国産定番万年筆 最弱インプレ

実用上十分、ほとんど最強と考える実売1~2万円の国産万年筆をレポート。カスタムパーツ製作も左下BOOKMARKで紹介中。

[ 072 - 筆記時のロケットバレル ]

2008年06月07日 | 比較
■メールでご要望をいただきましたので、筆記時の姿をご覧にいれます。

■しばらくこの軸で書いてから標準品の軸にまた戻すと、細くて軽くてずいぶん痩せているように感じられます。でもしばらく標準軸を使い続けると、その標準品の感覚が当たり前になってきて軽快感を好ましいと思い始めます。ロケットバレルは標準品の欠点を直したというわけでなく、単に味の違う料理だというべきかもしれません。

■但し、筆記しないときにキャップを締めた状態の外観について、これは全く個人的な主観ですが、標準軸で「キャップの径と 軸の径 の差」 が大きくてキャップ部と軸部の "段差" が大きすぎる気がする、という気がかりは、この替軸によって改善されました。
キャップを締めた状態で 「1本の万年筆としての塊感」 は、替軸装着時の方が筆者は好みです。

■ロケットバレルの解説サイトは下記URLです。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/05-topic-news/Custom/cent-g-00.htm

[ 071 - ロケット バレル ]

2008年06月06日 | カスタム化
■しばしば、パイロットのカスタム743SMと742Mを使っています。
ナミキブランドの万年筆を除くと、限定品でないパイロット社のカタログモデルで、もっとも大型な万年筆がこのカスタム743と742だと思います。この2本はしかし Montblanc 社の146サイズの万年筆です。
同じ国産のセーラー社ではより大型で Montblanc 149サイズの『キングプロフィット』がカタログに載っていますが、パイロット社は同クラスのペンを用意していません。実用上743サイズで十分大きいという判断なのでしょうか。

■このパイロットカスタム743SMの樹脂製胴軸の、直径は12.5mm、胴軸重量は約5.7gです。
キャップを尻軸につけない筆記状態で重心の位置はペン先から約68mm。キャップを加えた全体重量は25.2gです。

■標準の743は使いやすい万年筆です。しかし個人的な好みからあえて言うならば、『軸の径がもう少し太いといいなあ』 とか 『もうすこししっかりとした重量が感じられるといいなあ』 とか 『キャップ無しの状態でもう少し重心が後ろにあるといいなあ』 などと思っておりました。

■というわけで、金属塊を切削して造るカスタム軸の試作を続けておりました。
Montblanc149と同じ太さの軸なども試作しましたがキャップを締めた状態で不恰好でした。
幾つかの試作を経てこの3月に納得のいく替軸が出来上がり、試用してきました。とくに不都合もトラブルもなく大変気に入っています。昨日ある万年筆愛好者の方と偶然会った際に胸ポケットに挿していてつい披露してしまったので、ブログでもご紹介することにします。

■各メーカーがカタログに載せている、軸が金属質に見える万年筆は、樹脂製の胴軸に薄い金属製化粧板が巻いてあります。またコストがかかるネジなどは樹脂で大量生産した部品を組み込んでいます。
しかしこの替胴軸は、ビール缶のような薄い金属板のプレス生産などではなくて、バイクやオーディオのカスタムパーツのように、アルミ塊から1本1本切削しています。

■この替軸に変えることによる変化はおおまかに下記のようなものです。

・標準胴軸重量=5.7g  替軸重量=15.0g

・標準胴軸直径=12.5mm   替軸直径=13.8mm

・標準軸と万年筆全体重量=25.2g   替軸と万年筆全体重量=34.0g


■胴軸本体は軽いアルミ製で、尻軸の金メッキ部品は比重の重い真鍮に18金メッキしたものです。
これによって、キャップを尻につけない筆記状態で、標準の胴軸付ではペン先から重心までが68mmに対して、替軸の胴軸付ではペン先から重心まで81mmとなります。重心が13mm後方に移動して、より筆者の好みに近くなりました。
この真鍮製の尻軸部品は知り合いの職人さんにお願いして1個1個ランダムに面取りしてもらい、不整形な多面体になっています。飾り部品は沢山造りましたが1個1個面取りの形が異なります。手作りですので。ランダムな面が角度によってキラキラ光ります。
実は試作段階ではもっと目を引くような形状の尻軸部品も試作しましたが、飽きると嫌になりそうで、最終的にこの、おとなしい意匠の飾りに落ち着きました。

■替軸本体を握ったグリップ感はどう変わったか。軸の少し後ろ寄りを持って寝かせて書く際には13.8mm部分を持つので太くなった分しっかりした大型万年筆らしく感じられ、首軸近くを持って立てて書く際には12.5mm部分が指に来て今まで通りです。
またキャップを尻軸につけると、鏡面磨き仕上げはしておらず、ごく微細でミクロな切削跡がたぶん残っているためか、食いつくようにとてもしっかりと取り付けることができます。

■不具合が無いとわかってきたのでもう軸の造り直しはしない予定で、塗装色を何にしようかと検討しているところです。標準品とは違うんだぞ!と主張する金属の質感を活かす塗装にするか、金属切削品であることは裏地のお洒落のように重さや重心で楽しむことにして純正品と似る黒色で塗装するか。このためにせっかく工作機械を止めてセットする関係上もったいなくて個人で使うには多い一定数量を造っているので、何本かを自分用に使うことにして、何色かに塗り分けるかもしれません。そうだ、なす紺もいいですね。

■この替軸もまた、万年筆の重心を筆者個人の好みに近づけよう、というCenter-G コンセプトで製作しています。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/05-topic-news/Custom/cent-g-03.htm
欧米において万年筆の胴軸は 『 Barrel : バレル 』 と呼ばれます。
この替軸の尻軸部品がキラキラ反射するのをロケットエンジンの噴射炎に見立てて、試作段階では 『ロケットバレル』 と呼んでいました。

■ロケットバレルの解説サイトは下記URLです。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/05-topic-news/Custom/cent-g-00.htm