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ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

ブラジルで日々おこることをマーケッターの目で解説するページ。広告業界の情報も。筆者はブラジル在住29年目。

ポンテプロンタ広告ブログ

ブラジル、サンパウロで活動する広告会社のブログです。展示会、イベント、マテリアル製作、調査・マーケティング・コンサルティングの分野で、主に日本の企業、政府関係機関の業務のお手伝いをしています。日本語とポルトガル語のバイリンガルでアテンドいたします。 www.pontepronta.com.br

11月の鉱工業指数、車が下げ止まりか

2016-01-07 19:27:24 | 経済

今日、11月の鉱工業指数がIBGEから発表された。前月比で見るとマイナス2.4%で2013年以来の最悪の数字だということである。前年同月比でマイナス12.4%、過去12ヶ月の累計で比較するとマイナス7.7%である。因みに指数は2012年の平均を100として増減をポイントで表したものである。

鉱工業といってもさまざまな分野があるので、内訳が知りたくてIBGEのデータベースにアクセスしてみた。やはり自動車関係の数字は悪い過去12ヶ月比でマイナス24.7%である。しかし、それより悪い分野があった。「情報、光学、電子機器」のマイナス29.3%である。この分野輸入品が多くて数量も少ないのであまり目立たないのだと思う。ただ車は前月比でプラス1.3%となっていて、下げ止まった可能性もある。

 車と鉱工業全体を抜き出してグラフを作ると次のようになる。

 

 

 反対にGNPの落ち込みと同じ程度までを軽症の分野だとすると「パルプ、製紙」(マイナス0.8%)、「石鹸、洗剤、清掃用製品、化粧品、香水、衛生用品」(マイナス2.5%)、「食品」(マイナス3.0%)、「飲料」(マイナス3.6%)となっている。唯一プラスなのは鉄鋼製、石油、天然ガスなどの「採取産業」で5.2%の増加になっている。やはり消費財強しということだろうか。しかし、失業率が増えて消費マインドが劇的に下がってきているので、この分野も落ち込み始めると大変なことになる。

 

 

次の機会では消費者マインド(景況感)を整理してみたいと思う。


気になるビール生産量

2016-01-04 12:08:30 | 経済

2015年のブラジルのビールの生産量が既に公開されている。発表元はReceita Federal(国税)。やっぱり税金をとる方ははやいね。

2015年全体では前年比でマイナス1.99%。GNPのマイナスが3.6%以上と見込まれているから、それよりは少しマシだということだけど、近年の増加傾向に歯止めがかかったことは間違いない。ただ月ごとに前年比を見ると、12月こそマイナスになったが、8月からはプラスで推移してきていたのである。1月に落ち込むか微増するかが気になるところ。

 

参考として過去10年の推移をにしたけど、2005年から約50%増加してきている。一度上げた生活レベルはなかなか下げることができないので、中期、長期的に見てこの増加傾向は変わらないと思う。

 

生活感覚でもブラジル人はずいぶんビールを飲むようになったと思う。僕らがブラジルに来た1980年代の終りは、場末のバールではピンガを飲むのが普通で、コップになみなみ入ったピンガをキューと空ける姿に驚いたものだった。またビールは高いので安いピンガで下地をつけて飲むというようなことも行われていた。ビールの大瓶1本でピンが3杯ぐらい飲める感じかな。もちろん酔い方の違いは、ピンガを知っている人はご存知だと思う。

最近はそういうのを見ることは少なくなったように思う。もちろんピンガは飲まれているけど、ビールの空瓶ずらりと並べて飲みまくっている光景は日常だ。そういう意味で確実にブラジル人の生活はこの10年の経済成長で良くなったのだが、経済情勢は急速に悪化した。誰もが一度つかんだものは離したくない。この気持が今年の地方選挙に反映されるのだろうが、すでに失業率の悪化が見込まれていて、まだまだ出口は見えてこない。


ハイパーインフレのトラウマ

2015-12-30 17:05:50 | 経済

新しい最低給料の額が昨日発表され、来年1月から適用される。788レアルから880レアルへ11.6%増額。現行のルールではインフレ率(INPC)に2年前の国内総生産を加算して決められる。2016年の予算を国会が承認したときは、870.89レアルが想定されていたので、それより高い調整率になった。

 

最低給料は公務員の給料、年金その他に直接適用され、また全体的に雇用者の給料を決める時の規準とされるのでインパクトは大きい。また政府にとっては、予算のときの額との差で47億7000レアルの歳出アップとなるという。膨大な財政赤字を抱えている上に、また障害が一つ増えた。

 

今年のインフレ(IPCA)は10.78%になりそうだ。10%を超えてやばいなと思っていたら、四捨五入したら11%ではないか! インフレはすべての価値修正(Correção Monetaria)にインデックスされる。労働者の給料は所属する組合と雇用者側の組合との合意で調整されるが、インフレ率以下にはならない。その結果、すべてのコストが上がり、企業はそのコスト上昇分を製品やサービスに転嫁するのでまた物価が上がり、給料に跳ね返ってという具合にどんどん膨れ上がっていくのである。

 

景気が悪く、消費者の購買力が落ちているのだからモノの値段は下がるだろうというのは、完全自由経済でのことで、上に書いたように人件費からして売上や利益に関係なく強制的に上げさせられるところでは、需要が落ちたからといって値段は下がらない。製品の値段にインフレを反映させることのできない企業は、利益を落とすか赤字に転落する。それを避けるには、経費を下げるために従業員を解雇するしかない。すると巷には失業者が増えてまた市場が冷める。

 

このようにブラジルのインフレは需要インフレではないのであるが、財政赤字を抑え切らない政府は利子を上げることによって安易に対応しようとする。今月は据え置きだったけど、来月から再び利上げサイクルに入ることが見込まれている。こんな高い利子を使って投資をしようという企業はいないから、ますます企業の投資マインドは冷え込む。消費者はクレジットでモノを買えなくなり、消費は落ち込む。今年のクリスマス商戦はひどい結果になり、クレジットの与信機関によると6.4%も落ちたという。

 

ブラジルはレアルプランまでこの負のサイクルにどっぷりと浸かってハイパーインフレに苦しんだのだが、また棺桶に足を突っ込もうとしているような嫌な予感がするのである。もっとも以前とは外貨準備高が違い、対外債務の利払いなどは問題になっていないので(内債はどんどん膨れて問題が顕在化しているが)、悪夢が戻ることはないだろうけど、やっぱり僕らにはトラウマになっている。

 

2002年に始まった経済成長はコモディティの国際価格の上昇、南米最大の消費市場を目指した外資の流入、そしてその結果起きた消費市場の加熱が理由である。PTが何かをしたわけではない。本来ならその余裕のあるときに労働法を含めて構造改革をしなければいけなかったのだが、政治家は構造を変えると取り分が少なくなるので、そのまま放置して、今からゾッとするような金額の汚職が進行したのである。

 

と悲観的なことを書き続けたが、楽観的なシナリオを少し書いてみたい。

 

為替がレアル安に動き、景気が落ち込んで株価が下がった状態の中、外資によるブラジル企業の買収がさかんに行われている。化粧品、食品メーカーから野菜専門のスーパーまでその範囲は広い。元ポンデアスーカの会長だったAbilio Dinisは、「企業のバーゲンが行われている」と不快感を表したが、これは取りも直さず、中期的、長期的にブラジルの国内市場が魅力を失っていないということである。車メーカーはもっとも生産、販売ともに落としている分野だが、レイオフ、集団休暇、新工場の操業延期などはしていても、目立った投資のキャンセルなどは発表していない。

 

次にレアル安は輸入品の値段を高くして、インフレの要因の一つとなってコスト高を招くのだが、それでもブラジル製品の国際競争力を高めるには必要なことである。だいたい以前の2レアルを割ったような相場が異常だったので、今は正常化しているとも言える。資金的には外国企業は投資しやすい環境だ。またレアル安は農業分野、資源の国際市場での相場低落をカバーしている。

 

最近よく聞かれるのは、今回は経済危機ではなく「政治危機」だという言葉で、上院と下院の議長がペトロブラス関連の汚職で捜査を受けていて、それぞれが大統領罷免の鍵を握るポジションにいることを利用して保身を第一に議会を運営するという茶番劇を演じているのを国内外の企業が信用しないのである。「政局が落ち着きを見せて、方向がある程度定まるまでは静観」というのが大方の本音だと思われる。したがって大統領の罷免あるいは、下院調査委員会での偽証かラバジャット捜査の妨害のどちらかで下院議長の議員権剥奪決まれば、企業も動き出すだろう。静観にも限界があり、企業というのは結局投資をしてモノやサービスを作って売らなければ生き残れないのだから、少しでも見通しがつけば引き出しからはプラン、銀行からは内部保留を出してきて仕事を始めると思われる。そのときのスピードは冬眠期間が長いだけに速いと思う。

 

問題はそれがいつなのかということである。

 

 


ブラジルの景気の変動に注意

2011-11-07 18:13:39 | 経済

 10月のブラジルの自動車生産台数は9月と比べて1.7%の成長、しかし、前年比で見ると9.5%の縮小という数字がAnfavea(全国自動車メーカー協会)から発表された(『O Estado de S.Paulo』)。年間を通じては1.9%と増加をキープ。
 
 一方、小売の方はクリスマス商戦向けの臨時雇用は前年比で28%増加という見通しをCNDL(全国小売業者連盟)がだしているけど、翌年のはじめまで雇用を維持する割合は5%で、前年の15%に比べて三分の一だという(『O Estado de S.Paulo』)。クリスマスでの短期決戦の構えだ。
 
 じわじわと景気の鈍化の傾向がでてきた。まだ失業率に影響を与えていないので、消費の方はまだ堅調基調なようだが、ギリシャ問題の悪化など外部要因のちょっとした変化ではわからない。企業が一気にリストラをすれば、解雇がはじまり借金で「将来の稼ぎ」を使っている労働者は自己破産、住宅も車も不良債権化の道を歩む。
 
 ただこの経済成長で労働者不足が露呈したので、企業も回復時の労働力確保を考えるだろうから、極端なリストラは行われないという見方もある。今の不動産価格がバブルなのかどうかという議論とともに、注意深く見守る必要がある。
 
 とにかくマクロの動きに目が離せない状況になってきていることは確かかもしれない。


Phoneと税金

2010-09-17 23:48:22 | 経済
またiPhoneネタで申し訳ないです。自分が使っているものだから興味がそちらへいく。Ad NewsにiPhoneに含まれる税金についていたので紹介。他の電気製品も同様。

関税:16%
工業税:15%
PIS/COFINS:9.25%(社会統合基金、社会保険向け納入金と訳せるわけのわからない義務で税金と同じ)
ICMS:18%(いわゆる流通税で州によって違う)

合計するのは嫌になるが、してみるとなんと58.25%。
これがブラジルの商売の現実。つけは消費者に回って世界一高いものを買わされる。だから政府が税制改革と行政改革をやってちょっと税金を下げると、物価は下がり一気に市場は加熱する。

流通の二重構造

ミニショッピング閉鎖(何日もつことやら)