野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

優雅なコラレット咲きのダリア「テスブルック・オードリー」(ダリア・シリーズ27)

2019年11月15日 10時22分53秒 | 

ピンクがかった白の外側の花弁と、内側の白の小さな副弁が、中央の黄色い大きな「カラー」を囲むダリア「テスブルック・オードリー」。ダリアらしくない優雅なコラレット咲きのダリアダリアで、ファンも多いようだ。

(2019-10 東京都 神代植物公園) 

 

 


初々しいサーモンピンクのバラ「シルバ」(薔薇シリーズ13)

2019年11月15日 08時50分26秒 | 

メイヤン家がピースをベースに育種したバラ「シルバ」。シルバは森を意味するラテン語だ。半剣弁高芯咲きのサーモンピンクの花弁がういういしく、それでいて少しいろっぽい。照り映える葉も、花の初々しさと対照的で、森らしい雰囲気をかもしだしている。

(2019-10 東京都 神代植物公園) 

 

バラ「シルバ」

ピースとコンフィダンスという名花同士の交配。花はサーモンピンクで中心は黄色が強くなります。半剣弁高芯咲きで花付きよく、葉は濃緑色、ピース譲りの照り葉が特徴。ほのかに香りもあります。現在は貴重な品種。

品種名 シルバ
ローマ字 Silva
商品番号 1180161
系統 ハイブリッド ティー (HT)
Hybrid Tea
咲き方 四季咲き
香り 中香
花径 12㎝
樹高 1.2m
樹形図 1b番 半直立
作出年 1964年
作出国 フランス
作出者 Alain Meilland


凛とした雰囲気が素敵なコマクサ(箱根シリーズ17)

2019年11月15日 07時23分23秒 | 

まさか箱根の山でお目にかかろうとは思っていなかったコマクサ。かつて高山でよく見たコマクサに間違いない。土壌を工夫すればこの箱根湿生花園でも育つのだと感心した。「女王」と呼ばれるだけあって、凛とした雰囲気が素敵だ。

(2019-09 神奈川県 箱根町) 

 

 

コマクサ

「高山植物の女王」コマクサ、荒涼とした場所に咲く孤高の花

高山に可憐に咲くコマクサは、「高山植物の女王」と称され、人気の高い花だ。可憐な姿の一方で、その生き方は力強い。コマクサの秘密について、自然・植物写真家の高橋修さんが説明する。

「高山植物の女王」と称される、小さくも美しい高山植物。漢字では駒草。駒とは馬のことで、花が細く馬のようだ、ということで名付けられた。だが、蕾のほうが馬面に見える。ちょっと変わった構造をした花だが、ケシ科である。

コマクサは、寒さ、強風、乾燥など、環境の厳しい高山帯でも特に厳しく、ほかの高山植物が生えることができないような稜線の砂礫地を好んで生える、孤高の花である。

この環境に耐えられるよう、地上部は小さくても、地下に茎や根を長く伸ばしている。草丈10㎝程度の小さなコマクサからは想像がつかないが、地下では1m以上に伸びていることもあるようだ。

コマクサが砂礫地の斜面を好むには理由がある。砂礫地の斜面は雪や氷、雨、風によって地表がよく動き、植物にとって非常に住みにくい環境。有機物は少なく、雨水はすぐに流れ、蒸発し乾燥しやすく、紫外線も風も強く、冬には厳寒にさらされる。こんな厳しい環境なのだが、背が低いコマクサにとってよいことがひとつある。ほかの植物が生えることができないので、植物との競争が少なく、太陽光線をたっぷり受けることができることだ。

独特な草色をした葉は、細かく分かれている。高山帯には霧が多い。細かく切れた葉には霧が付きやすく、高山帯で貴重な水を得るひとつのチャンスになっているようだ。根が広がっているということは、たくさんの水分を得られるということ。こうして、地上部が小さいコマクサも、いろいろな形で乾燥に対応している。

コマクサの根は、不安定な砂礫地の地下に長く広がっている。このため、コマクサの地上部の近くの砂礫地を踏むだけで、コマクサの長い地下部分が切れ、枯れてしまいかねない。野生のコマクサにはむやみに近寄らないようにしよう。

ロシアのカムチャッカ半島でもコマクサを見た。カムチャッカ半島は火山の半島だ。火山噴火による砂礫地が多く、そんな火山の山麓に見渡す限り、コマクサとリシリヒナゲシの仲間のチシマヒナゲシだけが生えていた。このような荒涼とした場所がコマクサの本来の生育地ではないだろうか。日本の高山帯は、コマクサにはちょっと狭すぎるのかもしれない。

コマクサの群落。写真のように砂礫地に孤高に花を咲かせる
北アルプスの白馬岳や八ヶ岳、東北の秋田駒ヶ岳、北海道の大雪山などが大きな自生地だ。手軽に見るなら、山頂近い部分まで車で上がることができる乗鞍岳がよい。

コマクサの花色は淡い紅色。この微妙で優しい色がすばらしい。北海道産のコマクサはやや花色が濃い傾向。花色が妙に赤い園芸品種のコマクサをたくさん植えている山もあるが、やはりコマクサは野生のものが一番。

野生のコマクサは、生息地の長い歴史と、自然環境の生き証人なのだ。そこには深い意味があり、まだまだ未知の事実もたくさんあるだろう。自然を守るということは、自然の歴史と、環境を守るということだ。コマクサを大事にしよう。