ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

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コロナウィルス対策が政局になってしまっている

2020-04-09 12:05:36 | コロナウィルス

コロナウィルス対策でもう2週間以上、「社会的距離」生活を送っている。家に閉じこもっている。サンパウロではさら22日まで延長された。強制的にレストランはテイクアウトとデリバリーだけになり、スーパー、食品店、パン屋以外は店を閉めている。オフィスも閉まり、メーカー、交通その他の基幹業務以外の会社はオフィスを閉め、従業員は家でテレワーク。外出を禁止されているわけではないので、まったく人通りがないわけではないが、そうとう街なかは静かである。

政府は他国と同じように未曾有の大不況に備えて(いくら備えても避けられないが)インフォーマル労働者に対して均一600レアルの支給、退縮積立金の切り崩し、従業員を解雇しないことを条件にした企業への特別融資、資金繰りのための特別融資などをこの一週間で一気に発表した。ブラジルは極端な財政赤字に陥ってきたため赤字幅を法令で定めており、それを超えて支出すると大統領、地方自治体の長は訴えられるため、特別予算を編成するためにいち早く「緊急事態宣言」を出した。またどうせ不況でインフレはおこらないからレアル札を増刷したらいいという声まで出てきている。

ここまではどの国でも共通した動きだと思うが、ただブラジルが大きく違うのは大統領がコロナウィルスを「ちょっとした風邪」と定義し、また「ブラジル人は強靭なので下水に飛び込んでもへっちゃらだ」ということを公の場で言うだけでなく、支援者のマニフェストに飛び込んで握手をして、いっしょに写真を撮ったりして、自政府の保健相が自粛を訴えているのと真っ向から反対するという、凄まじいことがおこっていることである。いわばコロナウィルスとそれへの対応が「政局」になってしまっているのである。

市民はというと、人にも会えなく、行き場所を失ってそうとうストレスは溜まっているが、やはり他国の状況から言って相当危ない、またブラジルの医療体制がどれだけひどいかを知っているため、失業、収入を失うことも怖いけど、コロナウィルスも怖いと緊張感をもって耐えているように見える。もしデクレットで規制をなくして通常に戻すようにしても、自己判断がきき、大部分の市民や会社はすぐには戻らないと思う。このあたりの判断の健全さがあれば、この国はトップがどうであれ、この未曾有の事態を乗り切ることができると僕は信じる。


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