深井動物病院からのお知らせ

堺市・深井駅近くの動物病院『深井動物病院』からのお知らせのブログです

なぜ狂犬病予防注射が法律で義務付けられているのかお話します。

2012年03月31日 | 病院のお知らせ
毎年この時期になるとこの話をしています。
少し長いですが、どうか最後まで読んでください。

狂犬病はウイルス感染で発症する伝染病です。
ときどき「うちの子供が犬に指を咬まれたが狂犬病は大丈夫か?」
といった問い合わせを受けることがあります。
どうも一般の方には「犬は元来狂犬病の病原体を体内に持っているもの」
というようなまちがったイメージがあるようです。
これは獣医師の責任でもあると思います。きっちり狂犬病というものを
皆さんに説明することを怠ってきたためです。
元来、犬は狂犬病ウイルスに感染しているわけではありません。
日本には半世紀以上、発症した犬は確認されていません。
ただし、東アジアや東南アジアは狂犬病多発地域ですので、
安心している場合ではありません。物流の発達した現代では
いつ国内で発生しても不思議ではありません。

「狂犬病」という病名も誤解を与えているのでしょう。
狂犬病はほぼ全ての哺乳類に感染発症します。ただし、動物種によって
その「感受性」に大きな差があります。
犬は「感受性」が高く、人も残念ながら「感受性」のやや高いグループに
属します。
狂犬病を発症した犬は狂暴になり人に襲いかかり咬みつきます。
唾液中にウイルスはたくさん存在し、咬み傷からウイルスは感染します。
数週間という短期間で中枢神経が侵され、死に至る恐ろしい病気です。
発症すると有効な治療法は未だになく、致死率はほぼ100%です。


人の集まる都市部での狂犬病の流行は、犬が主な感染源になります。
野犬を捕獲し減らすことと、飼犬に予防注射を接種し感染防御することで
都市部での流行は防ぐことができます。
飼犬に狂犬病予防注射を受けさせる意義はここにあるのです。
犬の感染を防御することで人の生命も守れるのです。

どうかご理解のうえ、ぜひ愛犬に狂犬病予防注射をおこなってください。

4月になれば、平成24年度狂犬病予防注射が始まります。

2012年03月31日 | 病院のお知らせ
「狂犬病予防法」に3ヶ月齢以上の飼犬は年1回の予防注射と
行政への飼犬登録が義務付けられています。
年度始めの4~6月におこなうように定められています。
堺市在住で過去に飼犬登録をおこなっている方には
すでに堺市から通知書類が届いていると思います。
内容をよく確認の上、その書類を持って予防注射接種にお越しください。
はじめての方はお持ちいただくものはありません。
当院は堺市から狂犬病予防注射事務委託を受けている堺市獣医師会会員病院
ですので、注射と同時に飼犬登録などの事務手続きがおこなえます。
(堺市以外でお住まいの方には事務手続きはおこなえません。地元の
保健所に予防注射接種証明書を持参し手続きをおこなってください。)
堺市では4月に市内の各会場で「集合注射」もおこなわれますが、
できればかかりつけの動物病院で受けることをお勧めします。
うちは料金も集合注射と同一料金でおこなっています。

犬の春の予防の御案内を発送しました。

2012年03月31日 | 病院のお知らせ
犬にとっては春になると狂犬病予防注射が始まり、ノミも活動を始め、
しばらくするとフィラリア予防も始まります。
犬をお飼いで昨年フィラリア予防をされた方と昨年秋以降
初診で来られた方に、これら予防についての御案内を30日にお送りしました。
5月は込み合いますので、4月の早い時期にお越しいただければ
無用にお待たせすることは少ないと思います。
御不明な点はどうぞお電話でお問い合わせください。

首輪の締め付けには注意を!

2012年03月16日 | 病気や治療について
これはショッキングな症例です。
夜遅くに時間外でやってきました。
帰宅すると猫の首が切れているのに気づいてびっくりして連れてきた、とのこと。
市販のノミとり首輪の締め付けがきつくて首の皮膚に食い込んでいました。
ほぼ首の全周で損傷があり、特に下半分は完全に皮膚が壊死しています。
麻酔下で周囲の被毛を刈り、よく洗浄してから縫合しました。
残念ながら飼主さんの不注意が招いた悲惨な症例です。
以前にもいたずらで「輪ゴム」を首に巻き付けられて、同様に皮膚が壊死した犬の
症例を載せたことがあります。珍しいですがたまにあります。
他にリボンを付ける際に皮膚を引っ張り過ぎたり、長い毛を編んだりなどして
皮膚が壊死することもあります。
動物の体に何かを付けたり、着せたりする時は注意が必要です。


皮膚の全層が壊死して下の組織が見えています。


よく洗浄した後、縫合していきました。

酒に酔った犬!?

2012年03月16日 | 病気や治療について
まだ5ヶ月齢のプードルが意識も朦朧として起立どころか
体を起こすこともままならないフラフラの状態で来院しました。
午後の4時間程度、知人に預けていたらこうなった、とのこと。
それ以前に問題はなく、知人に事情聴くとウイスキーのボトルを
割ってしまい、床にこぼれたウイスキーを舐めたかもしれない、というのです。
犬にとってはかなりの刺激臭と思われますので、ウイスキーを舐めるとは
私も長年この仕事に携わっていますが聞いたことがありません。
かなり聴き取りしましたが、他に心当たりがなく、血液検査、レントゲン検査にも
異常はありませんでした。結局原因不明のまま、一晩預かって点滴をおこなうことに
しました。すると夜遅くにはふらつきながらも立ち上がり歩けるようになり、
日付が変わる頃には食餌も摂るまでに回復しました。
翌朝は元気も元通りで、無事退院となりました。
結果的に「飲酒による酩酊状態」だったのでしょうか??
身の回りには危険がいろいろあるものだなあ、といまさらながら思ってしまいました。



窒息に注意を

2012年03月12日 | 病気や治療について
先日悲しい症例がありました。
土曜の夜10時30分頃、入浴中に突然急患がアポなしでやってきました。
急いで風呂から上がって降りていくと11歳のダックスがぐったりしています。
おやつのガムをいつもどおり与えたら突然苦しみだしたということです。
残念ながらすでに死亡していました。死因はガムを喉に詰らせた窒息死です。
口を開けてみると喉の奥にガムが見えました。鉗子で引っ張り出すとダックスには
少し大きめなガムの「結び目」部分でした。

犬は人のように咀嚼して食べるわけではありません。
飲み込める大きさの物は噛まずに飲み込んでしまいます。
また、老人のように犬も老化によって飲み込む力が弱くなります。
今まで飲み込めていたものが老化によって飲み込みにくくなるのです。
以前にも高齢なシーズーが鶏肉を喉に詰めて窒息死した症例がありました。
他にもリンゴや乱切りの蓮根を飲み込んで食道閉塞をおこした症例もありました。

特に高齢な犬には塊の食物は与えないようにしましょう。


いわゆるおやつ用ガムの端の「結び目」です。ダックスに与えるにしてはやや大きかったように思います。

正常位置(陰嚢内)にない睾丸(精巣)には注意を!

2012年03月03日 | 病気や治療について
通常、精巣は2個あって陰嚢内に収まっています。
しかし、時々その片方あるいは両方が陰嚢内にない場合があります。
正常位置にない精巣には生殖能力はありませんが、性ホルモンは分泌できます。
将来精巣癌になる確率が高く、正常位置にある精巣に比べ10倍以上といわれています。
どの位置にあるかというと、鼠径(そけい)部(内股の後肢の付け根)か腹腔内のいずれかです。
鼠径部なら飼主さんでも異常に気づきますが、腹腔内となると末期までわからないこともしばしばです。
正常位置にない精巣は、なるべく早く切除するのが望ましいでしょう。
特に腹腔内にある場合は開腹手術になりますので、飼主さんも消極的になるケースもよく見られますが、
悪くすると命に関わる重大な問題ですので、積極的に切除手術をおこなうべきでしょう。


12歳のダックスの仰向けに保定した手術直前の写真です。右鼠径部が大きく膨らんでします。陰嚢内には
2個とも精巣が確認できません。さらに左鼠径部には精巣らしきものは確認できません。


結局、右鼠径部は腫れは精巣が腫大化したもので、左精巣も腹腔内ですでに腫大化していました。
病理検査の結果、左右両方とも精巣癌でした。