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緑地に褐色の斑点という珍しい色使いのラン「パフィオペディルム・インシグネ "オディティ"」(2022 蘭シリーズ016)

2023年01月15日 06時50分33秒 | 

緑地に褐色の斑点という珍しい色使いのラン「パフィオペディルム・インシグネ "オディティ"」 Paphiopedilum insigne。インドのアッサム地方に生育する着生蘭だが、唇弁が袋状にならず、丸まるのが特徴。それでオディティ、すなわち「風変わりな種」という名前がついたのだろう。インドやネパールなどの1000m から2000mの高地に自生する着生蘭である。この種は交配のために活用された。

(2022年冬 神代植物公園) 

■2022年蘭シリーズ

「デンドロビウム・エイマピンク・サクラ」(2022蘭シリーズ001)
「ミルトニア・アズテック "エバーグレイズ・グリーン"」(2022蘭シリーズ002)
「デンドロビウム・ベリー」(2022 蘭シリーズ003)
「レリア・ゴールディアナ」(2022 蘭シリーズ004)
「デンドロビウム・アノスマム」(2022 蘭シリーズ005)
「デンドロビウム ゴールドシュミディアナム」(2022 蘭シリーズ006)
「オンシジウム・プラニアブレ」(2022 蘭シリーズ007)
「リカステ・チタ・インパルス」(2022 蘭シリーズ008)
「プロステケア・コクレアタ 白花」(2022 蘭シリーズ009)
「プロステケア・ガリシアナ」(2022 蘭シリーズ010)
「パフィオペディルム・バルバトゥム」(2022 蘭シリーズ011)
「パフィオペディルム・セリゲルム」(2022 蘭シリーズ012)
「パフィオペディルム・ローレンセアナム」(2022 蘭シリーズ013)
「パフィオペディルム・スピケアナム」(2022 蘭シリーズ014)
「パフィオペディルム・ウィロスム」(2022 蘭シリーズ015)

パフィオペディルム・インシグネ Paphiopedilum insigne はラン科植物の一つ。洋ランとして栽培され、この属の代表的存在であり、交配親としてもきわめて重要。

パフィオペディルム・インシグネ
Paphiopedilum insigne

概要
この種は非常に古くから知られ、この属のタイプ種でもある。緑地に褐色の斑点を持つ花をつける。花は小輪ではあるが、栽培がきわめて容易なため、非常によく栽培される。黄緑花の変種があり、これも含め、多くの交配品の親となっている。

特徴
常緑性の多年草。葉は3-5枚を根生し、緑色で長楕円形。花茎は斜上して、先端に1輪をつける。背萼片は楕円形で黄緑地に赤褐色の丸い斑点を散らす。縁は白くなり、波打つ。側花弁は広い線形で、黄緑地に褐色を帯び、先端は緩やかに前に向かって曲がる。唇弁は浅い褐色で縁は黄緑、袋状で縁は少し外向きになり、耳は大きい。

なお、変種としてサンデレー var. sanderae がある。基本変種の花色から褐色が抜けたもので、全体に淡い緑色で、背萼片の縁が白い。


変種サンデレー
分布と生育環境
インド・アッサムに産する。

利用
洋ランとして栽培される。花は大きくないが、栽培が容易なために広く栽培される。発見も古く、1819年にWallichによってアッサムで発見され、すぐに英国に送られ、翌年にはリバプールの植物園で開花した。

本属の「原種として一番知られている」だけでなく、「洋蘭中最も広く知られている」とさえ言われた。開花時期が12月であるだけに、クリスマスや正月用の切り花としても重用されてきた。

変種のサンデレーは洋蘭で有名なサンダー商会が本種を輸入した際に一株だけ出現したもので、「極めて上品な感じを持っており」、これもよく栽培される。他に個体名のつけられたものに三倍体で花が12-3cmにもなる'Harefield Hill'や、側花弁も袋状の唇弁になった'Oddity'などが知られる。

また、本種そのものが栽培されているだけでなく、交配親としても非常に重要で、とても多くの交配品を生んでいる。「改良の中心的役割を果たし」、「現代交配種の先祖」との声もある。変種サンデレーは黄緑色系の花を作出するための交配親に使われる。たとえば初期の交配種リーアヌム Paph. Leeanum は本種と Paph. spicerianum との交配種で、1884年に登録されている。本種より背萼片が幅広く白身が強い程度ではあるが、これらを元に、より大きく、より美麗な品種が多数作られた。

 

 

 



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