東京 新宿 バイク修理 「探求」 ガレージUCGブログ

日々GARAGE-UCGで如何なる修理や探求が行われ、どんなガレージライフを過ごしているのだろうか?

ありとあらゆるキャブレター探求。

2013年06月24日 | キャブレター修理&探求
今回のUCGブログも恒例の長い長い話は続きます。久々に原点回帰、キャブレターの話し。

FI=フュエルインジェクション仕様(電子制御)によるオートバイが市場の多くを占めるようになってきた昨今、未だにアナログ制御であるキャブレター仕様のバイクに魅了されるバイク乗りは非常に多い。立ち上げた当初から、UCG自身、キャブレターをしっかり見極められる事がキャブ車の基本であると思ってます。それほどキャブレターは調整一つでも調子が変わる所なのです。

実際にガレージには何十年も前のキャブレターの修理も非常に多く、本当に毎回手を焼く事例が多いのが事実。
一般的にキャブレターオーバーホールが必要だと判断されて、依頼を受ける事が多いのですが、皆様が想像されるオーバーホール=クリーニング=清掃だけでは本来のパフォーマンスを発揮出来ないような状態になっているキャブレターボディーが本当に数多くあります。一概にそれらをどのような判断や区別で一般的なオーバーホールと区別されるのか、きっととても興味ある事だと思われます。ありとあらゆるキャブに関する依頼の場合、まず内外面共にしっかり洗浄し、クリーニングする事から検証は始まります。

もし、ご自身や他のお店でクリーニングやオーバーホールされていたとしても、我々自身の目で確認する為にクリーニングから作業は始まります。
(明らかに新品のキャブレターであったりする場合は除きます。)

大抵の場合、キャブレターの基本構造や原理はどれも似たような物なので、まず始めに一般的に考えられる範疇で清掃や消耗品の交換を行い、実際にエンジンに組み付けて動作させて状態を判断します。ここで問題が解消されれば作業は終わりますが、基本状態=純正のセッティングでも著しく調子がおかしかったり、アフターorバックファイヤーが出たり、回転の落ちが悪かったり、そのような状態をしっかりと見極め、再度キャブレターを外し、実際にどこが悪いのか何度も何度も検証&修理を重ねます。多い時には10~20回も着脱し修正しつつ状態を完璧な方向へ持って行きます。一台の車輛に対して丸一日費やしても終わらない時すらあります。納得出来る状態になって初めて完成に至ります。なのでコストもそれなりには掛かってしまいます。安く修理出来ればそれが一番なのですが、そんなに簡単には修理出来ない事も多く、厳しい予算制限があってしまっては問題がクリア出来ない事もあるのも事実です。

またキャブレター単体だけでも全国各地、時には同業者からも送られてきます。なので、やはり通常の心構えでは解決出来ないような問題が潜んでいる事が非常に多いのも事実。それと同時に、キャブレターが悪いと思い込んでしまい、実際には全く別の問題で調子を崩しているという事も多々あります。



画像は日々の作業上のほんの一例。スズキTS125空冷ハスラー(ミクニ製キャブ)そしてヤマハXV750スペシャル(日立製キャブ)、それらよりもっと古い遥か昔のホンダCB450(ケイヒンキャブレター)のオーバーホール中の画像です。一日に数台分のキャブレターをまとめて作業する事もあります。でも一日で全ての作業が完了する事は実際にはほとんど無く、毎日何度も何度も、組んで外してを繰り返して、試運転も何度も重ねます。

メーカーからの消耗品が販売終了になっている事も多くあり、本当に熾烈を極めます。でも純正仕様のままでしっかり修理して乗りたい気持ちはとても理解出来ます。
そこにはメーカーが開発した結果がぎっしり詰まっているからです。

良く有る依頼は、自分でキャブレターを分解し、オーバーホール&クリーニングしてみたけれど、調子が悪いと言う相談。
やっぱり付け焼き刃ではどうしても本来の調子が出せない事が多く、また車輛的にも比較対照出来るマシンがもう一台ある訳ではなく、本来の調子をいかにしたら発揮出来るか困り果てて連絡が来る場合が非常に多いです。

なので一台一台、本当にベストな状態を探るのに手間も時間も、そしてサービスマニュアルをいくら見ても載っていないようなトラブルシューティングが必要とされるのです。それらの抑えどころは、これまで通算何百基以上も見て来た経験や勘所が本当に調子を左右します。

エンジンがある程度良好だったとしても、またキャブレターをしっかりした状態に仕上げたとしても、今度はエンジンに取り付けた後のセッティングや調整で如何なるようにも調子を左右させます。一体どこがベストな状態なのかを探る事は本当に難しい事なのです。

一台の作業に対して、何十回ものキャブレターの着脱や分解、修正が求められる事も多く、同時に古い車輛は、ポイント点火だったり、カムチェーンの調整が手動式だったりと同時にチェックしなければいけない箇所も多々あるからこそ、トータルで見直す必要も発生します。

今回の話しは主にキャブレターをクローズアップした話しではありますが、それ以前に大前提としてはエンジン(主にクランク、ピストン周り&燃焼系)がしっかりした状態であってはじめて、キャブレターをしっかり見直す事の重要さが問われてきます。

だから乗り手であるオーナーの方がキャブレターが悪いからキャブレターだけを修理して欲しいと言われても、状態によって、それだけでは完調にはならない事もあり、他の箇所をチェック&修正しなければならない事も多くあるのです。

だからこそ、簡単には直らないし、お手上げだと言われてしまう事も多々あるのではないでしょうか?
はたまた予算制限があまりにも厳しくて完調まで仕上げられないケースだってあります。どうしても壊れてしまった乗り物を直すのにはコストが掛かってしまうものです。
機能部品に関する相談、どんな事でも連絡下さい。100%完璧に直せるか?と問われれば、YESとは率直に答えられません。たまたま今までの依頼には高い確率で上手に修理出来ていただけの事かもしれませんし、はたまた次の依頼は修理不能だと答えるしかないかもしれないからです。

日々のガレージには街中ではほとんど見かけないバイクや外車が入庫している事が多いです。

人気のある旧車や外車は名立たる専門店が多くあるので、そういうお店にはノウハウがたくさんあると思いますし、スムーズに事が進むケースも多くあるでしょう。
ストック部品もたくさんあると思いますので、間違いは無い事と思われます。

しかし、一方でマイナーな車輛だったりすると、どこに相談すれば良いか、迷う事も多いと思います。
あるいは、大カスタムをしてマシンを作成したけれども、どうしても調子が悪くて走らせるのにストレスを抱えている車輛も多いのではないでしょうか?
ガレージは狭い上に、全てが手作業なので、一日に出来る作業はたかが知れてます。なので予約作業のみの対応になります。時に多くの依頼が重なりお待たせする期間が長くなる事も多々ありますが、何をやっても結果が伴わず、行き詰まってしまい、なんとかして良い状態にする必要があるならば、御相談下さい。

時にオーナー様と二人三脚で進めなければどうしても解決出来ないような事もあります。それくらい古い車輛やデーターの少ない車輛の修理もあるのです。

時間は充分に下さい、いつでも最大限の力で探求&協力致します。

ミクニ TMキャブレター パイロットスクリュー折損除去

2012年05月24日 | キャブレター修理&探求


もうこのブログではお馴染みになってしまったであろう、パイロットスクリューの詰まり除去作業。
これまでで通算何十基も行なってきているが、未だに毎回作業前は気が重くなる。

精密な作業が要求され手先も目も非常に疲れるのである。
この部分が詰まったままだと、キャブレター内部=スロー系統が塞がったままなので当然アイドリングはままならない。
ひどい状態のものになると、詰まったまま他の領域をリセッティングして走らせていたりして、とても公道で扱える乗り物にはならなくなってしまうので非常に危険でもある。

ミクニ製のキャブレターで発生率は非常に高い気もするが、先端のテーパーで流量を決める構造になっているキャブレターはとにかく注意が必要である。
こうなってしまっているのは100%人為的な破損である。
作業した本人は軽い力で閉めたつもりでも破損している以上それはオーバートルク。
自分の気持ちと、ネジの気持ちは全く別物であるのが悲しい事実。
中古で安くてに入れてこうなっていると前オーナーかそれ以前のオーナーがやってしまった分、責めようのない、やり場のない悲しみに暮れてしまう。

代替キャブレターの持ち合わせがなく、現在手元にあるキャブレターをどうしても直さなくてはいけない場合、ダメ元で相談して下さい。
重要なのは、詰まった部分を押し出してやろうと、必要以上に叩きこまない事。ドリルで大穴を開けないこと。
つつき味噌にしてしまってからではいよいよ修理不能になりますので、気づいたらそのまま送って下さい。
数多く修理しているので、さらに無理にいじられてしまったかどうかは見れば一目瞭然です。

修理不能な場合は、送料をご負担いただいてオーナーへ返品となります。工賃は不要です。
この作業はダメ元で、成功報酬制にてお引受けします。合わせてパイロットスクリューも新品を必要個数分用意いたします。

キャブレターメーカーでも、多くのショップへ問い合わせても断られてしまうケースがほとんどだと思います。
まずは状態を見せてください。良い結果が出る場合があります。そのような修理作業なので、100%成功するとは、言い切れません。
とても特殊な作業ですが、依頼がある限り頑張ります。


ヤマハ XJ750E2 キャブレターオーバーホール

2012年05月04日 | キャブレター修理&探求

以前に依頼があったオーバーホール作業。
これまた日立製キャブレターのオーバーホールです。
普段から沢山のキャブレターの修理を行なっているのですが、その全てをこのブログで紹介している訳ではなく、何故か?マニアックなキャブレターばかりクローズアップされるのはUCGの勝手な判断に過ぎない。

もしUCGは日立製キャブレターが好きなのか?と問われれば、答えは「NO」
やっぱり部品の供給事情が悪いので、好きとは言えません。
しかしトラブルに見舞われている以上、直したい。

「このキャブもまた実に直したくなるキャブである。」


XJ750Eも現代の公道ではほとんど目にすることのない希少なマシン。
作業前の状態は、なんとかかろうじて走れた状態で、いつ止まってもおかしくない程でした。しばらく不動状態だったこともあり、内部の劣化状態や汚れ、そして吹き返しで黒ずんでいるが気になります。常時なんらかの形でオーバーフローしていたことが読み取れます。またフロート左右の浮きが経年劣化によって、歪んでしまっているのが目視により確認できる。これらももちろん必要に応じて、交換または修正しなくてはならない。
作業前のアイドリングも苦しい状態で、本来の滑らかなフィーリングが全くありません。
キャブレターオーバーホール後の画像を撮影し忘れたが、組み付けての結果は良好。


上記画像はまだ部品をばらして外しただけの状態。これらの汚れが、これまでどんな状態であったかの大きな判断材料になる。しっかり状態や状況を確認して個々の部品を清掃。

見た目が問題なくて、いつも快調に走っているように感じられても、一万キロ、二万キロと走行すれば、必ずキャブレター内部は劣化し、本来の性能を発揮できなくなる。大抵の場合燃費も悪化し、セッティング的にも濃くなってしまうことが多いので、必ず定期的にオーバーホール作業が必要になることをキャブ車に乗られている方は忘れてはいけない。そして間違えてはいけないことは、長く乗り続けてプラグが濃くくすぶっているからと、ジェット類を小さな物に変更してリセッティングしないこと。エンジンがぶっ壊れます。通常の場合、キャブレターのセッティングが標準セッティングよりも薄くなることは、まずほとんどない。

重要なのは、どれだけ調子が良かったとしても、乗っていくうちに必ず徐々に車体全部の箇所で劣化や摩耗が始まっていくということである。

長く乗ってプラグがカブリ気味だったり、排ガスがガソリン臭くて目にしみるようになってきた場合、キャブレター自身の前提をしっかりと見なおすことが必須です。その上で、リセッティングを行い、味付けを見直せばばっちりOK。

XJ750シリーズ、快調な時の滑らかなレスポンスと、ヒュードロドロ~という回転サウンドがなんとも言えない。

ヤマハ ビラーゴ750 XV750 キャブレター修理

2012年04月26日 | キャブレター修理&探求

遠方より、同業のバイク販売店からお電話にて相談依頼があり外注作業としてキャブレター単体オーバーホール。ご依頼ありがとうございます。

何年間も長期不動状態になっているヤマハ ビラーゴ750 XJ750用の日立製キャブレターの作業依頼です。
日立製キャブレター搭載のヤマハ車と聞いて、XJシリーズを思い浮かべる探求者は多いでしょう。
Vツイン用のキャブレターもあったのをお忘れなく。次のテスト出題確実です。

外見は綺麗に見えるのですが、中を開けてみれば・・・


腐ったガソリン臭でガレージ内部が満たされます。あちゃ~

ヤマハ純正部品は既に殆どの消耗品が販売終了になっているのが厳しいところです。
キャブボディー等、破損状況によっては部品取りのキャブレターを用意していただく場合もありますが、今回はなんとかこのキャブレターだけでなんとか状態を回復させられたのでほっと一安心です。

上の状況の物体Xに侵された状態から、入念な洗浄を経て綺麗なキャブレターに蘇りました。↓
この状態からまだ残っているガスケットの張り付いたコビリ付をしっかり取り除いて部品を組めば完成です。


長期保管する際は必ずガソリンコックをオフにしてキャブレター内部のガソリンを抜き取る事をお忘れなく。
保管状況がその後の明暗をはっきり分けてしまいます。
そうは言っても、ついつい忘れてしまうものなんです。何年も放置してしまった場合、治すのはとても大変で、慣れているはずの我々でさえもかなり難儀します。
経験的に見れば、三ヶ月以上放置のままのキャブレターはかなり危険な可能性が増します。特に夏場を越すと大変です。揮発成分が抜けて煮詰まっていくと詰まりが起きてキャブレターとして機能しなくなります。

入念に内部洗浄し消耗品を交換し、最後に完成したキャブレターにガソリンを満たして油面を確認し、オーバーフローチェックを行なって納品です。
内外部共に綺麗にするのに通常よりも多くの時間を費やしましたが、また調子良くキャブレターとしての機能を発揮します。


キャブレター修理を依頼してくださる方へ
全国各地から発送にてキャブレター単体修理の依頼も数多くあります。落としたりすると簡単に破損する部品なので、厳重に梱包して送って下さい。人為的に破壊されていたり経年劣化が激しすぎて我々の手には負えないレベルの物もありますが、諦めていた物が直って喜んでいただけるケースも数多くあります。100%直せるとは断言出来ませんが出来得る限りの手を尽くします。

遠方だからって諦める事はありません。もちろんキャブレター修理以外の部品でも、修理が必要な物はどんな物でも先ずはご相談下さい。

メグロ用のキャブレター 真鍮フロート

2012年04月20日 | キャブレター修理&探求


今から40年以上前のメグロのキャブレター 真鍮フロート部品のご相談。
フロート自体は腐食しており、ある程度のパンクであれば修理も可能なのですが、今後の事も考えると真鍮フロートにトラブルがあった場合は新品交換がベストです。
画像下側が腐食したフロート、上側が新品フロート。(ちょいピンボケ)

メーカー廃番で入手するのが困難な物でも、部品を送っていただければ調べて用意することが可能な物もまだまだ多くあったりします。
諦める前にご相談下さい。(物によってはどうしても探しだせなかったり対応できないものもあるかもしれませんが最善は尽くします。)

kawasaki ZEPHYR 1100 ヨシムラ ミクニTM キャブレター

2009年12月11日 | キャブレター修理&探求
最近寒くなってきて、エンジン始動に時間が掛かるとの事と、マフラーの変更に伴いキャブレターのセッティングを含むオーバーホール依頼で入庫してきたゼファー1100。

ガソリンがフロートチャンバーガスケットや、キャブレターボディガスケットからにじんでおり、だいぶ汚れておりました。




バラバラにして交換必要部品を選定し注文します。

後はひたすら洗浄いたします。
この状態から、何も見ないで元に戻せる人は、自慢しても誰も文句は言いません。

yamaha SR400 キャブレター オーバーホール

2009年09月26日 | キャブレター修理&探求
キャブレターからガソリンがオーバーフローすると言うことで、入庫したSR400。

通常、ちょっとしたゴミや錆が悪さしているか、フロートバルブの動きが悪くなっているか、経年劣化によるフロートバルブの磨耗が、オーバーフローの原因と考えられます。

しかし、実際に見てみなと判断できないのが、修理の大変な所であり、難しいところでもあります。

実際に見てみるとバルブシートの部分に錆が蓄積していた。この場合、単純にフロートチャンバー内のガソリンをドレンから抜き、新しいガソリンを入れなおしてもオーバーフローが止まらないことが多い。

フロートバルブのゴム部分も、錆によって段差が出来ていたので、バルブシートの磨耗もあると見て、バルブシートもはずしてみる。



なにやら物体Xがおりました。


この車両は、フューエルフィルターは取り付けておらず、ガソリンタンク内部のフューエルストレーナーが外れて、タンク内部のゴミや錆が、キャブレターにまで到達していて、オーバーフローしてしまったと判断できました。

凄く細かい錆には、ペーパータイプのフューエルフィルターでさえも、通り抜けてしまうことがありますが、ちょっとした錆やゴミであれば、フューエルフィルターにて除去できるので、試してみてはいかがでしょうか。

yamaha XS1100E eleven キャブレター オーバーホール

2009年07月08日 | キャブレター修理&探求
ガレージでは、メーカー問わず、さまざまな車種のキャブレターのオーバーホール&修理をしております。この車両もキャブレターの不具合のため、ガレージに入庫してまいりました。

XS1100Eのキャブレターはフロートが真鍮製の為、長期間使用していると、真鍮フロートに、目に見えない穴が開き、ガソリンがその穴からフロートに入り、浮きとしての役割を果たさず、オーバーフローという現実がやってきます。

真鍮フロートの修理は可能ですが、最終的にまた別の部分に穴が開き、ガソリンが浸入してしまいます。実際、この車両のオーナーも、修理したと言っていましたが、実際にフロートを振ってみると、チャポチャポいってました。

樹脂製フロートに交換することで、真鍮フロートのように穴が開くことも無く、オーバーフローしてしまうというトラブルを回避できる用になりました。

このように真鍮フロートでオーバーフローしてしまい、修理してもだめになったり、新品の真鍮フロート換えても、またいつオーバーフローするかわからない物に交換し、不安なバイクライフをすごしたり、オーバーフローが原因で何年も乗らなくなってしまったバイクでも、不安なくまた乗れるようになります。

不動車にしてしまう前に是非一度ご度連絡していただきたいものです。







ヤマハ ビラーゴ400 キャブレター ニードルバルブ(フロートバルブ交換)

2009年07月06日 | キャブレター修理&探求
ヤマハ アメリカンシリーズでV型エンジンが採用された最初のシリーズがビラーゴ、いろいろな排気量がラインナップされていたが、近年では街中で見かける事も少なくなった。

少し前にビラーゴ400のキャブレター内部、フロートバルブの交換依頼があったのでその作業を行った。遠方よりキャブレター単体で送っていただきました。

(全国各地より、手に負えないと判断されたキャブレターが数多く送られてくるので、困ったときは相談してください。内容や状態によっては不可能な修理もある点はご了承下さい。)

V-MAXもそうなのであるが、このキャブレターの欠点は、このフロートバルブ交換が容易では無い点に尽きるであろう。

機械をメンテナンスする際にはサービスマニュアルやいくつかの情報、そして工具などの条件や環境が必要になるが、それ以上に個体差の激しい消耗した機械のメンテナンスは毎回新たに考えなければならないことが多い。

マニュアルだけでは解決できない問題にもぶつかる事が多いのもまた事実なのである。だからこその探求なのだろうか?とまた自問自答しつつ、作業が開始される。
まさに禅の世界なのだ。

それはさておき、ある固有の車種に特化したサイトを眺めていれば、このキャブレターの問題点はフロートバルブが交換出来ないという事が書かれていたりもするが、んなわきゃーない。
依頼とコストが折り合えばもちろん交換作業致します。(それなりの作業コストが掛かりますが。)

ロケット形状のバルブだけ交換しても、やはりそれなりの距離を走行していたりするキャブの場合、やはりバルブシート(受け=軸側)だって磨耗したり腐食もするので、やはり交換必須部品です。

作業方法自体は、かなり特殊なので割愛させていただくが、画像を見れば、フロートバルブが実際に交換出来ると言う事が証明されております。(どうやって交換するの?という質問は無しでお願いします。部品は繊細な作りなので、下手をすると交換不能になります。)

調子の悪いビラーゴ400や、はたまたV-MAX等、この純正キャブレターに頭を悩ませているならば、キャブのしっかりした前提作りの為に、行ってくべき作業であろう、困ったら、ご相談を。


↑フロートバルブを外した所。


↑新品フロートバルブをセットし、交換作業終了。これにて一件落着。
古いフロートバルブと交換したフロートバルブの輝き具合を見比べれば、もう何も言う事は無い。きっと全ては伝わるはずだ。

suzuki 薔薇 再生

2009年07月03日 | キャブレター修理&探求
ガレージには、XS、GXをはじめ、XJやXTなど割と古いオートバイがやってきます。YAMAHA車だけでなく、CL175や、Z1、Z2、GSなどなど・・・別に旧車専門ではありませんが、割と旧車率は高いです。

今回も珍しいスクーター、SUZUKI BARAの不動車再生依頼です。

キャブレターをはずし、フロートチャンバーを開けてみると、物凄いことになっていました。


長期不動のため、キャブレター内部のガソリンが揮発し、べたべたした物体に変身するのですが、この車両の場合、不動期間が長かったためか、それすらも乾いてしまい、ぱりぱりしたコケみたいなものが、フロートチャンバー内へばりついていました。

ジェット類、キャブレターの通路は完全につまり、強制開閉タイプのキャブレターなのに、スロットルは微動だにしないキャブレターでした。

今ではエンジンはしっかりかかり、吹け上がりもよく、アイドリングも安定しております。

古いから、まったく乗っていなかったからとあきらめずに、もう一度エンジンに火を入れてみてはいかがでしょうか。

 

XS&GX400用純正キャブレターの非常に多い修理

2009年06月08日 | キャブレター修理&探求
ここ数週間程、ガレージは絶えず満車状態で、毎日様々な作業に追われています。
様々な方、各方面より、駄目だよー、毎日ブログ更新してくれなきゃーってな声がある中、更新サボっててごめんなチャイ。

そんな事はさておき、このBS34キャブレターの一番多いトラブルは、パイロットスクリューの折損。
これが折れて詰まっているとアイドリングしなかったり、高回転域は回るもののエンブレが非常に弱く、ブォーーンと回転し続けた後に、ゆっくりと回転が落ち、アイドリングしないままにエンストいてしまったり、はたまた始動困難であったりとトラブルが重なり、走ることはままならない。最早セッティング云々以前の大前提的な問題なのです。

この折れてしまった先端を除去し、本来の機能を取り戻すのは非常に繊細な作業が要求されるが、ほぼ大半の依頼はしっかり直せる実績があります。

もちろんこのBS34キャブ以外でも同様の依頼は多々あります。

二気筒分詰まっていたり、はたまた片側のキャブだけが詰まっていたりと状況は様々ではあるが、まずは駄目モトで作業を相談していただきたい。

このトラブルは100%人為的な、締め過ぎによる問題なので絶対に直せるとは限らないが、これまでの数十基以上送られてきたキャブレターは今のところ100%修理出来た実績があります。

全国各地からプライベーター=探求者はもとより、同業のお店からも相談を頂き、キャブを送っていただいておりますので、お困りの方はガレージホットライン=03-5389-0209へどうぞ。

もちろん同時にキャブレターのオーバーホール作業の依頼も一番多いメニューなので、もし一番良い状態を知りたいのであれば、合わせてご依頼ください。エンジンがしっかりした状態になっていて、かつ点火時期等も最適な状態になっている事が必要条件にはなりますが、キャブレターをきっちりオーバーホールして走行してみると、こんなに発進が軽かったのか?レスポンスが良かったのか?ああ、迷宮入りして考え込んでしまうなら、もっと早く作業をやっておけば良かったと、きっと感じて頂けるに違いない。初めてガレージの門戸を叩いて頂くに相応しい提案だと確信しております。

本来ベストな作業は車輌一式をガレージに入庫させるのが最短の探求に違いない。


kawasaki ZEPHYR 400 χ

2009年05月08日 | キャブレター修理&探求
このところ不動車修理の件数が多いため、キャブレター内部が緑色になっていたり、ガソリンが腐って異臭を放ち、ベタべタの状態で入庫することが多いのですが、今回は実動車で、普段から車両にお乗りのお客様からの依頼です。

写真を見ると、内部の状態はあまり悪くないのはお分かりですが、よ~く見てみると、実は凄く危険なことが起こっております。

もともと、この車両のオーナーは、キャブレターのオーバーホールをしたいと言うことで、ご相談を受けていた方で、普段車両自体に不満はないが、距離も走っているし、いろいろとメンテナンスをしたいということで部品を発注し、ガレージでは受け入れ態勢を整えている矢先の出来事でした。

通勤に使っていて帰りに急にエンジンがかからなくなったと言うことで、深夜、六本木から新宿まで押して帰ってきたという、バイク乗り魂あふれるオーナーのために、その魂に答えなければいけない。急遽入庫した次第でした。

ガソリンタンクの錆が、キャブレター内部に侵入し、徐々にフロートバルブをいためて、オーバーフローを起こし、エンジンがかかりにくい状態に陥ってしまっていたようです。



粉状の錆の場合、ペーパータイプのガソリンフィルターをつけても、完全には錆を取り除くことは出来ず、フィルターを素通りしてしまい、ガソリンを抜いた状態であれば、キャブレターのフロートチャンバー底部にたまりますが、乗車状態であれば、フロートチャンバー内で、ガソリンが攪拌され、フロートバルブとバルブシート内に引っかかり、弱いゴムパーツのフロートバルブの磨耗を早めてしまったようです。それだけではなく、錆が含まれたガソリンがシリンダー内部に入り、シリンダーやピストンリングを攻撃してしまい、最悪エンジンを壊してしまう可能性もありえます。本当に怖いのは、後者のほうかもしれません。

ちょっとした、簡単なことなので、ガソリンタンク内の錆の確認や、燃料フィルターの取り付けなどの、メンテナンスをしてみてはいかがでしょうか。




キャブレター、スロー系統の詰まり除去修理

2009年02月13日 | キャブレター修理&探求

ニッパチと呼ばれ、様々な業界で仕事が減りやすい、この二月。
昨年までの傾向では、二月は割と少なめの仕事量だったと思うが、今年は、何故かそれが逆転しており、現在ガレージは満車状態です。(予約制なので、必ず事前にご連絡下さい、現在、入庫まで、少々お時間頂いております。)

世界的な不景気で新製品の需要が減った分、手元にある資産を修理して活用する傾向にシフトしているのであろうか?
そんな話を多方面から耳にする。

去年の業績を集計している中で、そんな景気動向が、狭いガレージにいても、間近に読み取れる。
さて、そんな大きな世界とは対照的に、今回は小さいけれど、とても重要な部品の少し?マニアックな話。

画像のキャブレターはガレージではお馴染みのミクニBS34の拡大画像。
メインボアの所に真上から吸い出されるスロー系統の出口の箇所。
インシュレーターに差し込まれる部分に、ちょこんと見える金属部品は、折れて先端部分だけが圧入され折損してしまったパイロットスクリューの先端のみの除去した部品。ちなみにパイロット系の通路の出口は、その小さな除去した部品の下に位置する黒い点に見える小さな穴である。(ちなみにメインボア左に位置する大きめの黒い穴は、チョーク系統の通路。)

この箇所のトラブルは非常に多い。
状況としては、新車時から、何度も調整されていて、パイロットスクリューの先端が摩耗してしまっていたり、スクリューの戻し値を調整する際に、過度に締め過ぎて折ってしまう場合等、その原因はいくつか考えられるが、そうなってしまった状態のキャブレターを実際に使用してみると、どうなってしまうか。

規定回転数ではアイドリングしない。
何度清掃してみても、エンジンブレーキがあまり効かず、回転が落ちたと思うと同時にエンスト。
あるいは、アイドリング回転数が非常に高い=スロー系統が詰まっている為に、アイドリング近辺に必要な燃料が適切に供給されない為に、それをなんとか調整のみで解決しようとすると、必然的にアイドルスクリューが締め込まれ、結果、非常に高いアイドリングとなり、アクセルを少し開けた瞬間、ブワァーンと何千回転かに上がったまま、しばらく放置すると回転が下がりエンスト。

とにかく乗る上で非常に弊害が多く、まともに乗れる状態では無くなってしまう。
実はこの部分のトラブル、修理する際は、最難関レベルの技術が要求される場合が多い。

無理に除去しようと下手に掘ろうとしたり、突いたりするとさらに状況が悪化する事も多いので、あまり迂闊に手を出さない方が良い箇所とも言える。

全般的に言える事は、オーバートルクで締め込んだネジや、錆やカジリ、焼き付きなどで固着したネジを奇麗に取り外すのは、想像以上に困難な作業なのである。

M6やM8の折れたボルトを外すのに比べ、さらに難易度が高いのがこのパイロットスクリューの折損であるとも言える。

もしそんな状況に遭遇してしまったならば、自力で取り外すのは、正直なところ、非常に困難であり、そのキャブレターが使えなくなるかもしれないという意味では、非常にリスキー。

我々でも絶対に機能的に問題無く取り外せるとは断言出来ない。何故ならば、それは想定外の力でダメージを与えてしまった結果だから。

もしそうなってしまったならば、気持ち的には、諦めて下さい。
その決心が付いた上で、なんとかそのキャブレターを使用したい、あるいは使用する必要があるならば、除去作業を半ばダメ元で依頼して下さい。

現在まで、数十基のキャブレターの同様の修理を行ってきました。確率的には数%から1~2割の確率で結果が出せなかった物もあります。それは通路の構造的な問題が起因する場合や、オーナー自身が取り外そうと試みて、グサグサにしてしまい、結果作業が不可能になってしまったケース等があります。

折れたボルトや、圧入折損してしまった部品を取り外すには、事前の戦略と、準備、経験が非常に重要になります。
絶対に良い結果を出せるとは、この先も断言は出来ませんが、出来る限りの結果を求めて動く用意と心構え、そして精密作業への集中力は、いつも万全です。

もし困った際は、症状が悪化する前に、無理に手を出さずに、そのままの状態で、まずはご相談下さい。
ちなみに、スロー系統が詰まったままで、無理矢理マシンを走らせ続けると、キャブのセッティング的には薄めの症状になり、エンジンに重大なダメージ=焼き付き等を及ぼし、最悪の場合、転倒等の事故に繋がる恐れもあるので、十分に気をつけて下さい。

本当にそのエンジンが調子良いかどうか、判断するには、やはりキャブレターの状態は切り離せない。

インジェクション全盛の時代、まだまだガレージUCGではキャブレターが全盛です。
機種やキャブの形式によっては補修部品の入手が非常に困難な物も多くなってきました。

技術的に修理対応可能であっても、補修部品が無くなってしまうと身動きとれなくなるので、早め早めの対策が、結果的には吉でしょう。

様々な修理技術で、想像を絶したトラブルに立ち向かうのだ!

カワサキ KDX220SR キャブレターオーバーホール

2009年01月14日 | キャブレター修理&探求
写真のキャブレターは、普段通勤に使っている車両から取り外したもので、見た目はきれいそのもの。しかし、オーナーによると、最近燃費があまりよくないし、調子もあまりよくないとの事。



実際キャブレターを開けてみても、きれいでした。(上の画像)

見た目できれいだと判断し、エンジンに疑いをかけることはかんたんですが、もう少しよく観てみると、キャブレターに原因があることがおおいのです。



写真だと解りづらいとおもいますが、よく見ると、ニードルバルブの先端のゴム部分(三角の黒い部分)に、一本の線がみえると思います。彼が犯人です。

このゴム部分に段差が発生してくると、きっちりとガソリンをとめることが出来ずに、少しずつオーバーフローしてしまい、燃費が悪くなったり、もっさりした感じの車両になってしまいます。

きれいだから、ほとんど乗っていないからといって、目をそむけずに、一度確認してみてはいかがでしょうか。

エリミネーター250 キャブレター修理

2009年01月12日 | キャブレター修理&探求








上の画像が、本来のガソリン取り入れ口の形なのですが、ガソリンホースをはずす際に、ポッキリ!!

ゴムホースが硬化して、ポキリなんてことはよくありますが、このキャブレターの場合、ゴムホースをはずす際に、樹脂製の部分から折れてし待ったとの事。










古い車両になってくるとこんなことも多くなってきます。こればかりは、日々のメンテナンスでは補いきれないことなのです。通常だと、キャブレター交換ということになってしまいますが、そんな修理も可能です。

折れてしまったとか、古くなってしまったとか、あきらめないで、一度ご相談いただければ、何とかなるかも知れません。