ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

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【ブラジルの数字】失業不安指数

2019-05-21 22:20:03 | ブラジルの数字
 先週IBGE(ブラジル地理統計院)から発表された失業率は12.7%、1340万人だった。2018年1~3月から微減してきていたが、今年の1~3月で反転、上昇するという結果になっている。大統領が変わっても、年金改革が実現するまで企業が明るい見通しを持てていないことが現れていると思われる。企業家のマインドのデータもあるが、それはまたあらためて見たいと思う。
 
ではブラジルの労働者の失業の不安についてのデータを見てみる(Medo do desemprego e Satisfação、Indicadores CNI)。まず全体を見るとボルソナーロ大統領就任直前までは期待感があって、不安指数は下がったが、4月の調査では反転して55ポイントになっている。これはまぁ期待が大きすぎたというところであろう。
 
この失業不安指数であるが、内訳を見ると、ブラジルの労働市場の現実を理解するのに多少役に立つ。まず年齢別のデータでは、16~24歳までの若年層がもっとも失業に対して不安をもち、年齢層が上がるほど下がるという傾向が読み取れる。マーケットに入ってすぐで、まだ仕事を覚えきれていない層は簡単にクビを切られるリスクがあるため、よりやばいという意識があるのであろう。45歳を過ぎると円熟して職場も安定しており、また知識、技能が蓄積されているので再就職のチャンスも多いため不安が少ないと理解できる。流動性が低くて年齢が上がるほど再就職が難しくなる日本とは対象的なデータだと思われる。
 
次に所得層別で見ると、低所得者と高所得者の間で大きな開きがあらわれている。最低給料1倍まで(今年で998レアル、約256ドル)の層の不安指数が68.1ポイントなのに対して、5倍以上の層は39.7ポイントとぐっと低くなっている。高所得者層は貯金もあり、またそれだけの所得を得るための知識、技能も備えているため、不安が少ないのであろう。これと同じ傾向は学歴別のデータでも見てとることができ、高学歴ほど不安が少ない。ただ学歴は所得に単純には比例しないため、所得別のデータよりは差が少ない。
 
やはり底辺というか社会的に弱い立場にいるグループはより不安抱えながら暮らしているということである。よく言われる「ブラジルの貧乏人は気軽にやっている」というステレオタイプな味方は幻想であることがわかる。生活の満足度のデータもあるが、これも同じ傾向が出ている。さらに失業者のプロフィールについてのデータを見ても、白人と比べて黒人の失業者の数が多いなどがあらわれるが、これは別の機会に紹介したと思う。
 
 

1 コメント

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勉強になります (ウェブマーケティング&情報商材レビュー@野村美徳)
2019-08-17 17:57:11
ブログランキングからきました。
なるほどですね。ブラジル経済について勉強になります。
貴重な情報ありがとうございます。

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