東京 新宿 バイク修理 「探求」 ガレージUCGブログ

日々GARAGE-UCGで如何なる修理や探求が行われ、どんなガレージライフを過ごしているのだろうか?

ミクニ TMキャブレター パイロットスクリュー折損除去

2012年05月24日 | キャブレター修理&探求


もうこのブログではお馴染みになってしまったであろう、パイロットスクリューの詰まり除去作業。
これまでで通算何十基も行なってきているが、未だに毎回作業前は気が重くなる。

精密な作業が要求され手先も目も非常に疲れるのである。
この部分が詰まったままだと、キャブレター内部=スロー系統が塞がったままなので当然アイドリングはままならない。
ひどい状態のものになると、詰まったまま他の領域をリセッティングして走らせていたりして、とても公道で扱える乗り物にはならなくなってしまうので非常に危険でもある。

ミクニ製のキャブレターで発生率は非常に高い気もするが、先端のテーパーで流量を決める構造になっているキャブレターはとにかく注意が必要である。
こうなってしまっているのは100%人為的な破損である。
作業した本人は軽い力で閉めたつもりでも破損している以上それはオーバートルク。
自分の気持ちと、ネジの気持ちは全く別物であるのが悲しい事実。
中古で安くてに入れてこうなっていると前オーナーかそれ以前のオーナーがやってしまった分、責めようのない、やり場のない悲しみに暮れてしまう。

代替キャブレターの持ち合わせがなく、現在手元にあるキャブレターをどうしても直さなくてはいけない場合、ダメ元で相談して下さい。
重要なのは、詰まった部分を押し出してやろうと、必要以上に叩きこまない事。ドリルで大穴を開けないこと。
つつき味噌にしてしまってからではいよいよ修理不能になりますので、気づいたらそのまま送って下さい。
数多く修理しているので、さらに無理にいじられてしまったかどうかは見れば一目瞭然です。

修理不能な場合は、送料をご負担いただいてオーナーへ返品となります。工賃は不要です。
この作業はダメ元で、成功報酬制にてお引受けします。合わせてパイロットスクリューも新品を必要個数分用意いたします。

キャブレターメーカーでも、多くのショップへ問い合わせても断られてしまうケースがほとんどだと思います。
まずは状態を見せてください。良い結果が出る場合があります。そのような修理作業なので、100%成功するとは、言い切れません。
とても特殊な作業ですが、依頼がある限り頑張ります。


ヤマハ XJ750E2 キャブレターオーバーホール

2012年05月04日 | キャブレター修理&探求

以前に依頼があったオーバーホール作業。
これまた日立製キャブレターのオーバーホールです。
普段から沢山のキャブレターの修理を行なっているのですが、その全てをこのブログで紹介している訳ではなく、何故か?マニアックなキャブレターばかりクローズアップされるのはUCGの勝手な判断に過ぎない。

もしUCGは日立製キャブレターが好きなのか?と問われれば、答えは「NO」
やっぱり部品の供給事情が悪いので、好きとは言えません。
しかしトラブルに見舞われている以上、直したい。

「このキャブもまた実に直したくなるキャブである。」


XJ750Eも現代の公道ではほとんど目にすることのない希少なマシン。
作業前の状態は、なんとかかろうじて走れた状態で、いつ止まってもおかしくない程でした。しばらく不動状態だったこともあり、内部の劣化状態や汚れ、そして吹き返しで黒ずんでいるが気になります。常時なんらかの形でオーバーフローしていたことが読み取れます。またフロート左右の浮きが経年劣化によって、歪んでしまっているのが目視により確認できる。これらももちろん必要に応じて、交換または修正しなくてはならない。
作業前のアイドリングも苦しい状態で、本来の滑らかなフィーリングが全くありません。
キャブレターオーバーホール後の画像を撮影し忘れたが、組み付けての結果は良好。


上記画像はまだ部品をばらして外しただけの状態。これらの汚れが、これまでどんな状態であったかの大きな判断材料になる。しっかり状態や状況を確認して個々の部品を清掃。

見た目が問題なくて、いつも快調に走っているように感じられても、一万キロ、二万キロと走行すれば、必ずキャブレター内部は劣化し、本来の性能を発揮できなくなる。大抵の場合燃費も悪化し、セッティング的にも濃くなってしまうことが多いので、必ず定期的にオーバーホール作業が必要になることをキャブ車に乗られている方は忘れてはいけない。そして間違えてはいけないことは、長く乗り続けてプラグが濃くくすぶっているからと、ジェット類を小さな物に変更してリセッティングしないこと。エンジンがぶっ壊れます。通常の場合、キャブレターのセッティングが標準セッティングよりも薄くなることは、まずほとんどない。

重要なのは、どれだけ調子が良かったとしても、乗っていくうちに必ず徐々に車体全部の箇所で劣化や摩耗が始まっていくということである。

長く乗ってプラグがカブリ気味だったり、排ガスがガソリン臭くて目にしみるようになってきた場合、キャブレター自身の前提をしっかりと見なおすことが必須です。その上で、リセッティングを行い、味付けを見直せばばっちりOK。

XJ750シリーズ、快調な時の滑らかなレスポンスと、ヒュードロドロ~という回転サウンドがなんとも言えない。