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ほかならぬ人へ

2010-10-18 21:04:16 | 右から左へ受け流す本達
 タイトルはなんとなく聞いたことがありまして、何気なく手に取りました。白石一文さんの「ほかならぬ人へ」です。

 セレブな家に生まれた主人公ですが、家族のように飛びぬけた才能はなく(それでも私大卒なんやけど)生まれそこなったとコンプレックスを持ったまま、スポーツ用品メーカーのサラリーマンとして日々を過ごしています。そんな自分を受け入れてくれた女性と2年前に結婚したのですが、ある日、妻が昔の好きだった人のことを忘れられないといった理由で別居してしまいます・・・。

 推理小説ではないですが、次から次に出てくる展開にびっくりさせられました。でも、展開が進むにつれて、主人公は本当に自分にとって大事な人がわかってきます。主人公自体弱い人では決してないし、そばにいるならこんな人がいたらいいなあと思うくらいです。(実家のお金目当てぢゃないですよ)だけど、人と人が向き合った時に、お互いが大事だと思える相手を見つけることの困難さがこの物語には詰め込まれています。改めて読み終わって身もふたもないなあと思いましたが、展開が切ないので、うまくオブラートに包まれてる感じがしました。そして私は、最後まで読んだ時に、「ほかならぬ人へ」のタイトルの持つ意味が大きく変わりました。切なくて、面白くて、登場人物達へのいとしい気持ちでいっぱいになりました。

 さて、この本にはもう一つ「かけがえのない人へ」というタイトルの小説もあります。最初、主人公に全く共感できなかったのですが、最後の喪失感がすごく胸に響いてしまいました。こちらもお勧めです。


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