思いがけず見つけたそれは、川口納豆の酒瓶。
大塚の商店街をゆるゆる歩く宵の口。
灯りが町の風情を、より濃く浮かび上がらせる。
川口納豆は、昭和24年(1949年)から納豆造りをしている、宮城県栗原市一迫にある会社。
社長が農業人としての思いも強く、この会社は原料の大豆栽培はもちろん、米や野菜も栽培している。
川口納豆では、酒造に適した米の美山錦も栽培する。
その米を使い、同じ一迫にある金の井酒造にて醸造したのが、酒の「川口納豆」だ。
川口納豆はよく食べたものだが、この酒のほうは、好機に恵まれず、残念ながら未だ味わっていない。
飲んでみたいと思いながら、栗原の景色と空気がまざまざと浮かぶ一瞬を楽しむ。
そしてまた、大塚の町をゆるゆると歩いた。
(注/ゆくりなく=縁なく:偶然、思いがけずの意。ゆかり=所縁・縁:つながり、かかわりあいの意。)