“好きという気持ちには、どうやって区切りをつければいいのだろう。どんな状態になれば成功したと言えるのか。どうすれば満足できるのか。告白したって、デートしたって、妊娠したって、どれも正解には思えない。だとすれば、下手に行動を起こして後悔するより、自分の中だけで大事に持っている方がよっぽどいい。”
これって、映像化されるかもね。映画でもドラマでもいいけど、青春群像って感じで。
文章も読みやすいが、登場人物たちもいい。実際にはこんな大人っぽい会話する高校生たちいるかな?って感じがするけど。また、登場人物たちがけっこう他人のことになると勘が鋭くなり、自分のことがみえていないというパターンが多いのがちょっと気になる。
毎年、全校生徒が80kmの行程を夜を徹して歩く(走る)「歩行祭」。一般的には修学旅行の夜などのハイな気分を想像すると、近いのかもしれない。自分だったら、こんなに会話してられないだろうなと思うけど。設定は、スティーブン・キングの『死のロング・ウォーク』や『スタンド・バイ・ミー』を思い出させてしまったが、やはり恩田作品。ミステリ手法とノスタルジックな味つけだ。
【北校:3年男子】
西脇融・・・・・・・テニス部。近寄りがたい存在だけど、ひそかにモテモテ。同じクラスに実は異母兄弟がいる。
戸田忍・・・・・・・好漢という言葉がぴったり。融の親友。融と貴子をくっつけたがっている。
芳岡祐一・・・・・甲田貴子の老成しているBF。分析好き。天文学者志望。
高見光一郎・・・ロック好き。昼間はゾンビのようだが、夜になるとテンション高くなる。
志賀清隆・・・・・スポーツ万能、勉強もトップクラス。美和子のBF。
【北校:3年女子】
甲田貴子・・・・・ひそかな賭けをおのれに課して歩行祭にのぞむ。自称軟派な文科系。
遊佐美和子・・・才色兼備、絶滅寸前の大和撫子だが進歩的な考えを持つ。家は和菓子屋。
後藤梨香・・・・・演出・脚本家志望の文学少女。毒舌家。
梶谷千秋・・・・・飄々としているが、秘めた思いを胸にしまっておく保守的タイプ。
古川悦子・・・・・従姉妹を妊娠させた犯人を捜している。弁護士志望。
榊杏奈・・・・・・・帰国子女。現在は渡米しており、作中では登場しないが、圧倒的な存在感。
内堀亮子・・・・・男殺しの「涼やかな目」を持つが、身勝手な性格。融に果敢なアタックをしかける。
【その他】
西校の女子生徒・・古川悦子の従姉妹で、評判の美少女。西校2年生。最近、堕胎。
男の子の幽霊・・・去年も現れた誰も知らない男子生徒。今年も現れるのか?
さすが、本屋さんがすすめる一冊だけのことはある。金を受け取って帯にあおり文句を連ねる作家や評論家よりも眼力は上だし、信頼が置ける。読んで損はない。
本屋さん推薦にもかかわらず、図書館で借りて読んだ。すまん。
恩田 陸
新潮社 (2004.7)
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『夜のピクニック』