goo blog サービス終了のお知らせ 

ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

ブラジルで日々おこることをマーケッターの目で解説するページ。広告業界の情報も。筆者はブラジル在住29年目。

ポンテプロンタ広告ブログ

ブラジル、サンパウロで活動する広告会社のブログです。展示会、イベント、マテリアル製作、調査・マーケティング・コンサルティングの分野で、主に日本の企業、政府関係機関の業務のお手伝いをしています。日本語とポルトガル語のバイリンガルでアテンドいたします。 www.pontepronta.com.br

世界最大のブラジルの日本祭り

2013-07-30 12:33:39 | イベント

先週、19日から21日の間に日本祭り(フェスティバル・ド・ジャポン)がイミグランテ総合展示場で開かれた。今年で16回目になるイベントで、主催はブラジル日本都道府県人会連合会、「県連」と呼ばれる団体で、各県出身者が作る県人会の連合体である。イベント名からすると、まぁどこにでもありそうな、日系団体のイベントのように思えるが、それがどっこい、この日本祭り、入場が有料(約5ドル)であるにもかかわらず3日間で20万人(今年は18万人だったと発表されているが)近くを集めるメガイベントなのである。政府にたよらずコミュニティの力だけで、これだけの規模のイベントを主催していることは誇ってもいいと思う。

今年の宣伝用のビデオ

ニューヨークの「ジャパン・デイ・アット・セントラルパーク」が一日で4万5000人といわれるから、世界最大と言っていいだろう。

メインのアトラクションは各県人会が用意する郷土食の即売会で、ずらりとテント作りの店が並ぶ。実際、16年前にイビラプエラ公園に隣接する州議会の駐車場で、ささやかに始まったときは、「郷土食祭り」と命名されていた。郷土食といっても食材に限りのあるブラジルで用意するわけだから、「もどき」やぜんぜん県に関係のないものが出されるが、日系人には楽しいものになっているし、近年すっかり定着した日本食ファンのブラジル人にも珍しさも手伝って人気がある。ただ焼きそばが多いのはちょっと閉口する。これには理由があり、焼きそばはどんな日本食レストランに行っても必ずあるメニューで、すっかりブラジル人の間でも定着している「売れ筋」で、固い売上が保証されるメニューになっているのだ。何とか丼というのをだして冒険するより、焼きそばを出しておくほうが無難という判断だと思う。他にブラジル人にお馴染みの餃子も多い。

日本祭りの内容は大きく分けて次のようになっている。

①各県人会や団体が運営する郷土食の屋台
②一般企業の展示ブース
③物品の販売を目的とするバザール
④日本文化の展示、デモンストレーション
⑤ショーなどのアトラクション

①は先の述べたもの。②は企業がPRのために出展するものでホンダ、トヨタ、ヤマハ、キッコーマンなどの進出企業に加え、地元の企業もブースを構えている。③は小さなブースでの物品販売で家庭用品や日系農家の生産物、加工食品、マッサージ機などさまざま。因みに僕は漬物と自家製味噌を買い込んだ。どちらも日本食料品店で買うものより安くて高品質。④は日本の総領事館やJICAなどがPRを行うもので、震災の写真展などもあった。⑤は日系コミュニティの各芸能団体のショーなど。今年は日本で活躍する二世の演歌歌手マルシアが凱旋公演をした。

県人会が参加するモチーフは、会の団結とか親睦といったものもあるのだかが、ずばり収益だと思う。例えば最大の人気を誇る和歌山県人会のお好み焼きは、報道によると3日間で5000食を売り切ったというが、たしか値段は15レアルだった。他に飲み物や違うメニューもあったが、お好み焼きだけで見ると7万5000レアルとなる。お好み焼きはいわゆる「粉物」、比較的原価の低いものなので、利幅は大きいはずだ。しかも作っている人も売る人もみんなボランティアだ。どの会にとっても、この日本祭りでの収益は運営費として重要だと思う。準備も含めて作業は大変だと思うけど。

トヨタ、ホンダはまぁお付き合いという意味があるかもしれないが、日系コミュニティ中での日本車のシェアは大きい、つまり日本人はよく買ってくれるので、マーケットとして重視していはずなので、出展はうなずける。銀行は日本からの出稼ぎの送金扱いを増やすことが目的で以前は多数出ていたが、今年は一行のみだった。もう出稼ぎの人たちも日本定着が一般化して、かつてのようなブラジルの家族のためといういような事情ではないのだろう。リーマン危機以降ずいぶん帰ってきたしね。

この際だと思って入場者のプロフィールを、9個15レアル(日本でもこの値段はないよね)のたこ焼きを食べながら観察したけど、ざっと見て15%が日系でないブラジル人、15%が日本人一世、そして残りの70%が世代はとわずいわゆる日系人のようだった。日系ではないブラジル人は日系人の配偶者が多かったように思える。だから一般ブラジル人向けのイベントというわけにいかない。でもターゲットがよく絞りこまれているわけで、その意味では優れた内容のイベントと言うことができるだろう。

だからマーケティング的に見て、このイベントで何かをPRしたり売ったりする場合、効率的なのは一般の商品より、日系人をざっくりとつかめるものかなと考えた。例えば醤油で、地元の2メーカーはフードコートのテーブルに卓上瓶を並べたし、キッコーマンもブースをかまえていた。「郷土食のイベント」というイメージが定着しているので食品がいいと思われるが、しかしSISALなどの業界向けの展示会ではなく、一般消費は向けなので、日本から食品メーカーがそのままでてきて、アピールしようというのは、テストマーケティングとしてだといいけど(実際、僕もそのためのブースをお手伝いしたことがあるが)、ちょっと効率が悪すぎるように思われる。メーカーの場合、代理店がすでにあり、実際に商品が小売店の店頭に並んでいる状況ではじめて直接的な効果を発揮するだろう。

イベントとしての収益はどうなっているか?

会場費、設営費などの運営費は入場料とスポンサーの協賛金、県人会の屋台や企業の展示のスペース代で賄われている。

報道記事によると昨年の実績は、

スポンサー料         89万6500レアル
協賛金                  6万7000レアル
出店料・入場料他    135万8025レアル


支出                  228万375レアル

差し引き4万1149レアルの黒字とのこと。この規模のイベントとしては利益(黒字)があまりにも低いのだが、並行して行われたロードレースの企画の赤字が21万5000レアルに上っているので、これが利益を大きく引き下げたということだろう。事実、今年度は計画段階で25万レアルの黒字を見込んでいると報道されている。もしこの失敗した企画の赤字がなければ、売上比率で11%の利益となり(税金をどう処理しているのかは知らない)、まぁまぁといえるか。でもスタッフの多くがボランティアであることと、背負い込むリスクの大きさを考えると、ちょっと物足りないかもしれない。


大型イベントとしてのカトリック集会

2013-07-29 11:35:16 | イベント

リオデジャネイロで行われていたカトリックの青年集会が日曜日で終わり、法王はその日にバチカンに帰国した。

最終日のミサが行われたコパカバーナ海岸に集まった信者と一般は、オーガナイザーの公式発表では320万人。一方、フォーリャ・サンパウロの調査会社のDatafolhaの推計では120万人(一平方メートルあたり何人入るかで計算したらしい)。両者の数字に大きな差があるけど、とにかくあのコパカバーナが人で埋まった。最初、バチカンから法王が来てパレードをするぐらいの認識しかなかったけど、とてつもないイベントだったのだ。

世界的に有名な大晦日の花火大会の観衆が100万人といわれるから、それを上回る人数が集まった。因みに2006年のローリング・ストーンズのフリーコンサートのときも100万人以上と発表されている。

イベントの写真(Veja)

3日前の発表された場所の変更(当初はリオデジャネイロ市北部の農場の特設会場で前夜の「徹夜の祈り」と最後のミサを行う予定だったが、雨と工事の遅れのため使用できなくなった)があったにもかかわらず、最後は形にしてしまっ。トイレが足りない、ランチボックスを受け取るのに5時間かかったなどさまざまなミスは報道されているけど、まぁあれだけの人が集まれば何もおこらないわけはない。オーガナイザー側より政府側のミスが目立った感じがする、先の会場の変更は明らかにプランニングミスだし、地下鉄が2時間にわたって止まったり、法王が初日の飛行場からセントロに行く時に経路の打ち合わせがうまくいっていなくて、群集に囲まれて一時立ち往生している。

そんなミスがあって「ワールドカップやオリンピックをうまくやってのけることができるのか」という批判も一部にあったけど、人数の多さとその集中度は、それらをはるかに超えるイベントだったと思う。マラカナンの入場者は多くて10万人で、観衆はすべて入場券でコントロールされている。コパカバーナでもパブリックビューが行われると思うけど、いくらなんでも100万人は集まらないだろう。ただ違うのは観衆がカトリックの信者という「おとなしい」人たちではなく、サッカーファンであり、統制をきかせにくいというところか。

ブラジルの大都市でこの規模のイベントを実施できるのは、やはりリオデジャネイロしかないというのがよくわかった気がする。そもそもサンパウロにはそんな場所はない、イビラプエラ公園にあれだけの人数が収まる?

僕もイベントの仕事に関わることが多いのだけど、準備段階では頼りないブラジル人業者だが、彼らの土壇場の踏ん張りに感心することが多い。今回もそんな火事場の馬鹿力が大いに発揮されたのだろうね。