iPhoneとiPadの生産がFOXCONNによってブラジルではじまるという話は、今年のはじめくらいからでていたが、iPhone専門に扱っているブログ「Blog do iPhone」が現場に行って実際に作っているのを確認して記事にしている。それによると工場の所在地はサンパウロ市近郊のジュンジアイ市で、今工業都市として発展中の地域だ。
Blog do iPhone
このブログ、けっこう細かくオタクっぽくブラジルのiPhoneについて追いかけているので、要チェックだ。
工場はサンパウロとカンピーナス市を結ぶアニャンゲーラ街道沿いの大きく「FOXCONN」でているものではなく、他の場所にあるもので「FOXCONN」の名前はでていないとのこと。住所はANATEL(ブラジル国家電気通信局)の製造許可書にでていたところと同じで、同ブログは現地を訪れて工場の従業員にインタビュー、実際にiPhoneを作っているか確認し、iPadもこの工場で作られることになるといっている。
でも実際、いつ「ブラジル製」のiPhone、iPadが市場に出るんだろうね。今、電話会社との契約によってR$ 1000からR$ 2.000ぐらいするのが下がればユーザーとしてはうれしい。またうれしいと思う潜在的な将来のユーザーも膨大だと思うので、少し値段が下がるだけ一気に市場を広げてしまう可能性大。競合はGARAXYだけど、値段が同じになれば、使いやすさとデザインからいってブラジル人的にはiPhoneに流れるだろう。
実はFOXCONNはこのジュンジアイの工場だけでなく、大掛かりな進出(総投資金額120億ドル)を計画している。それですごいというか大胆なのは、ブラジルの投資開発銀行のBNDESを出資者として巻き込もうとしていること。当初の投資金額は40億ドルとのことだが、このうちの30%を同銀行に求めている。融資ではなく出資である
他の出資者で名前がでているのは、EBXグループのエイキ・バチスタである。2011年のフォーブスのランキングで世界8位(もちろんブラジル一)で300億ドルの資産をもつといわれる実業家で、5億ドルの投資について約束していると報道されている。彼はだいたい資源や運輸の分野に投資してきた男で、テクノロジーの分野での投資についてはあまり聞かないが、ただ確実に儲かりそうな話であるので、マイノリティであっても金を入れておこうとしていのだろう。
しかし、このプロジェクトですごいのは、FOXCONN自身は一銭もお金を入れずに工場を作ろうとしていることで、テクノロジーだけを提供をして、それで株主になるモデルを描いている。同社のテクノロジーはたしかにすごい金額で評価されるのだろうけど、それにしても相当強気なビジネスモデルだと思うのは僕だけだろうか。
もう一つのこのモデルの特徴はBNDESを通じてブラジル政府を人質に取ろうとしていることだと思う。政府とFOXCONNの交渉の焦点の一つは税制恩典などの特典の獲得といわれており、BNDESが出資者になれば、ブラジル政府もその事業がうまくいくように動かざるを得ないのではないか。
一方、ブラジル政府は自国のマーケット、つまり消費者の購買意欲がどれだけの価値を企業にもたらすか知っているから、以前のように企業誘致に血眼にならず、冷静にタフに駒を進めていくだろう。
それにしてもiPhone、iPadという一企業(アップル)が生み出した製品がこれほどのネゴになり、一国の政治、産業に影響を与えようとしている事実に驚く。
ブラジル、サンパウロで活動する広告会社のブログです。展示会、イベント、マテリアル製作、調査・マーケティング・コンサルティングの分野で、主に日本の企業、政府関係機関の業務のお手伝いをしています。日本語とポルトガル語のバイリンガルでアテンドいたします。
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今日の新聞にでていたけど、スカイプを作った人物のファウンドが、ブラジルのベンチャー企業を投資先として物色しているそうだ。スカイプそのものは、eBayに売却している。
ブラジルへの投資額は約2億8000万ドル。米国、中国に続く3番目の拠点をサンパウロに開き、投資評価のプロと契約するという。技術のコピーの多いインド、中国と違って、何でもブラジルは世界でもスタートアップ企業にイノベーション力があり、優先度が高いといってくれている。そこまでは僕はよくわからないが、あのスカイプを作った人物がいっているのだから、実際そういう傾向にあるのかもしれない。
日本のベンチャーファンドがこちらに来たという話は聞いたことがない。ブラジルがインフレ、リセッションで苦しんでいたころに撤退した企業の人に聞いたことがあるけど、本社のブラジルリスクについてのトラウマはすごいものがあるとのこと。本社に何を提案しても通らない。法律は変わる、インフレで決算書を見ても儲かっているのか、損をしているのかわからない。労働裁判はある、賄賂は求められる……。痛い思いをしたのだろう。だからベンチャーなんてとても怖くてということになると思う。
欧米系は良くも悪くも「ブラジル化」してけっこう踏ん張って、がんばった。そして、それが花咲いて今元気がいいという感じではないかな。最近では資源を中心に中国がものすごいお金を注ぎ込もうとしている。日本ももっと真剣にブラジルと取り組まないと、みんな欧米、中国に持って行かれてしまうよ。アジア圏だけの商売ではもうやっていけないのでは。
とにかくブラジルは世界中からお金、製品、サービスが流れこんできている状況だ。そのポテンシャルの鍵を握るのが電力、港湾、道路などのインフラ。次の大統領の最優先課題だ。
ブラジルへの投資額は約2億8000万ドル。米国、中国に続く3番目の拠点をサンパウロに開き、投資評価のプロと契約するという。技術のコピーの多いインド、中国と違って、何でもブラジルは世界でもスタートアップ企業にイノベーション力があり、優先度が高いといってくれている。そこまでは僕はよくわからないが、あのスカイプを作った人物がいっているのだから、実際そういう傾向にあるのかもしれない。
日本のベンチャーファンドがこちらに来たという話は聞いたことがない。ブラジルがインフレ、リセッションで苦しんでいたころに撤退した企業の人に聞いたことがあるけど、本社のブラジルリスクについてのトラウマはすごいものがあるとのこと。本社に何を提案しても通らない。法律は変わる、インフレで決算書を見ても儲かっているのか、損をしているのかわからない。労働裁判はある、賄賂は求められる……。痛い思いをしたのだろう。だからベンチャーなんてとても怖くてということになると思う。
欧米系は良くも悪くも「ブラジル化」してけっこう踏ん張って、がんばった。そして、それが花咲いて今元気がいいという感じではないかな。最近では資源を中心に中国がものすごいお金を注ぎ込もうとしている。日本ももっと真剣にブラジルと取り組まないと、みんな欧米、中国に持って行かれてしまうよ。アジア圏だけの商売ではもうやっていけないのでは。
とにかくブラジルは世界中からお金、製品、サービスが流れこんできている状況だ。そのポテンシャルの鍵を握るのが電力、港湾、道路などのインフラ。次の大統領の最優先課題だ。