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国産定番万年筆 最弱インプレ

実用上十分、ほとんど最強と考える実売1~2万円の国産万年筆をレポート。カスタムパーツ製作も左下BOOKMARKで紹介中。

[ 089 - ひさびさに調整依頼 ]

2009年06月28日 | ペン先に注目
●インク途切れや書き出しのかすれやひっかかりなどが無いので実用上問題は無いカスタム743のペン先B。
久しぶりに、"勝手に応援サイト" を運営している街の万年筆店に顔を出すと話が弾みました。調整がたまっていて忙しい時期が続いていたので、調整戻りをチェックするような "預ける調整" はずっと遠慮していたのですが、話の流れによってその場でちょちょいと調整してもらうことになりました。
●数分後。いやあグンと良くなりました。インクの出が別段増えたわけでもありませんが、滑らかと風味が増しました。さっきまでダシが無くて味噌だけの汁だったのが、ダシ入りの味噌汁になりました。
こういう変化は品質の不安定さですが、むしろ面白いですねえ万年筆は。

http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=513079004

[ 020- 丸いペンポイントをひねる ]

2007年07月01日 | ペン先に注目
■私は限定解除世代のバイク好きで、以前は教習所を借り切りパイロンで1方通行のコースをつくってタイムを競う ジムカーナで遊んでいました。狭くてクネクネなので最高速度が上がらなくて安全ですし、日常スピードでのテクは要るしで、楽しんでいました。
 バイクのタイヤはクルマのタイヤと違って断面が円弧を描いているので、接地面はごく小さなものです。コーナーリング時にはその小さな面の持つ一定の摩擦力が、
 1) 横滑りに耐えるコト
 2) 前進しようとする駆動力に耐えるコト
に配分されます。だから目一杯バンクしている時には摩擦力がほとんど 1) に使われて 2) のための余裕が無く、アクセルを開けられません。チョイとハンドルをこじってでもなるべく車体を早く起こして 1) の仕事を減らし、アクセルを開けている時間をできるだけ長くするように工夫したものです。一時、タイヤの摩擦力のキャパ自体を増量するために、接地面を増やすべく特太のタイヤのバイクを持ち込むという手も流行りましたが、すぐに下火になりました。あまりに太いタイヤだと、直進時は良いのですが、カーブでバイクを傾けていくと、タイヤの接地点が車体の中心線からどんどん遠くなって( 上図 )、 車体を引き起こそうとする力が働くようになります。その違和感が好きでないという者が少なくなかったのです。
■話が脱線しすぎですね。でも極太の線を書く多くのニブが平たいのは、バイクのタイヤではなくて、クルマのタイヤのように設計する方が合理的だということかもしれないですね。
丸い特太も、丸いからといって上図のように傾けて切り割りが紙から離れては具合が悪いでしょう。実際はマイク・スティーブンス氏が言うように "いろんな方向に傾けたりひねっても良いニブ" ではなくて、玉さんのおっしゃるように紙に真っ直ぐ当てて書くモノかも知れません。ただし丸いとハネやハライで紙から持ち上げて次の線に飛ぶときに角が引っかからないので運筆の自由度が少し高まる気がするとか。・・・まだ良く分りませんが、書きながらそんな( 無駄にコ難しい ) ことを考えています。

[ 019 - ズームとコース - 2 ]

2007年06月27日 | ペン先に注目
■前回の記事に対して 玉さん から頂いたコメントによって、少し考えたことがあります。

■とがった鉛筆の先を紙に当てたままで軸を30度ひねっても大したことは起こりませんが、
お好み焼きを返すヘラを鉄板に当ててもち手を30度ひねると鉄板に接していたヘラの一方の端は鉄板から離れて数センチほども持ち上がります。

■最初は恐ろしく難しいと思えたのに慣れると自然に扱えるようになるモノゴトは沢山あります。
補助輪の無い自転車。逆上がり。テレビゲームの1面クリア。キーボードのブラインドタッチ。クルマの運転。限定解除の一本橋。スキーやスノボー。などなど。 さて、万年筆は最初から上手く書けてあたりまえの道具なのでしょうか。
記事 017で米国人の方がズームを試して 「 ズームにおいてそれがすごいのは、最大限角度を変えて色々な持ち方をしても、常に凄く滑らかであり続けるというその事実なんだ! 」 と語っておられるわけですが、私は "M越え" から間が無いので、どうもまだ特太ニブの乗りこなしが下手である気がします。常に滑らかとは言いにくい。
お好み焼きのヘラのように接地面が広いペンポイントなのに、恐らく軸をひねってしまっているのでしょう。運筆の途中でかすかにキュッとブレーキがかかるような感触が、ズームとコースの双方で起こります。
「A.万年筆での書きかたは人それぞれによって個性がある( 単なる違い )」
「B.万年筆の書き方には慣れ不慣れ や 上手下手がある( 技量の優劣 )」
という表現でいうと、もしかしたら、接地面がやたら広い特太で書くことに関しては、Bが言えるのかもしれないという気がします。少なくとも私にとってこの2本は最初から「最高!」という感じはしません。あまりに自分の手に合わないと感じれば行きつけの店の老職人に調整を頼むと解決すると分っているのですが、最近は「ま、いいか」と思ってとりあえずしばらく使ってみることが多くなっています。今回も、ペン先が馴染む予感か、書き方が上手くなる予感か、ともかく使ううちに良くなるだろうな、という気がして特に落胆はしていません。

■またPILOT コース に関しては、前回記事へのコメントにも書きましたが、私の普段の持ち方よりも立てて書くとかなりスムースでほとんどブレーキも感じないで済みます。玉さんがパイロット社の方から聞かれたという話では、コースは首軸を持って書く角度に合わせて調整してあるそうなので、その意味では設計どおりの性能なのでしょう。

[ 018 - ズーム と コース-1 ]

2007年06月20日 | ペン先に注目
■セーラー社とパイロット社の、極太の更に上、"特太" のペン先である「ズーム」 と 「コース」。
海外製万年筆のBB( 極太 ) 以上のペン先は平べったいペンポイントをつけていることが多いように思います。イリジウムは白金族の高価な貴金属なので紙に触れない内部の質量は無駄だから削るということなのか、イリジウムにすり付く穂先部分の板厚を薄めに抑えたいということなのか。
一方で、これら日本の2メーカーの特太は、丸々とした巨大なイリジウムをドーンとつけています。
■側面からイリジウムを眺めると、どちらも丸い いなり寿司型に研がれています。良く似ていて大きな違いは無いように見えます。ただしイリジウムにすりつく穂先の板厚は少しズームの方が厚いように思います。
■紙に当たる面に正対して眺めると、コースは少し角を丸めた長方形のようなイリジウムに見えます。 ズームはコースと同様な形状を研ぎだした後にもう1工程を加えて、先端の左右( 左下写真の赤矢印の部分 ) を斜めに面取りしたような形です。ズームとコースの違いと言っていいのか、この2本の個体についてはそうだった、というだけの話なのかはまだ分りませんけれど。

[ 014 - ペン先11種の比較写真 ]

2007年06月02日 | ペン先に注目
[ 014 - ペン先11種の比較写真 ]
■ブログに載せる画像サイズには制限があるようなので、別のサイトに11種のペン先の比較写真を掲載しました。ご覧ください。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/05-topic-news/AB9-06.htm

■この記事の写真は、F(細字)とM(中字)の中間の太さの中細字と、2段階太い極太字のペン先の比較写真です。かなり違います。
仮に、カスタム742のEFとBB、プロフィット21のEFとBB、の4本を書き比べたら、違いを印象付けるのはメーカーの相違でしょうか、それとも線の太さの相違でしょうか。
何というか・・・日本人の赤ん坊とお年寄り & イタリア人の赤ん坊とお年寄り、の4人がいたときに、国籍が違いを最もよく説明するか、世代が違いを最もよく説明するか、という感じ。

■話は変わりますが。
このPILOTカスタムペン11種の試し書きセットは、セットの本体に各万年筆のキャップが固定されて取り外せなくなっていて、書くときには首軸&胴軸をねじってそこから外します。そのままだとキャップ無しですが、本体右端にビヨ-ンと伸びるコードにつながれたキャップが一つセットされていて、"試し書きされる際にはこのキャップを尻軸に挿してからお書きください" という説明が書かれています。
メーカーとしては、様々なテストを経た末に、キャップを尻軸に挿して書くことを基本にして、重心やバランスを設計しているということではないかと思われます。
ゲンコツ握りの方が増えている状況は筆記具メーカーとして当然知っていると思いますが。 

注)万年"筆" の「筆」という字は、姿勢よく座り、手首を紙に着けないで浮かせたまま、寝かせずに立てた筆を持っている手指の様子の象形だそうです。そういえば横棒は指と同じ5本ある。いわゆるペンの書き方とは違う持ち方の象形です。
http://kodo-tamaki.com/log/eid24.html