桜の花が街を彩り始め、好天で汗ばむ陽気となった三月末の水曜日、桜巡りを楽しむ。
けやき坂通りの突き当りに、中高層建築に囲まれてひっそり鎮座する小さな神社がある。
その名を桜田神社という。
路地のような参道を入ると、段の上の真正面からそれた所に社殿が見える。
段を上がると、奥には小さな庭があって、見上げる程の桜が周囲の建物を覆い隠すように枝を広げていた。
その枝は、淡く紅をさす白っぽい花をたくさんつけている。
始まりは、治承四年に源頼朝の命により祀られたとされる。
当時は、霞山櫻田明神と称して桜田門外に鎮座していたが、江戸初期に当地に遷座したとのこと。
名の由来は、頼朝が奥州平定の御礼として田地を寄進し、その御神田を囲むように桜を植えたことによるという。
今はささやかな佇まいだが、創建の頃は霞山(霞が関)にてさぞ見事な桜田であったろう。
参考:東京都寺社案内「港区西麻布の神社」/東京都神社庁「港区の神社」/港区『麻布地区の旧町名由来一覧』
そこから北の方へと歩を進める。
六本木通りの道すがら、これまた高層建築の隙間に、美しい枝垂桜と山門が見えた。
光専寺である。
この寺は、二代将軍秀忠公の御台所、お江の葬儀と法事に従事した。
当地は、お江の火葬地であるという。
参考:麻布地区総合支所 麻布を語る会「麻布未来写真館」/東京都寺社案内「港区の寺院」
さらに、六本木交差点を乃木坂方面へと折れる。
東京ミッドタウン前で、龍土町美術館通りに入った。
通りの中央が桜並木になっている。
通りの先は国立新美術館と政策研究院。
龍土町美術館通りを戻ると、突き当りが東京ミッドタウン。
建築物も見事だが、どこもかしこも桜がきれいであった。