ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

ブラジルで日々おこることをマーケッターの目で解説するページ。広告業界の情報も。筆者はブラジル在住29年目。

ポンテプロンタ広告ブログ

ブラジル、サンパウロで活動する広告会社のブログです。展示会、イベント、マテリアル製作、調査・マーケティング・コンサルティングの分野で、主に日本の企業、政府関係機関の業務のお手伝いをしています。日本語とポルトガル語のバイリンガルでアテンドいたします。 www.pontepronta.com.br

【ブラジルの数字】失業不安指数

2019-05-21 22:20:03 | ブラジルの数字
 先週IBGE(ブラジル地理統計院)から発表された失業率は12.7%、1340万人だった。2018年1~3月から微減してきていたが、今年の1~3月で反転、上昇するという結果になっている。大統領が変わっても、年金改革が実現するまで企業が明るい見通しを持てていないことが現れていると思われる。企業家のマインドのデータもあるが、それはまたあらためて見たいと思う。
 
ではブラジルの労働者の失業の不安についてのデータを見てみる(Medo do desemprego e Satisfação、Indicadores CNI)。まず全体を見るとボルソナーロ大統領就任直前までは期待感があって、不安指数は下がったが、4月の調査では反転して55ポイントになっている。これはまぁ期待が大きすぎたというところであろう。
 
この失業不安指数であるが、内訳を見ると、ブラジルの労働市場の現実を理解するのに多少役に立つ。まず年齢別のデータでは、16~24歳までの若年層がもっとも失業に対して不安をもち、年齢層が上がるほど下がるという傾向が読み取れる。マーケットに入ってすぐで、まだ仕事を覚えきれていない層は簡単にクビを切られるリスクがあるため、よりやばいという意識があるのであろう。45歳を過ぎると円熟して職場も安定しており、また知識、技能が蓄積されているので再就職のチャンスも多いため不安が少ないと理解できる。流動性が低くて年齢が上がるほど再就職が難しくなる日本とは対象的なデータだと思われる。
 
次に所得層別で見ると、低所得者と高所得者の間で大きな開きがあらわれている。最低給料1倍まで(今年で998レアル、約256ドル)の層の不安指数が68.1ポイントなのに対して、5倍以上の層は39.7ポイントとぐっと低くなっている。高所得者層は貯金もあり、またそれだけの所得を得るための知識、技能も備えているため、不安が少ないのであろう。これと同じ傾向は学歴別のデータでも見てとることができ、高学歴ほど不安が少ない。ただ学歴は所得に単純には比例しないため、所得別のデータよりは差が少ない。
 
やはり底辺というか社会的に弱い立場にいるグループはより不安抱えながら暮らしているということである。よく言われる「ブラジルの貧乏人は気軽にやっている」というステレオタイプな味方は幻想であることがわかる。生活の満足度のデータもあるが、これも同じ傾向が出ている。さらに失業者のプロフィールについてのデータを見ても、白人と比べて黒人の失業者の数が多いなどがあらわれるが、これは別の機会に紹介したと思う。
 
 

【ブラジルの数字】消費者期待指数

2019-05-19 18:31:10 | ブラジルの数字
 ブラジル工業連盟(CNI)発表の4月の消費者期待指数(INEC - Índice nacional de expectativa do consumidor)は48.4ポイントだった。ボルソナーロ大統領就任前の昨年12月のポイントは49.8。明らかに労働党(PT)の景気回復への期待感から急回復していたのに水をさした結果となっている。4月以降、年金改革の審議のもたつき、教育部門を含めた予算カットの発表とそれに対するデモ、また失業率が微増しているので、次の調査時はまた下がることが予想される。


【ブラジルの数字】人間開発指数に見るブラジルの生活改善状況

2013-08-05 17:52:19 | ブラジルの数字

先月、ブラジルのIDHM(人間開発指数)が発表され、1991年、2000年、2010年が比較されていた。通常、IDHと呼ばれるが、ブラジルは全国の市すべての指数がでるので、Muinicipioの「M」をつけて、IDHMとしている。この指数は教育、健康、所得の3つの分野の統計を組み合わせたもので、いわばどれだけ人間らしく生活できているかを世界的規模で比較するものである。0から1までのどこにいるかで、評価される。

ブラジル全体では1991年の0.492から2000年の0.612を経て、2010年には0.727にまで上昇した。この20年で47.8%の上昇である。参考のために見ると、日本は0.912、米国が0.937で、最高がノルウェーの0.955である。南米ではアルゼンチンが0,811で、ブラジルより上位にいる。

僕がブラジルに来たのが1988年であるから、ざっと見てそれから現在までにブラジル人の暮らしは確実によくなったということが数字で出たわけで、少し感慨深い。治安を含めてまだまだとんでもない部分がたくさんある国だけど。生活水準が高くなるということは、消費も増えるわけで、それがこの10年の景気を良くしたということだ。

また「とても低い」というカテゴリーの市が減ったのは、最低給料がインフレ超えて調整され最底辺の人たちの所得の底上げがあったことによる。低所得者の給料は最低給料にリンクされており、最低給料の調整の恩恵にもっとも多くあずかることになる。また田舎の町では就労の機会がないため、高齢者が受給する年金が大きな収入源になっている。年金も最低給料が基準である。

【ブラジルの数字】最低給料はインフレを超えて調整されている


報告書では市ごとに指数がつけられ、

0.800以上:「とても高い」
0.700~0.799:「高い」
0.600~0.699:「平均的」
0.500~0.599:「低い」
0.000~0.499:「とても低い」

というようカテゴリにー分類される。

カテゴリーごとの数字は次のようになる。

 



1991年に「非常に高い」とされる市は一つもなかったのが、2010年には44にも増えている。でもこれより注目されるのは劣悪な生活水準である「非常に低い」と評価されていた市がが4777から2010年には32に減ったことである。次の地図を見てもらえば、ビジュアル的によくわかると思う。赤いところが「とても悪い」である。1991年には真っ赤だったのが、2010年には緑と黄色になっている。政府も開発の結果として宣伝したいのだろう、しっかりした分かりやすい報告書を作ってくれている。



またEstadao Dadosの地図を拡大すれば、どの市がどういうカテゴリーに入っているか、視覚的に見ることができる。けっこう面白い。


【ブラジルの数字】ブラジル人の外食についての調査

2013-07-31 18:55:02 | ブラジルの数字

最近、レストランの値段が高くなって嫌になっているけど、それでもどの店でも人がいっぱいなのが不思議で、さらに新しいい店が次々とオープンしている。実際、ブラジル人のお客はどんな感覚でいるのだろうか、と思っていたところ今日のFolhaがそれについて調べた調査結果を出していたので、少し数字を見てみたい。

新聞の記事なのでサンプルのプロフィールなど以下のことしかわからない。実施会社はDatafolha。

*サンパウロ市内
*サンプル数:563人
*年齢:16歳以上
*社会クラス:ABCクラス
*調査期間:7月2、3日
*誤差:4%

以 下に数字を見ていくけど、この「外食」の定義が記事ではよくわからない。ブラジルでは労働法で昼食のチケット(今はカード)の支給が義務付けられているので、ほとんどの人が週日は外で食べている。昼食を家に食べに帰るというのは、古き良き時代のブラジルの話である(実は僕は仕事場が近いので家で昼食 を食べていることを告白しておく)。だからこの記事でいう「外食」は日々の職場の近くで摂る昼食ではなく、週末や夜の家族や友人との食事と解釈すべきだと 思う。

1)値段について

圧倒的多数(72%)が「高い」あるいは「とても高い」と 答 えている。安いという人はゼロだ。高くなったというのは僕だけの感覚ではなかったのだ。過去12ヶ月のインフレ率(IPCA)は6.7%だが、IBGEの 統計では外食の値段は10.3%に上っていると記事はいっている。誰も指数をそのまま当てはめて値段の改定などせず、切りの良い数字に切り上げるのが普通 だから、体感的にはもっと上がっている気がする。例えば2レアルだったカフェインフレ率を掛けて2.134レアルというようなことはしない、せいぜい 2.3とか2.5にする。またレストランが増えたことにより人材不足も深刻で、人件費の上昇も料理の値段に転嫁されているはずだ。急にレストランが求める 水準の従業員なんて増えるわけはなく取り合いになっている。



2)レストランに行く頻度

数字を足すと87%で、100%にならない。このあたりがいい加減で困るのだが「わからない」「回答なし」というのが13%もあったとしかいえない。タダでデータをくれているのでこのあたりは我慢するしかないか。

「1 週間に1回以上」と「15日に1回」というのが、いわばABクラスの行動様式で、「1ヶ月に1回」以下がCクラスと解釈してもいいと思われる。Cクラスに なる前、Dクラスというのは所得からいって外食に回すお金などなかったわけで、それがレストランの質は問わなくても外食できるようになったのが、近年ブラ ジルでおこった変化であり、それが市場を大きく広げた。



3)頻度の変化

「過 去半年」というのは微妙な設定だが、4月にトマトが19%も値上がりし、食料品全体の値段を押し上げたのを前提にした設問だと思われる。21%が少なく なったと答えているが、頻度を変えなかった人が64%もあり、また14%にいたっては反対に増やしている。多くの人が「高くなった」という認識をもってい るにもかかわらず、こういう結果がでている。このあたりがブラジルの消費者の行動・思考様式を表しているように思えてならない。景気が悪くなっても失業率 が低い水準で推移している現在、所得にはさして大きな影響が現れていないため、倹約というライフスタルの変更を採用するまでには至っていないということだ ろう。「やっぱり楽しみたい」というブラジル的な本能のなせる技であろう。

また記事ではサンプルの社会階層の内訳が不明だが、もしかすると家計に占める外食費の重みが軽いABクラスが多く含まれているかもしれない。いずれにせよ外食産業の人たちにとっては心強い数字だろう。



4)外食が少なくなった理由

複数回答になっている。この設問が上の設問で「少なくなった」と答えたグループのみが対象だとすると、回答者は118人になり、サンプル数としては少し物足りない。

それはさておき、理由の中に「安全でないから」(Segurança)があり、ほぼ他の「お金が足りない」と「高いから」というもっともな理由と並んでいるのが興味深いし、サンパウロの事情を反映しているように思える。

サ ンパウロでは6月から街頭でのデモがおこり、しばしばパウリスタ大通りなどは閉鎖されている。このデモがある日は商店は店を壊されることを恐れて早く店じ まいをしたりしたが、少なからぬレストランも店を閉めた。デモそのものは家族連れの参加もあったりして、一部の「便乗組」が暴れたり、商店の強奪があった が、そういうところに近づかなければ危ないというものではなかった。しかし、一般の人はどうしても夜出歩くの控えたりした。僕も一度会食をキャンセルした ことがあった。別に危なくないのはわかっているけど、何か嫌な気がしたものだ。

調査が行われたのが7月の始めなので、そういう市民の気 持 ちが現われたのかもしれない。また、去年ぐらいから日本食を含めて中級以上のレストランが強盗に襲われるという事態が頻発している。営業時間中に武装して 侵入、店の売上だけでなく(今はカード支払いがほとんどだから現金なんてあまりないが)、お客の財布、携帯電話をごっそりとさらっていくものである。実際 に知り合いの店もこれにやられている。これも夜の外食は危ないという印象を市民に与えているのは間違いないだろう。


【ブラジルの数字】5月の新車販売台数世界ランキング

2013-07-31 14:18:02 | ブラジルの数字

いつの間にかこういうポジションになっていたんだね。

Jato Dynamicsというコンサルタント会社が発表した各国の新車販売(登録)台数の数字がTerraのサイトに載っていたので転載。ブラジルの5月の販売台数は昨年比で9.6%の増加だとか。不景気でもこれだけ売れれば各メーカーさかんに工場を作るよね。

それにしてもちょっと景気が回復すればすぐに日本を追い越してしまうね。