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東京 新宿 バイク修理 「探求」 ガレージUCGブログ

日々GARAGE-UCGで如何なる修理や探求が行われ、どんなガレージライフを過ごしているのだろうか?

XS250ミッドナイトスペシャル ステムベアリング交換

2008年11月20日 | ガレージUCG探求作業

走行距離が多いバイクや、年月のたった古いバイクなどは、ステムベアリングがヘタっていることが多いのが現状です。

グリスが古くなり、固まって、動きの妨げになったり、ボールベアリングのレース部分に、打痕が出来てしまい、スムーズにステアリングが切れないようになるなどの症状が出てきます。


簡単な点検方法は、センタースタンドのある車体であれば、フロントタイヤが路面に接地しないように、フロント周りを持ち上げて、左右にゆっくりステアリングをきると、悪い状態のものであれば、かくかく動いたり、重く感じたりします。

狭い路地を走行する際、ハンドルが取られるような感覚や、右左折時、力を入れてハンドルを切ってあげないと、ハンドルがまっすぐになろうとしたりする経験はありませんか?。そのような感覚があれば、まず、ステムベアリングを疑い、部品を交換、若しくは調整してあげる事によって、快適なハンドリング&走安性を得られます。






激レア ホンダ CL175

2008年11月16日 | ガレージUCG探求作業
以前にエンジントラブルで入庫した超激レアと言っても過言ではない、ホンダ CL175が今回の主役。
年式はなんと1970年製。年齢で言えばもう38歳。

当時、まだ市販車でカウルが装着されたマシンは一切発表されておらず、750CCマシンが圧倒的な存在感を示したこの時代。

小排気量のマシンのラインナップはとてもユニークで、また限られた外装=タンクとサイドカバーが非常にカラフルに彩られ、かわいらしささえも感じてしまうマシンがたくさんあった。同系列のマシンではCB175やSL175など。

もともとはCB125系列の発展系で、何故かCB135という、とりあえず高速道路に乗れるようにしました的なラインナップがあるのも興味深い。

さて、このマシンの入庫の経緯はと言えば、もともとは悲惨なエンジントラブルだった。
とあるショップでカムチェーンアイドラーギアを逆組というか、間違った形で組み付けられチーンが本来当たるはずの無いアルミ地をガリガリと削り続け、アルミ粉がエンジン内部至る所に回って終了・・・という結末。

まさに開けてビックリ。

さすがにこの年代になってくると、部品を探すのはかなり大変で、入庫期間は半年近くを要したが、良いタイミングで部品を見つけ、また良い状態で走る事が出来るようになった。

修理ミスをされてしまったマシンの修理というのは、とても悲しい事では有るが、ガレージUCGへの相談の中にはそういうケースも多々ある。

いずれにしても、それまでに無かった程に調子が良くなれば、それ以上何も言う事は無い。

BMW F800S探求 10ミクロン単位の格闘

2008年11月14日 | ガレージUCG探求作業
主にサーキットのみで使用されているこの黄色のBMW F800S
これまでにフロントフォークやリアサスペンションなど、具体的にサーキット(主に茂木、筑波、富士)の走り方をじっくり聞きながらモディファイ、走行中のフィーリングを後に伺いながら、セットアップを続けかなり良い足回りに煮詰まりつつある中、どうしてもクラッチの切れが悪く、走行を重ね、エンジン温度も上がってくると特にシフトフィーリングが悪化するとの事。

これまでは、エンジンオイルが悪いのでは?はたまたサーキット主体で酷使されるエンジン的な問題なのか?いろいろとライダー自身模索する中、約12万円近くもしたという非常に高価な部品=スリッパ-クラッチキットをオーナー自ら輸入し、メカニックUCGが組み付け担当。

通常、エンジン内部でクラッチ関連を分解し、組む際には国産車であれば、あまりその構造に差異はなく、このロータックス製のエンジンのクラッチ関連の構造も通常のそれらとなんら変化は無く見えるのだが、一度ばらしてから組み付けると、どうにもこうにも、インナー&アウターハウジングのクリアランスが全くない状態で、センターボスをトルクを掛けて締め上げれば、インナーハウジングが全くフリーで回転しない状態(ミッション=ニュートラル時)

何か、部品を組み忘れたのか??と見渡しても、組み忘れた部品は当然見つからず、かといって何かを破壊してしまったような事も全く無く・・・いずれにしても、クラッチは切れるのにバスケット=ハウジングがお互いに干渉してしまうのです。

時間を掛けて、状態をマニュアルに則り、細かく測定してみれば、やはりこのインナー&アウターハウジングの規定クリアランス0.08~0.10mmの隙間は全く無く、それまでの走行時の症状から、かなり狭い、若しくはクリアランスほぼゼロという状態だった事が、数種類用意される巨大なワッシャー兼シムの選定ミスという事がわかった。

(↑悪の枢軸 超硬ワッシャー、ちなみに通常のドリルの刃は立たない。エンジン内部で良く出くわす素材。注意:この部品はまた別の箇所のワッシャー)

このシムがあと0.10mm薄ければ何も問題が無いのに・・・
純正部品でそのクリアランスの部品が用意出来るのはわかるが・・・たったそれだけの部品の為に納期が・・・
値段も、この単なるワッシャー一枚で2500円前後という話・・・さすが舶来マシン。
サーキット走行の日時は既に決まっているのである。迫り来るのである。

本来ならば、純正部品を用意するのだが、日程が決まっていることもあり、待つ事は出来ず、結局、この超硬い焼きの入ったワッシャーをひたすらに手作業で削り(0.10mm削るのに都合1時間オーバー?)最終的に精度誤差±1/100mm以内でスライスし、組上げれば、インナー&アウターハウジングは、干渉し合う事無く、グルングルンと軽やかに回るようになった。

素晴らしい、やる気になれば出来るもんよ。メカニックの汗と涙の結晶なのだ。
しかし、あまりにも地味すぎて、その作業を理解する人は殆どいないであろう。
だが、たったその0.10mmのクリアランスが無いだけで、クラッチは全く切れず、発進すら出来ないのである。

この硬さ、想像することは恐らく難しいであろう。もしも経験してみたくなったら、ミッション周りのワッシャーを削ってみれば、それがどういうことかはっきり分かるに違いない。

そのハウジングの問題がクリアーになっても、まだ新たに実践投入される高価なクラッチキットの方が今度はアウターハウジングに干渉する事がわかり、今度はその部分に新造した焼きの入った超硬ワッシャーを入れて、干渉を逃がし、純正マニュアルと新たに取り付ける部品の説明書を熟読し、いくつかの箇所をしっかり測定し、おいしいところを考えながら組み付けてみると、素晴らしい、ばっちりクラッチが機能する。

車種毎にポン付け出来ると書かれているのに、そのままでは付けられない部品というのがなんとも舶来物らしい。

純正エンジンのクラッチ周りのシムにしてもそう、おそらくは製品誤差が大きいのだろうか?それとも精度を追い求めすぎたから100分の1mm台でいくつものシムを用意する必要があったのだろうか?

国産車ではそういうケースは、この箇所ではほとんど無いはずなんだけどなぁ・・・そんな気持ちを持ちつつも、何かしらのクセを感じるBMWの魅力というものを改めて感じてしまった。感じるというよりは悩みなのかもしれない。

きっと今回の社外スペシャルパーツの組み付けと、修理で、これまであったギアチェンジ時のクラッチの切れの悪さはばっちり改善するであろう。サーキットを走り、熱ダレしてしまうような、悪条件下でも、基準値内で、多めにクリアランスを調整したので、きっとクラッチの切れの良さも維持されると信じている。

しばらくの間、頭を悩ませ、走行の期日が迫る中、一体どうしたら良いのだろう?というある種の重圧から解放された事が一番の喜びかもしれない。

とにかく精密にワッシャー=シムをスライスするのが途方も無く大変だった。とにかくヤツは硬かった。

高価な部品が装着出来ないかもしれないというオーナーの残念な表情を見たくなかった。

結果はメカ的にはばっちり。この借りは、サーキットできっちりタイムを詰めて返してくれれば何も言う事は無い。
それがメカニックの次への原動力。

たった一枚のワッシャーに泣かされる事もあるのだ。
金属の0.10mmの厚みは途方も無く大きいのである。

↑悪の枢軸ワッシャーがはまっている光景。硬いワッシャーも約0.07mm程の傷有。測定し精密修正0.10mm研磨。

↑SUTE-RACING社製のスペシャルなクラッチキット。キットなのにそのまま装着出来ないのはいかんよ。

↑ちょっと宣伝

GPZ900R ninja タペットクリアランス調整

2008年11月12日 | ガレージUCG探求作業
GPZ900R、かつて市販車世界最速のタイトルを手にしたこのマシンは、映画などで憧れのマシンとなり、今でも根強い人気がある一台であろう。

毎年技術の進歩と共にその全てを公道では発揮しきれない程ハイレベルなマシンがどんどん生み出されて行く中、さすがにこのマシンも既に旧車の仲間入りを果たそうとしているのかもしれない。それでも未だ尚、かつての世界最速の、そして憧れだったマシンに影を落とす事は決して無いのである。

ロングセラーなGPZ900Rは、数多くのバリエーションや、このエンジンをベースに発展していくのだが、やはりオーナーも憧れを持ってこのマシンを手に入れたという、全体的に非常に奇麗なコンディション。これまでに調子の悪かったキャブレターや足回りに手を入れたり、定期的なオイル交換を行いながら、今回は以前より気になっていたタペット周りからの音を調べるべく、ヘッドカバーを開けての作業。

さすがにロッカーアーム式で16バルブもあると、その調整作業だけでも大変です。各クリアランスを測定してみると、指定クリアランスよりもIN OUT共に、約0.05mmから多いところでは0.08mm近く広がっていて、打音が出ていました。

アジャストスクリューを交換した後に、再度クリアランス調整を行い、適切な隙間にし、以前に開けらた際に塗られすぎたのであろう液体ガスケットをきっちり清掃した後に、規定トルクでヘッドカバーを再び閉め、ずらしたキャブレターや冷却ラインのオーリングを狭い隙間の中で交換し、タンク等を載せて再始動すれば、少し賑やかになってきていたヘッド周りからの音もばっちり静かになりました。

走行距離が多い車両の場合、このクリアランスが広がっている場合が多々見受けられるので、定期的に見てあげなくてはならない部分です。吸排気のタイミングにも直に影響を及ぼす部分なので、出来る限り気を配ってあげたいところです。

ちなみに、故意に広めにクリアランスを与える場合、若干タイミングが遅れるのと同時に、本来の流れをスポイルしてしまう可能性も出てくるので要注意。また同時に広めのクリアランスは、バルブの頭&アジャストスクリューを割と早めに痛める可能性もあるので要注意です。

シム式とロッカーアーム式、性能とメンテナンス性では、一長一短。いずれにしても、クリアランスの詰め過ぎだけは絶対に避けなくてはなりません。何故ならば最悪の場合、圧縮の低下やカムシャフトの極端な削れ→摩耗に繋がります。

このクリアランスがゼロの場合、つまり常時ロッカーアームのスリッパー部、若しくはタペットカバーと、カム山が常時接触したままでオイルがほぼ全て掻き出されてしまう訳で、高温にさらされ、熱膨張も考慮しなくてはならない中、適切な潤滑の為、そして部品の摩耗防止の為にも、オイルが入り込む余地=タペットクリアランスが必ず必要になるのです。


オイル下がり 吸気バルブと排気バルブ

2008年11月10日 | ガレージUCG探求作業
画像はヤマハSRXのヘッド 4バルブシングルエンジンのヘッド。

4サイクルエンジンがオイル臭い白煙を噴くようになる原因の中に、シリンダー周りから燃焼室内へオイルが入り込んでしまういわゆる「オイル上がり」と、バルブ周辺から入り込む「オイル下がり」があるのはよく知られている。

そのうち、オイル下がりに関してはもっとも多いのが主に吸気側のバルブステムシールの損傷によるオイルの吸引であるが、それ以外にもバルブガイド自体がヘッドの中でガタついてその周りからオイルを吸い込む例も少なくない。



吸排気のポートから中を覗けばある程度目視で判断できる場合も多いので、気になる方は一度覗いてみてはいかがだろうか。

便利なスクーターの思わぬ弱点 セルモーター不良

2008年11月09日 | ガレージUCG探求作業
チョークもなにも気にすることなくセルボタン一発で始動、暖機もあまり気にせず走り出す人が多いビッグスクーター。この便利さゆえか、いまでは街に停まっている中型以上の二輪車の大半はスクーターといっても過言ではないでしょう。そんな便利なスクーターにもトラブルはいろいろあります。なかでも「スクーターのバッテリー上がり」は非常によくある故障内容で、ガレージにかかってくるレスキュー依頼の電話にもそれは少なくありません。

バッテリーが消耗してしまってセルモーターが回らないと、キックスターターがついていないスクーターは押しがけすることもできず、他の車両からジャンピングでもしない限りお手上げ状態になってしまいます。それでもまだバッテリー上がりくらいなら修理も簡単なもの(昨今のバッテリーのお値段には驚くばかりですが)。けれどもスターターリレーやセルモーター自体の故障となると、その場で修理というわけにはいきません。

この車両(初期型フリーウェイ)もセルが回らないという故障で入庫しましたが、どうやらバッテリーやリレー、配線の問題ではなさそうで、セルモーターをはずして分解してみることにしました。モーターを開けてみたところ写真のような黒鉛の粉が大量に。その正体はブラシが砕けて粉々になったもの。よく見るとコミュテーターの部分にも荒れが見られます。こんな状態でもついさっきまではちゃんとエンジンが始動していたというのですからたいしたものです。

なぜかホンダ製の車両にはセルモーターのブラシ周辺の極度の消耗や故障が多く見られます。ホンダ車(に限らずヤマハでもスズキでも)をゲタ代わりに十数年乗っているけど一度もセルに関して問題はないよという方。ある日突然こんなことが起きたりしますのでどうぞご注意を。

スズキ RGV250γ サーモスタット ラジエターキャップ交換

2008年11月08日 | ガレージUCG探求作業
車検のある車両は、車検時(車検整備時)に、ラジエターキャップの点検等をしますが、250cc以下の車両は、点検整備等をせずに、乗りっぱなしになっているケースが多いようです。

特に、この車両(VJ21 RGV250γ)は、ラジエターキャップが、タンク下にあるために、点検時間、手間もかかります。冷却水の交換ついでにラジエターキャップを変えてしまうのがベストですが、冷却水自体、もれてきたり、オーバーヒートしなければ、交換さえしないことが現実です。

この車両も、ラジエターキャップのゴムが新品部品より、1.5倍ぐらい大きく伸びてしまっていました。それにより、圧力の調整が効かず、オーバーヒートしてしまったようです。

実は、サーモスタットも、古くなると本来の動きをしていないのです。見えない部分なので、あまり体感できませんが、目安としては、5~6年間変えていないと、劣化が進んでいます。水温が上がりやすい、夏場、冷却水が入っているのにオーバーヒート寸前まで、水温が上がるなど、サーモスタットと、ラジエターキャップを換えると治ることが多いです。

めんどくさいからといわず、点検、メンテナンスに時間を割いてあげてはいかがでしょうか。

XS650Spl フロントフォークの残念な更生作業

2008年11月07日 | ガレージUCG探求作業
とある事情により、修理&カスタムを断念され、完成を見ないままに、ほとんどの部品が無いままの状態で入庫したXS650Spl。当然の事ながら何の引き継ぎも無いまま作業を引き受けるのに正直なところ勇気がいるレベルでした。あまりにも足りない部品が多く、それらを用意するのに多大な時間を要し、またそのほとんどを1から組み付け、手直しをするのはやっぱり大変です。

しかも、純正車両と異なり、カスタムの途中で放棄されてしまった状態なので、作り手の意図が見えないのが厳しいところ。
今回は、そのマシンのフロントフォークの手直し&オーバーホール。

ほとんどストロークしないまま組まれていた、明らかに短いフロントフォーク。単体で押してみても、ほとんどリジットサスペンション。2センチ程度しかストロークせず、にも拘らず、その移動する間の減衰力はほとんど感じられない。

このままで走らせるのはあまりにも危険な状態なので、内部を開けてみると、油面はなんと20mmという設定。
またシートパイプ(インナーシリンダー)はカットされ、大幅に短くなっていた。

手間は掛かっているのに、スタイルを明らかに優先しすぎて走る為の機能を削いでしまうという、本末転倒な残念な事実がそこにはあります。

そうなってしまったフロントフォークを本来の機能を回復させる為に、結局さらにもう二本フロントフォークを用意して、結局四本分のフォークから二本の足回りに作り替え、組み直してから蓄積したデーターを基に仕上げます。

XS650特有の押しの強いトルクに負けない足回りにモディファイ。車体の構成的にもまだまだアンバランスな部分が多く、それらの修復とレストア作業は続きそうです。

これまでの長きに渡る作業において、要の電気系統とエンジン関連の一からのセットアップという、聳え立っていた山場は乗り越えたので、あとは地道に完成目指すだけ。まだまだ部品が揃っていないが、気を引き締めて、このマシンのセットアップを続けます。

さて、ヤマハXS&GXシリーズやSR、もちろんそれ以外の多くのマシンで純正のままのサスペンションセッティングに不満を感じている人は多いかもしれない。だが実はノーマルのまま、セッティングを変更しても、かなり良いデーターと結果が出せる事を忘れないで欲しい。

それ以前に、プアーに感じる、その足回り、実は乗りっぱなしのままで何千キロ、何万キロという結果にはなっていないであろうか?様々な箇所にガタが出ていたりはしないだろうか?足回りの換装やチューニング&改造はそれからでも遅くはない。いずれにせよ、やりすぎてしまったチューニングは時として仇となり、元通りに戻すのも非常に大変なのである。時に元通りに戻すのがほとんど不可能な場合さえもあるからなのだ。

果たして、新車で購入したばかりの時に、そんなに不満が出ていたのであろうか?

そんな事を思い出しながら、愛車の声に耳を傾けて見るのも良い季節になって来た。

スズキRGV250γ-VJ21・TZR250-3MA 2ストレプリカ

2008年11月06日 | ガレージUCG探求作業
ここ数日の、このUCGブログでは80年代~90年代の名車?達で賑わい真っ盛り。
でもやっぱり直すのは大変なのが合言葉。

だが、それでも様々な不調を抱えたマシンが、それまでには無かったほどにパワーを取り戻せて、気持ちのよい走りに変われば最高なのである。

現在、探求中のスズキRGV250ガンマ、オーナーが手に入れてまだ間もない状態であり、まだ走る上で様々な面のセットアップが必要な感じであり、ベストな状態を探ってまだまだ探求は続きそうですが、入庫前に心配されていたエンジンを開ける必要は無さそうなので、一安心。

それでも、やはり何かの拍子に焼き付く恐れのある2ストロークマシンは、出来るだけしっかり見てあげる事が求められる。
エンジン付きの乗り物である以上、全てに言える事なのかもしれないが、特に2ストロークエンジンは、エンジンの寿命が4ストロークエンジンに比べるとやはり短いので、よりその管理には気を付けてあげたい。

ちなみにエンジンを開けずストックの状態でうまく維持出来れば2ストロークエンジンでも3万、4万キロと維持する事も可能だが、本当にパワーバンドでドカンと来るような、いわゆるおいしい時期は、長く見ても2万キロあたりである。

これがTZ250等のレース専用マシンになると、長く使っても、シリンダー等の部品は、せいぜい3千キロ以内なのだ。
細かな部品に至っては、ほぼ毎レースごとに点検や交換を行う。

さて、市販車としてRG250ガンマ(パラガンマ)は初のアルミフレームを搭載し、V型エンジンになって初のモデルがこのマシン。

年代としてはヤマハがTZR250-3MA 後方排気~3XVを発売し、NSR250ではMC18~21という2ストレプリカマシンが出回り、まさにレプリカ全盛の時代に突入、群雄割拠とも言えるこの時代のマシンにはその勢いと華やかさすら持たされている。
現存しているマシンは、歳を取り、やれてきている部分こそあれど、やはり往年の輝きは色褪せる事無い。

残念な事に、見かける多くのこの年代のレプリカマシンは、足回りもやれている事が多い。
サスペンションや各可動部など。挙げれば限りは無い。

あまり調子の良くないマシンの場合、それなりに足回りがやれていても、なんとか走れてしまうが、エンジンとキャブレターの調子が良くなると、250ccと言えども2ストロークレーサーは一気に豹変する。
そうなるとこれまでのプアーな足回りはとても不安なものになり、ブレーキもよりしっかりとしたフィーリングを求めたくなる。

古いマシンをしっかりとセットアップする上での正常修理メニューとも言えるでしょう。そうして標準の状態を知るところから、好みの足回りに味付けし、チューニングを進めて行けば、まさに人車一体。

せっかく、当時の技術が結集されたマシンに乗るならば、もちろん修理しなければ行けない部分は多々あるけれど、ベストな状態で、その乗り味を楽しむ事が出来れば、それが一番の楽しみではないだろうか?

この年代のマシンは、きっちりとセットアップ&修理出来れば、チューニングや改造すら必要ないポテンシャルを秘めている。
(※注・一部例外あり)

NS400R NC19 不動車修理

2008年11月05日 | ガレージUCG探求作業
先日このブログでも紹介したVFR750R=RC30に続く、ホンダの80年代マシン第二弾(UCGブログ内において)とも言えるNS400Rも入庫した。毎回思うのだが、何故、街中ではほとんど見かけないマシンがガレージにいるとこれだけ見る事が出来るのか、不思議でならない。

そうは言いつつも、依頼があればなんとかしようというスタンスでいつも、結果的にはなんとかしているのが現実かもしれない。
正直な所、これだけ年数が経っていたりすると、マニュアル片手になんとかなる状態では無いマシンも多く、その場その場で、故障の状況も全く異なり、また何人もオーナーが変わっていたり、乗り続けて来た歴史の中で、応急修理やら、やっつけ修理やら、予期せぬ状態になっている事が多いのも頭を悩ませる事実である。

だから、常々、新たにマシンを手にしたら、まず自分自身が、今後乗って行く上での「前提」を作り上げる事が一番大切であると思うし、その事をまず第一に伝えたいと思っている。

キャブレターの項目でもいろいろと書いて来たが、例えばオーバーホールとセッティングの違い。
このキャブレター場合、オーバーホールがまず全ての前提となるが、手に入れたばかりの車両の前提とは一体なんだろうか?

年式の古いマシンの前提は、可動部分&機能部品のほぼ全てにわたってチェックする必要があると言って間違いないであろう。
油脂類も重要である。エンジンオイルやブレーキフルード、そしてサスペンションオイルや冷却水、さらには不動状態のまま腐ってしまったガソリン等を全てリフレッシュしておいた方が良い。

また各ベアリングやキャブレターの状態、そして各部品の取り付け状態も非常に重要。しっかりと取り付けられていると思っても、見た目が奇麗であっても、ある日突然、内部の腐食により部品がまっ二つになってしまうという事もあり得るのだ。

チェーンやスプロケットの状態、これも大切だ。当時から給油をし続けて使い続けている方もいるとは思うが、それ自体の強度が低下するという事も決して見逃せない。事実、出先で破断してしまうケースもある。

そういったいろいろな不安要素を抱えていて、さらにどういう経緯で不動車になってしまったのかという点も決して見逃せない事である。

このNS400Rは車検無しの不動状態で入庫し、純正部品が既にほとんど入手出来な状況ながらも、エンジンを出来得る限りでオーバーホールし、キャブレターもしっかり見直し&オーバーホール、そして足回りもいろいろと手を入れた。

当時の構造上、フロントの足回りにネガな要素はあるが、今後、さらにいろいろと手を入れながら、まずは公道をしっかりと乗って行けるような前提を作り上げた。

ホンダVFR750R=RC30と言い、このNS400Rと言い、この年代のレプリカはカッコイイ!!
80年代~90年代にかけて、どの排気量にも、いろんな車種があって、カタログを眺めているだけでも楽しかった。
現代では、新車のカタログを見ても、ある排気量によっては、自分の好みのカテゴリーのマシンが選べないような時代になってしまった。

この当時から見た現代のラインナップを果たして誰が想像出来たであろうか?

部品代も値上がりし続け、その上に販売終了になってしまう部品も多く、乗る為に維持するだけでも大変な2ストロークマシンではあるが、やっぱり当時を知る年代の人には、たまらない魅力がある。

この写真を見ているだけでも、やっぱりワクワクして仕方がない。

ヤマハ SR400 エキゾーストパイプのトラブル

2008年11月01日 | ガレージUCG探求作業
走行中に突然、爆音が響き渡り、何が起きたのかと不思議に思うライダー。
はて?一体何が起きたのだろう・・・

しばらく事態が飲み込めなかったであろう事は想像するに容易い。

気づけば折れたエキパイより後ろのエキパイ&サイレンサーが落下した模様。
ガレージUCGホットラインで話を聞いても、正直なところ、あまり理解出来なかったのだが、夜、レッカー後に、ガレージにて状況を確認してみれば、結果は一目瞭然。

細切れに溶接された、手の込んだエキパイの作りですが、さすがにSRの振動には耐えられず破断。
SRは多くの車輛がカスタムされている場合が多いが、振動で亀裂や破断、また部品の落下などのトラブルが非常に多く見られる。

何故、純正のSRが、あれだけ振動対策されているのか?それを考えつつ、カスタムを考えてみればまた違った形が提案されると思うのだが、そう考えてみれば、せっかく手を施してあり、手間がかかっているのに、この結果を見て、少し残念にも感じてしまった。

このマシンのオーナーの希望もあり、純正マフラーへと戻す事となった。逆カスタムなのである。

低回転からの発進トルク、そして乗り疲れしない音量、使用用途にもよるが、その選択は最良であるに違いない。

Kawasaki Z400RS (Z400ツイン)

2008年10月30日 | ガレージUCG探求作業
↑新宿高層ビルを前に佇むZ400RS

今回のマシンは、これまたマニアックな2気筒のZ400RS。FXではないところがまた渋い。

オーナーが乗り始めてから、様々な箇所のメンテナンスや改良を行って来たのだが、純正部品の供給状況が非常に悪く、困った事にブレーキキャリパーからブレーキフルードが漏れ始めてしまい、それを機にノーマルフォークで足回りを一新させる計画が浮上した。

現代的な足回りに換装することをまず思い浮かべる事が多いとは思うが、侮ることなかれ、純正ベースでモディファイするとここまでしっかりした足回りになるのか?という一つの見本がこのマシンの足回りかもしれない。

対応する社外ローターやキャリパー等は一切無いので、それらは全てワンオフで用意し、装着した。
ローターはデザインまでオリジナルです。
(ちなみにブレーキローターは、全日本ロードレース選手権にも参戦しているプラスミュー社製のものである。)

フロントフォークは以前から円陣屋至高のABSO-Rをチョイスしているのだが、一万キロの走行ということで、今回はその内部セッティングを強化されたブレーキシステムとのマッチングを計るべく大きく変化させた。
(新品オイルと約一万キロ走行後の同じオイルの色の変化に注目していただきたい。)

オーナーはもともと山間部の方に在住している事もあり、峠を快適に走れるように味付けを考えたのだ。

このキャリパーもおそらく見た事ある方はほとんどいないのではないだろうか?
ドイツのWIWO(ヴィヴォ?)というところのものである。(製品的にはロッキードのCP2696と同様のタイプ)

組付けを終えて、前後に車体を動かし、ブレーキの効きと足回りの変化を確認すると、そのままメットを被り試乗に出た。
乗ってみれば、以前とは明らかに違うバランスのとれた足回りとブレーキに、これなら峠道も今までよりもさらに楽しく走れるのではないかと確信した。

テイスト的にはダンロップのTT100GPタイヤがとても良く似合うのだが、もう少しハイグリップなバイアスタイヤと、少し低めなハンドルをチョイスすると、ペース的にもさらに楽しい走りに繋がるかもしれない。(スタイルやテイストは抜きにただ走りの面だけを突き詰めるとすればの話。)

いずれにしても、どんな状況にも対応出来る足回りを提案出来たに違いない。


完成まで、時間は要しましたが、きっと今までで一番楽しく走れると確信しています。




カワサキ マッハ SS750 H2B フォークオーバーホール

2008年10月29日 | ガレージUCG探求作業
マニアックなカワサキの名車マッハ SS750 H2Bの作業。

年代物なので、多くの箇所にヤレがあったりしますが、それがまた味とも言える。
まさに威風堂々。

でも手を入れるのは大変な事が多く、やはり時間を要する事が多いです。
出来る限り安心して乗れるように、今回は主にキャブレターとフロントフォークのオーバーホール、そして車検取得。

今回は、フロントフォークについての検証。

これまでの状態では、フォークオイルの漏れが片側から発生しており、上下動も大きく、また走行中のノーズダイブが非常に激しく思われたので、初めに内部をしっかり洗浄するところから開始。

まずオイルを抜いてみると・・・ありゃ、たったこれだけ・・・
左右のフォーク共にオイルはほとんど出ない。

このような事例は多々あるのだが、フォーク自身にとって非常に好ましくない状態である。

何故ならば、オイルによる減衰の役割以前に、長年酷使され、オイルとしての潤滑がほとんど期待出来ない状態、かつオイル量の少なさ故に、フォーク内部のインナーパーツが互いに削れ合い、摩耗がどんどん進んで行ってしまう。

特に古い年代のフロントフォークにはスライドメタルが組み込まれていない物が多いので尚更、フォークオイルの役割が重要になる。

きっちりクリーニングし、組み付けて、適切な油面にセットアップし車体に組み付けると、フロントフォークがしっかり踏ん張るようになった分、前側の車高が上がり、快適な走行を感じられるセットアップは完了。

それにしても2ストロークで750ccのエンジンの存在感はとてつもない、今の時代では本当に考えられないが、昔のマシンは、そして技術的にもまだまだ模索&探求が続いていた事を直に感じられる見ていて飽きのこなさがある。

バイクにとってのサスペンションの役割は非常に大きい。

もし長年、長距離メンテナンスを怠ってしまっていたり、フロントフォークの減衰力を生む効果がほとんど感じられす単なるバネ状態になってしまっているならば、是非しっかり見直していただきたいと思う重要部分である。
もし乗っていて前輪&前足回りが落ち着かず、時に恐怖感を感じるならば、尚更、メンテナンス&オーバーホールの効果大。それは、行動を走る際、万が一の有事の際の安心や危険回避にも必ず繋がります。



ヤマハSRX600(3SX)エンジンのオーバーホール

2008年10月28日 | ガレージUCG探求作業
オーナーからの依頼は「極上のノーマルエンジンを造りたい」というもの。
故障しているわけではないが、3万キロを超えて各部にヤレが出てきたエンジンを可能な限り新品パーツや耐久性の高いパーツで、なおかつノーマルボア・ストローク、ノーマルカムで組むとどうなるのか?

クランクの芯出しを依頼した方によれば「1/100(mm)以下まで追い込んだよ~」という精度が出されたものをケースに組んで計測してみたところ、3/1000という結果が出た。ゲージのスケールを見間違えたかと思うような、これまで見たこともない精度だった。
他にもバルブガイドをアルミ青銅で一品製作したり、ピストンに潤滑性を向上させるコーティングを施すなど、できることはやりつくした。

慎重に組んだエンジンに、これまた丁寧に調整したノーマルのキャブレターをセットして火を入れる。エンジンは単気筒らしく「トットットットッ」とリズミカルに回る。試乗してみると「トルルルルルルッ」と、信じられない軽やかさで車体を前に押し出す。いくらバランサーを積んでいるとはいえ、こうも滑らかに回るものか? 軽やかなのに押し出しは強い。
オーナーの試乗第一声は「雑味がない」であった。まさにそのとおり。

現在、完成後3千キロを超えて慣らしも済み、絶好調と聞いてうれしいことしきりである。


練習問題 1

2007年03月01日 | ガレージUCG探求作業
1.以前はリッター30kmくらい走っていましたが、最近では20kmくらいです。走行距離は2万キロちょっとです。エンジンはかかりもよく、毎日の通勤に使っているので壊れているわけではないのですが、もうちょっと燃費がよくなればと思うんです。いつもオイルは3千キロくらいで換えるようにしています。
 どこがわるくなっているんでしょうか? どうすれば直りますか?