画竜点睛

素人の手すさびで作ったフォントを紹介するブログです

「かちどき」をマイナーバージョンアップ

2011-05-20 | フォント
少し前から「かちどき」をバージョンアップすべく準備を進めていたのですが、どうせならOTEditの不具合が解消されるのを待ってからにしようと思い公開を保留していました。が、先日OTEditがバージョンアップされたものの、以前指摘したバグは修正されていませんでした。このへんが潮時と判断し、「かちどき」の新バージョンを公開することにしました。

新バージョンといっても、パスの不具合を解消し一部のウェイトの濁点を修正しただけなので、見た目の変化はほとんどありません。すでに「かちどき」を使用されている方はご面倒ですが新バージョンのものと入れ替えてくださるようお願いします。

フォントデータを差し替えた時に「かちどき」のダウンロード数を確認してみると、1500ほどでした。えっ、1500? 以前ダウンロード数5000と書いたことがありましたが、どうやら一桁見間違えていたようです。500と5000を間違えるなんてよっぽど舞い上がっていたんでしょう。

現在「かちどき」につづく新フォントも完成に近い状態にあります。ただこれに関してはOTEditのバグの影響をもろに受けるため、このバグが修正されない限り公開できません。今回のバージョンアップで修正されなかったということは、やはり修正は難しいのでしょうか。

と、書いているうちに思いついたのですが、逆にバグの影響を受けないようにパスを描き直せばいいんじゃないかと閃きました。いやいや、今頃になって気づくのはむしろ遅すぎです。どうしてもっと早い段階で気づかなかったんでしょう。

具体的には「の」の頂点にポイントを一つ追加して、ハンドルが水平になるようにすればよいのです。こんな簡単なことに気づかないとは、我ながら思考が硬直していたというほかありません。

そんなわけであまり遠くない将来に新フォントも公開できるんじゃないかと思います。まあそれはいいとして、こんな形でフォントを公開することに一体どれだけの意味があるんだろうか、と我ながら疑問に思うこともあります。現在はモリサワパスポートやフォントワークスのLETSなど年単位での契約が主流となり、その中からよりどりみどりのフォントを選んで使用することが可能です。よほどのことがない限り、名の知れないマイナーなフォントは使ってみようという気すら起きないのが普通でしょう。

では僕みたいな人間がフォント制作の動機をどこに求めるか、ということになると、結局自己満足ということに尽きます。自己満足という言葉は否定的な意味でしか使われることはありませんが、自分で満足できるんならこんな結構なことはないじゃないか、と常々僕は思っています。一生に一度くらいは自己満足のできることを成し遂げてみたいものです。

どうでもいい話

2011-05-10 | 雑談
子供の頃から視力は悪くなかったせいか、眼鏡というものとは一生縁がないものだと思い込んでいました。

ところがここ数年、小さい文字が読みづらく感じるようになり、文字に顔を近づけると、逆に焦点がぼけてしまうことを自覚するようになりました。いやいや、これは目が疲れているからだ、と自分をだましだましここまでやってきましたが、最近とみに本が読みづらく感じるようになりました。

さすがに我慢も限界だと観念し、本気で眼鏡の着用を考えていたとき、たまたま昔から付き合いのある人と仕事の打ち合わせをする機会がありました。二人は年齢が一つ違いで、仕事を離れた話も気軽にできる間柄です。打ち合わせを終え、話が一段落したところで、さりげなく視力の話題を切り出してみました。すると相手も僕と似たり寄ったりの悩みを抱えていたらしく、ふだんは裸眼で過ごしているが、書類をチェックするときなどは眼鏡をかけているのだといって鞄から筒のようなものを取り出しました。僕には最初それが何かわからなかったのですが、蓋を開けると出てきたのは細長い眼鏡、より正確にいえば老眼鏡でした。

若い頃からの知り合いだけに、二人とも年をとったものだと苦笑しつつ、ちょうどいい機会なのでその眼鏡をかけさせてもらいました。それで手近にあった校正紙を見てみると、さっきまでかすんでよく見えなかった文字が見違えるようにくっきりと見えるではありませんか。うわあ、こりゃ全然違うわ、と驚くと同時に、かすかに残っていた逡巡が雲散霧消しました。

買う決心はついたものの、ではどこで眼鏡を買ったらいいのか選択肢が広すぎてなかなか決められません。とりあえず近くにある眼鏡屋をネットで検索し、さてどこにしようかと思案しているうち、そういえばビックカメラにも眼鏡を置いていたな、と思い当たりました。

眼鏡が必要なのはせいぜい本を読むときくらいですから、さほど高価なものは必要ありません。それに眼鏡未経験の僕には専門店は何となく敷居が高いように感じられたので、偵察がてらまずビックカメラに行ってみることにしました。

翌日何週間かぶりに街中に出、まっしぐらにビックカメラを目指しました。眼鏡売り場のフロアを確かめ、ふだんは使わないエレベーターで目的の階に上がります。扉が開くと目の前がちょうど眼鏡売り場で、緊張を覚えつつおずおずと足を前に踏み出しました。

陳列棚に並んだ眼鏡の列を見ても何がどう違うのか僕にはさっぱり区別がつかず、しばらくのあいだ陳列棚の間をうろうろしていました。そうして右往左往した結果、どうやら老眼鏡は置いていないらしいことがわかりました。昨夜ネットであらかじめ調べたところでは、数千円の安価な老眼鏡が豊富に揃っていたはずです。ネットで調べたあれは何だったんだろうと訝りながら諦めてエレベーターの入り口まで戻ったところで、横の壁にずらっとぶら下がっている老眼鏡が目に止まりました。

なるほど、老眼鏡とはこういう扱いを受けているものだったのか、と得心したところで、早速試着してみることにしました。よく見るとレンズの隅に+1.0とか+1.5……というシールが貼られており、一番手前のものは試着できるようにケースから出されてじかにフックに掛けられています。ふむふむ、この数字が度数を表しているんだな、とりあえず度の低いのを試してみるか、ということで+1.0のシールが貼られた眼鏡をかけてみました。

つづけて+1.5、+2.0と次々に試着してみましたが、大した違いは感じられません。これなら一番度の低いやつで大丈夫だろうと判断し、手近にあったものを選んでレジに持っていきました。

というわけで数日前から本を読むときに限り眼鏡を掛ける生活を送っています。効果は覿面で、焦点を合わせるのに四苦八苦していたのが嘘のようにすらすらと文章が読めるようになりました。唯一気がかりなのは、そうして本を読んだあとに眼鏡を外すと以前にも増して目がかすむこと、疲れがひどくなったように感じられることです。これが眼鏡を掛けたことによる反動なのか、それとも単純に目の疲れがとれないだけなのか、現状ではどちらとも判断がつきません。

いずれにせよこうして眼鏡の圧倒的な効果を知ってしまったからには、眼鏡のない生活に戻ることはもはや考えられません。やせ我慢をするのはやめてこれからは眼鏡と上手く付き合っていくことにします。