生まれつきや民族的な要因が強いパクチーの好き嫌いですが、何度も接するうちに慣れることが可能とのこと。ヘイズ氏は、「生物学は運命ではありません」と話しました。
パクチーには、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を助ける効果があると言われています。また、パクチーには美容や健康に良い効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
【パクチーの美容や健康効果】
- 抗酸化作用があるβカロテンが豊富で、肌の老化やトラブルのケアに役立つ
- 皮膚や粘膜の健康維持に役立つビタミンAに変換される
- 目の角膜や粘膜の保護に効果があり、腸内環境も整えるため、便秘の解消に効果がある
- ビタミンB1は疲労回復に効果があり、ビタミンB2は皮膚や粘膜の保護に効果がある
- コラーゲンの生成を助け、免疫力を高める
- 美肌効果や風邪予防に効果がある