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[ 048 - 海外での長刀研ぎの人気ぶり ]

2007年09月30日 | 海外サイト勝手に翻訳
●インターネットのおかげで無料で沢山の知識が増やせるものだから、専門家と一般人の差が縮まったと言われます。ネット情報はほんとに便利です。でも日本語サイトは世界のサイトの2%なのだとか。万年筆関連でも英文サイトや英文ブログには、もっといろんな情報が溢れているはず。ネット以前に較べて( 英会話能力より ) 英文読解能力の価値が高まっているのでは。1日に新しい30人の方と面会することは難しくても、新しい30サイトを読むことは可能です。
というわけで、例によって海外のサイトの記事を勝手にWeb 自動翻訳にかけてみて、海外における日本製万年筆の評判についての理解を、わずかでも、深めたいと思います。
●まことに勝手ながら、Web 自動翻訳の訳文の正確さに責任は持てません。


--------------以下 ザ・ファウンテンペン・ネットワークより-------------
http://www.fountainpennetwork.com/forum/index.php?showtopic=17457

《 セーラーの長刀研ぎっていいですか? の掲示板 》


( 質 問 者 )
セーラーの1911( 日本名プロフィット ) の長刀研ぎを手に入れようかと検討しています。でも、通常のMニブでも凄く滑らかなので、長刀が通常のニブよりもそんなに凄く良い書き味なのか、いまひとつ確信が持てずにいます。だれか、長刀ニブを試した人はいますか? 割高な価格に見合う価値がありますか?


( 回答者A )
凄く滑らかだけど、それはBニブ以上の長刀の場合。 Bニブが好きなら、長刀は買いだよ。


( 質 問 者 )
アドバイスありがとう。でも、日本製万年筆の線幅表記は欧米表記に較べて細めだと聞きました。
あなたがおっしゃるのは、「欧米Bニブ相当の長刀を買え」 ということでしょうか? 「日本表記Bニブ( 欧米Mニブ相当 )を買え」 ということでしょうか?


( 回答者B )
提案があるよ。質問者君は英国在住かな?
もしそうであれば、「アンディ万年筆」のアンディにメールするといい。万年筆に関する名声も高い彼なら、きっと必要なアドバイスをしてくれるよ。 もしくは 「ザ・ライティング・デスク」社のサイトも、とても親切に疑問に答えてくれるはずだ。
もし君がアメリカ在住であれば、「オスカーブラウ万年筆」 のパム・ブラウン女史に連絡を取ると良いだろう。きっとイロイロと助けてくれるはず。
いずれの店も、万年筆愛好者の運営する店だから、正しい万年筆選びへと導いてくれるし、アフターサービスも厚いから安心できるよ。


( 回答者A )
長刀のイリジウムは、少しばかり太めで、先に行くほど薄くなっている。
筆記角度を立てれば立てるほど細い線が書けるけど、極細まではいかない。75~80度まで立ててしまうと書き味も悪くなる。それと、ペン先を裏表にひっくり返して書くと細い線が書けるんだが、少しカリカリする。


( 質 問 者 )
回答ありがとう。あなたの推測したとおり僕は英国在住で、アンディの店からも、ライティング・デスク社からも、万年筆を買ったことがあります。
さてまた別のことを尋ねますが、僕が今日この21金ペン先を取り外してきれいに洗ったなら、どこかで「長刀研ぎペン先」 又は 「エンペラーペン先」 と、僕の21金通常ペン先とを交換してくれないでしょうかね。
僕は1911デモンストレーターを使っていて、インク残量もよく分るし満足していて、実際のところさほど別のペンが買いたいわけではありません。買わずに特殊ペン先が手に入るならそうしたいんですが。~買わなきゃ手に入らないときはそうしますけど。


( 回答者B)
君の新しい質問に答えることができるのは、万年筆販売店の人間だけじゃないかな。君にペン先を売ることができる人間の最有力候補だから。
僕の推測では、特殊ペン先へのニブ交換は、セーラー社のオプションサービスの中に存在しないよ。
少なくとも例の 「エンペラーニブ」 のペン先だけ交換サービス は無いと思う。 というのも、ペン芯のインク供給量増強とセットではじめて機能する特殊ペン先のはずだからね。


( 回答者C )
セーラー社は、セールスの現場で、特製長刀ペン先を1911のベーシックラインに取り付けて売ること等は、販売店に対して許可しない方針だよ。ベーシックな1911は長刀ペン先を取り付けるほど立派ではない、下位の万年筆に過ぎないからね( セーラー社の別の軸だって特製長刀ペン先に見合うほど立派に見えるわけじゃないという点で、私個人はこのセーラー社の方針に賛成できないけど、それはまた別の話 )。
さてしかしながら、長刀ペン先だけをセーラー社から部品として買うことは可能だよ。でもかなり割高な入手方法になってしまう。長刀ペン先の部品価格は 250米ドル~550米ドルとかそのくらいだ。
ペン先部品だけをその値段で買うのであれば、セーラー社が長刀ペン先を取り付けて販売している最安価な軸との完成品価格が似たようなものなのだから、君だって完成品1本の方を選ぶだろう。


( 質 問 者 )
うーん、悩んでしまいますね。あなたのおっしゃるとおり、ペン先の部品だけを取り寄せて交換するよりは、1本の特殊ペン先付き万年筆完成品1本全体を購入したほうが、ずっと得なんでしょうね。
しばらくの間、ebay で欲しいものが売りに出ないか、粘ってみます。 どうもありがとう。


( 回答者A )
日本の信頼できる販売店が、ebay で継続的に 長刀ペン先付き1911を売りに出してるよ。僕はそこから100米ドル以下で調子の良いBニブを手に入れて、他のペンとの比較実験のためにウォーターマンの赤インクを入れて使っている。


( 回答者D )
長刀は凄いニブだよ! 僕は 「レアロ長刀」 を3ヶ月ほど使っているけれど、気に入りまくっている。
どちらかといえば普通のMよりは少し太めのMで、とにかく紙上を滑る滑る!!


( 質 問 者 )
実は僕もその日本の店から買ったことがあります。前述の格別安かった1911デモンストレーターの購入店なのです。 また、似たようなバーゲン( または奇跡の ) 品を見つけたら、報告しますね。

--------------以上 ザ・ファウンテンペン・ネットワークより-------------


欧米人も、「長刀研ぎ」 にスペシャルでミステリアスなイメージを描いて 「ぜひ試してみたい」 と思うみたいですね。
上記の掲示板のコメントの中に出てくる英国の「アンディ万年筆」 のサイトの、長刀に関する広告
文も Web 自動翻訳にかけてみました。ことさらサムライの刀に重ねて欧米人の興味を引くのは、
国産万年筆を海外で販売するのに優れた広告戦略であるように思います。

--------------------以下 英国アンディ万年筆の広告文-----------------------
       http://www.andys-pens.ukhome.net/1911.shtml

●セーラー社の誇り高い創業年をモデル名とした、1911シリーズでは、伝統的
で上品なスタイルの万年筆を作り続けています。1911シリーズのペンは基本的
に、高品質な樹脂の軸と、ソリッドゴールドのペン先を組み合わせています。

●ペン先が武士の刀であるならば....セーラー社のペン先デザイナー長原宣義名人
の手になる、「長刀形状」のペン先に特別な「長原研ぎ」を加えたニブを持つスペ
シャル・バリエーション1911、が発売されています。この、名人の手によって整形
される独特な形状のイリジウムは例外的に滑らかな書き味体験をもたらします。

●「長刀研ぎ」には、日本のサムライの長刀に似ている特製のイリジウムを取り付
けています。 "ナギナタトギ" とは、長くて反りのある刀、という意味です。この
独特なイリジウムと特別な研磨技は、最高の滑らかさと、書き手の個性を線の表情
に現すことを可能にしました。このペンは信じられないほど優れたインク出を見せ
てくれます。またこのペン先は、裏側で書くと、細い線を引くこともできます。

--------------------以上 英国アンディ万年筆の広告文-----------------------

[ 047 - 四角い軸の持ち方の "正解" は ]

2007年09月26日 | エンジニアリング
( ご指摘に感謝 )
●前回の記事 046 で、「QUATTROのペン先が少し斜めについていたのを老店主は直してから店頭に並べた」 という話を載せたところ、

「パイロット社では、四角い軸の持ち方に合わせて意図的に少し斜めにしているようだ」
「店主さんが 無知故に "余計なお世話で改悪をしている" と思われないように訂正なさってはどうか」
というメールでの助言を3件ほど頂きました。
また 記事 046 へのコメントでも同様のアドバイスを頂いておりました。
心配してくださったことに、誠にありがたく思います。 また、バタバタしていて対応が遅れたことをお詫びいたします。

( 四角い軸の万年筆を常用しています )
●しかしながら、実をいいますと。
確かに時間も無かったのですが、そんなに焦って訂正するような話でも無いな、と思っていたので対応が遅れたのです。
まず、筆者は、四角い軸の Waterman エクセプションを9ヶ月ほど使っています。
国産万年筆中心に切り替えてからも、寿司を食べる時のガリかお茶のような「口直しペン」として使い続けています。
エクセプションはペン先が硬くて軸の重いペンですが、私の書き方では、長文を書くときに疲れず、いつまでもいつまでも書きやすいままなので、とても重宝しています。筆記の快感は薄いけれども道具としてラク。重いペンは疲れるってホントかいな、という感じです。 ほかのペンだと、しばしば、長文の途中で別のペンに替えて書きたくなるのですが。

( 常用してるのはペン先が斜めでなくとも気に入っているから )
●さて、そのように気に入っているエクセプションのペン先は、四角形断面の1辺の中心:クリップの直線上に揃えて、取り付けてあります。 最初の試し書きの時から、そのことに何か違和感を感じたことはありません。すごく慣れが必要だった、という記憶も無いのです。文通相手の皆さんにも、エクセプションの使い心地を報告するのに、最初からなかなかいいペンだよ、という感想しか書いた記憶がありません。 ( あんたがそう言うから試したが、自分には合わんかったという返事が多かった )
とはいえ万年筆オタクなので当然、最初は、四角い軸の持ち方とペン先の取り付け向きの関係についていろいろ考えてみた記憶はありますが、結局、何かを直さなくてはならないという必要性は感じなかったのです。

( 筆記時の軸って指の間でわずかに転がしてませんか )
●ところで、なぜ丸い軸の万年筆・筆記具が多いのでしょう。
筆記時の ハート穴 は、常に垂直に天井を向いているでしょうか。それをキープするように手に持っているでしょうか。
左に払うとき、右に払うとき.......。
万年筆の軸は指の間で、角度はわずかでも、右に左に転がされているように思います。それには丸い軸がよいのかも知れません。

( 四角形の1辺に指の腹を置く持ち方は安定志向 )
◆上の画像をご覧ください。軸が四角いエクセプションで、
四角形の 「平らな面」 に人指し指と親指の腹をペタリと置いて持ってみると、安定感が 「あり過ぎる」 気がします。 密着しすぎ。 パイロットさんは、このように持ったときにペン先が真っ直ぐ紙に当たるように、すこし斜めに取り付けておられるようです。でも四角い軸はそのように持つのが標準だとするのは、大げさに言うと、野球の守備についたのに、爪先立ちにならず、かかと までぺったり地面につけて棒立ちしている感じです。
又は、傾けて曲がるオートバイに、クルマ用の断面が平らなタイヤを履かせて機動性を奪ったような、というか。 指の間で転がしにくくて、丸い軸ではちょっと感じない類の、ガシッと固定される感覚です。

( ペン先が "斜め取り付け" でない場合は 四角の頂点に指を置く )
●ペン先が斜めでないエクセプションで、ハート穴を天井に向けてペン先を紙に真っ直ぐおろすためには、指の間で軸を少し斜めに持ち、四角の 「頂点」 の付近に人差し指がきます。頂点といっても丸めてありますが。 この場合、指の間で軸を僅かに転がしてペン先の向きをハライやハネに合わせることが、( 平面にペタリと指を置く持ち方よりも ) 易しい気がします。
爪先立ちのようなフットワークの軽さを感じます。

( "お勧め" は "絶対正解" とは違うのでは )
●パイロット社が、ある角度をつけてペン先を取りつけるまでには、一定人数の被験者のデータを集めて標準偏差のピークあたりの角度を設定なさったのだろうと思いますので、そういう設計思想もアリなのだろうと思います。手元のエクセプションのペン先も、QUATTROに倣って少し斜めにつけ直して、四角形の辺の部分に指の腹を置く書き方を試してみたら、今でも気に入っている書き味が、もっと格段に書きやすくなるのかも知れません。 但し、
「日本人の "多く" は四角い軸をそのように持つ」 と全体に一般化するために必要なサンプル数は  (ちょうど選挙速報で、この数調べれば全部を開票しなくても当確が出せるというのに似ています ) 、  社会調査法上、有意確率を低めに設定しても、およそ1400サンプル程度です( 理想的には2200欲しい )。 パイロット社さんは、開発時に被験者を、さまざまな年齢性別職業指長を偏り無く1400サンプル集めたでしょうかね。 社員20人くらいに聞いて 調べたことにしたりしていないでしょうかね。 書き癖は "千差万別" だとかいいます。
必要なサンプル数の出し方は、下記サイトをご覧ください。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/blog/sanplsu.htm

●ともかく老店主には、
 「真っ直ぐに付け直すのは、メーカーの標準設定を変えたことになるようだ」   と電話しておきました。 店主は、

 「ほ~、面白いねェ。メーカーの意図的な気配りだったのかい。でも仕入れる際にそう
  いう説明をしてもらったか覚えてないねェ。ガイドになる溝などで取り付け角度が変
  更できないように強制はしていないということは "パイロットのお勧め角度" という
  程度の、ゆるく融通を持たせた設定ではないのかね」

と申しておりました。
 「メーカーの意図を知らずに取り付け角度を変えたのなら店主が恥を書くのでは」
と心配してくださった方がメールで教えてくださったのだと言うと、

 「ご心配頂いてありがたいが、80過ぎたこの歳で、いまさら評判や名声がちょっと上
  がった下がったと、気をもんだりしませんよ。それに、取り付け角度の意図をワシに
  伝える側の人間が、"ちゃんと伝わっていなかった" と、気をもむ話では無いのかね?
  まあ、書きにくいと言われるお客さんには、どんな角度にでもセットし直してあげますよ」

と話しておりました。

●QUATTROは、まずは 「パイロット社お勧めの角度」 で試して、気に入ればそれでよし、でも角度を変えようと思えば変えることもできる、という、「どうなんだろう」 とワクワク探る楽しみが、普通より1つ多い万年筆なのかも知れません。 その意味で、老店主はペン先を付け直してしまうことで、パイロットの発見したお勧め角度の書き具合をまず試してみる楽しみを奪った、ということは言えると思います。

●というわけで、四角い軸のペン先の取り付け角度や持ち方に ただ1つの 「正解」 があって、その他は誤りであるような認識は、私個人は持っていません。
四角い軸を実際にほぼ毎日、9ヶ月に渡って使っている者の実感です。自分で使っていなかったなら、パイロットさんのお勧めを鵜呑みにしてそのまま信じたかも知れませんが。
ともかく、この記事で興味を持って、販売店で国産新製品QUATTROの "試し持ち" をする人が増えるといいなあ、と期待します。

※記事 049 に関連記事あり。

[ 046 - QUATTRO見てきました ]

2007年09月23日 | インプレ
●パイロットの新製品 「QUATTRO」 を見てきました。
清潔感のある端正な印象の3万円台の万年筆。
創業年から数えて何年目に発売されたのかと 価格を並べて、モデルNo. とする同社の文法に沿えば、2007年はパイロット社創業89年目で定価が3万円なので、「QUATTORO 893」 という感じでしょうか。

●Waterman エクセプションのように四角い断面をしていて、キャップと軸の素材使いは Faber-Castell 伯爵コレクションを連想させるかも知れませんが、実物を見たときに「あれの真似だ、恥ずかしい....」 という気分にはならず、なかなかいいな、と思いました。
この調子で新しいテイストにチャレンジしていただくと、来年は90周年ですし、次の新型モデルあたりでは、何も連想させない素敵なデザインの万年筆が現れてくるかもしれません。

●清潔でシンプルで、キャップリングのようなデコレーションも排しているので、3万円分の重厚感や高級感を無遠慮に発散するわけではありません。でも、上質感はあります。 "メガネ" とは呼ばない最近の洒落た "アイウエア" をかけた方の手元にマッチしそうです。

●ちなみに、四角断面なのに、キャップはカチッとはめる嵌合式ではなくて、ネジ式です。
ネジ式ですが、キャップを閉めると、クルクル回ったあとで必ず、軸とピッタリ面一な位置で止まります。斜めにズレたりしません。
筆記時に軸尻にキャップをつけるのも同様にネジ留め式ですが、クルっと回った後で、クリップは必ず四角形の1つの面の中央でピタリと止まります。斜めにズレたりしません。

●ただし、店に納品されたときに、2本とも肝心のペン先が、胴軸の四角形に対して少し斜めにズレていたそうです。老店主はそのズレを直してから店頭に並べておられます。

●また、キャップをしている時も、尻軸にキャップをつけた時も、軸とキャップの境目に、径が違うための段差は全くなくて、シルエットは1つの塊のようです。

●ペン先は、他の定価3万円万年筆の743や823ほど大きくなくて、小ぶりです。

●下記のサイトでも紹介して、谷原章介に例えました。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/05-topic-news/AB11-9.htm


[ 045 - ペン芯の素材は エボかプラ? ]

2007年09月19日 | エンジニアリング
●よくペン芯の素材として、エボナイト製とプラスチック製がある、と2つに分けた話がされます。
プラスチックは製造法や分子構造や特性の違う種類がたくさんありますが、ペン芯の 「プラスチック製」 って各社同じ樹脂なのでしょうか。

●プロフィット21のペン芯はいわゆるプラスチック製らしい、表面で全ての光を反射する光沢の、黒い樹脂です。
一方手元にあるパイロットカスタムのペン芯。新品の購入時には表面に何か粉をふいている風。うっすらと光が透けて、当たった光が内部でも拡散反射しています。
もともと透明な同じプラスチック樹脂を、セーラーは濃く黒く着色し、パイロットは透明度を残して薄く青く着色している、という印象とはどうも違います。 表面の質感がそもそも違う感じ。セーラーのペン芯樹脂の硬度が高そうな感じなのに対して、パイロットのペン芯は少ししっとりとして軟らかく吸水性がありそう。 特に新品時は青っぽい羊羹(ようかん) 風に見えます。

●写真は両者のペン芯です。
パイロットのペン芯はインクに染まっていますが、光にかざすと、僅かに青く光が透けて見えます。
やっぱりセーラーとパイロットそれぞれのペン芯は、樹脂への着色が違うのではなくて、樹脂の素材分類自体が違う感じです。
もしくは、セーラーは樹脂を最後に磨き仕上げしていて、パイロットは造りっぱなし仕上げなのか。
それとも、セーラーのペン芯はプラモデルの部品のように型で作られ、パイロットのペン芯は製造に切削工程が含まれている感じ。

●爪楊枝を濡らしてペン芯の先っちょの三角形の斜面に水滴を置くことを各3回やってみました。セーラーでは表面張力で丘状に盛り上がって留まるのに、パイロットではじわっと流れて広がって吸入穴に入ったりします。 おそらく汚れ具合( 拭き具合 ) の違いが原因ですが、樹脂表面の特性も違うのかも知れません。

●パイロット社に問い合わせても、ペン芯の素材が何かは教えてはくれないでしょうし、そんなことで広報の手を煩わせると、「万年筆オタクがまた訳の分らんことにこだわっている」 と、メーカーから嫌われちゃいそうです。
気になって眠れないわけでもないので 「メーカーによってなんかペン芯の質感が違うね」 ということで、とりあえずおしまいにします。

[ 044 - 743と 146と 742 ]

2007年09月15日 | 比較
■左から、PAILOT カスタム743、 Montblanc 146、 PILOT カスタム742、のペン先です。
違うような気もするし、似ているような気もします。
743のハート穴はずいぶん先寄りにあるように見えます。

■PILOT カスタムは、[ 通常版か ソフト版か ] でハート穴位置その他が違っています。写真の743は通常版。 ソフト調子の <SM> であれば、743のハート穴はもっと先寄りに位置することになり、146と較べた時の 見た目のペン先設計思想の違いがもっと明確になると思います。
http://blog.goo.ne.jp/fine-man_2007/c/b809df89e1fb27a3908ce0003b57ab1b

[ 043 - 読者の方の Center-G 予想図 ]

2007年09月15日 | カスタム化
●真鍮軸を送った一人の方から、キャップだけでなくて軸も完成した場合の、「勝手に完成予想図」 が届きました。
某メーカーのデザイン部門に在籍なさっている方。さっと描いた感じで とても雰囲気があります。 うれしい。 未発表の新型車について雑誌か何かが描いた予想図を眺める自動車メーカー担当者の気分ってこんな感じでしょうか( 偉そうですみません )。
素敵な色彩感覚です、これ。 スポーティな印象が増して、企画コンセプトの表現が濃くなった感じ。パイロットカスタムの面影はなくて、これならもうオリジナル万年筆になっていると言ってもよさそう。とっても良いです。

でも。尻軸のデザインは、実際にできるモノとは全く違います。
ただいま製造中の尻軸デザインは、もうすこし特徴というか個性があります。 ○○ヒップ と呼んでいます♪

●このイラストのトリムは金色でなくて銀色ですね。 いいな、このカラー・コーディネート。
トリムの素材はせっかくシルバー925製なので、バーメイル( 金メッキ ) ではなくてこのイラストのように銀色を残したい気が凄くしています。
でも、ペン先の金色が最後までそのままなので、それにあわせるためトリムは全てバーメイル金色になる予定。 いわゆるベターです

[ 042 - 742(M) と 743(SM) ]

2007年09月11日 | 比較
■嬉々として使っている743の(SM)ニブ。
これまで満足していた742の(M)ニブと並べてみると、当然ですが良く似ています。
少し離れたところからパッと見て区別する時には、キャップのクリップの取り付け部分のリングに注目しています。
リングがワイヤーのように細いのが742で、幅のあるベルトのような形状が743。

■どちらも書きよいですが、書き味は違っています。優劣だとは思いません。違っています。
書き較べて、
742( M ) からは新鮮な林檎のフレッシュな歯ごたえを、
743(SM) からは熟れて軟らかくなった洋梨の薫り立つ芳香を、
イメージしました。

.....なんて書くと、分りにくい上に 格好つけすぎですね♪

[ 041 - SMを使い始めました ]

2007年09月08日 | インプレ
■記事 012 ~ 014 でペン先11種を試して気に入ったパイロットのSMニブ。
数日前から、カスタム743の柔らかめのM、つまり (SM) を使い始めました。
以前にカスタム743のインプレはしないのかとコメントを下さった方に、「743は良すぎるので、このブログでは742までしか試さない」 とかなんとか宣言した覚えがあります。
すみません私は、思いつきで適当なことを書いては、前言を翻すことがよくある奴なのです。

■インクフローは潤沢です。
書き味は柔らかい。この柔らかさは、ボールペンやサインペンなどには決してあり得ない感触なので、「万年筆を使う意義」 の確認みたいな気もして、楽しいです。

■でもペン先というか穂先が柔らかいということは、コントロールするために無意識に気を遣うような感覚もあります。
あるウェイターさんがコーヒーカップをテーブル上に置くとき、最後の一瞬にソーサーの下側の小指で机との距離を測って着地させる、という話を聞いたことがあります。
硬いペン先であればペン先自体が、首軸を紙からどれだけ離して書くかのガイドとなるのでは。ペン先に任せて大雑把に置く感じ。
柔らかいペン先では、ペン先をどれだけ湾曲させ、首軸をどれだけ紙から離して書くかは、自分でコントロールしなくちゃならないのでは。 自分の意図した高さで首軸を空中に浮かせる感じ。慣れて書き方が上手くなるともっと良くなる気がします。

■というわけで、
「好きだな、この(SM)の書き味は。でも、大量に書いたなら、柔らかさの楽しさよりも疲労の方が前に出てくるかもね。大量に書くならプロフィット21の(M)くらいの硬さがあるペン先のほうがラクかも知れないぞ。...あ、だからプロフィットは大量に書く物書きの「プロ」に「フィット」する、と標榜しているのか?」
などと、これまたどうでもいい思いつきを、入手してこの3日間、カスタム743(SM)と プロフィット21(M) を書き較べては、ぼんやりと考えています。

[ 040 - 透明なプロフィット21 ]

2007年09月04日 | エンジニアリング
●前回掲載のモデルよりも少し大きい、プロフィット21の透明版です。
ペン先がずいぶんと大きくなります。

●ところで、透明な材料で何か工作をしようとおもったら、ガラスやアクリルのほかに何か手頃な材料があるでしょうか。どうも型に流し込んで焼成硬化できる透明な材料が、いろいろとあるようです↓。
http://www.minimum.jp/make/material/clear.html

●また、上記のサイト画面左のメニューにある「 オーブン粘土▼ 」 内 「 マーブル模様 」 の作り方には興味しんしんです。

[ 039 - 透明プロフィット ]

2007年09月01日 | エンジニアリング
●プロフィット21ではなくて、小さいほうのプロフィットスタンダードのスケルトンなモデルです。透明な素材を指すのであれば "骨格表示" を意味する「スケルトン」よりも、「トランスルーセント」 の方が正しいそうですが、後者はあんまり使わない言葉ですね。
万年筆愛好者は「デモンストレーター」と呼ぶことが多いでしょうか。Google で

 "fountainpen skeleton" で検索すると 696 件が、
 "fountainpen translucent" で検索すると 487 件が、
 "fountainpen demonstrator" で検索すると 237 件がヒットします。

海外でもスケルトンがポピュラーなのかと思ってしまいますが、
"fountainpen skeleton" でgoogle 画像検索してみると透明な万年筆では
なくてトラス構造っぽくて "骨格" な感じの
http://skeletons.zz.tc/fountainpens
な万年筆たちばかりがヒットします。

●プロフィットの軸素材はPMMA樹脂であるとカタログに書いてあります。
プラスチック樹脂を分類した
http://www.uclid-f.com/zairyou.htm
によると、「アクリル」 のことのようです。このサイトの説明によると、

 ・プラスチック随一の透明度を持つ。
 ・透明で紫外線透過率などは普通のガラスよりも大きいほど。
 ・透明で光学的特性はプラスチックのなかで最も優れている。
 ・耐候性に優れている。
 ・外観、表面光沢、表面硬度も良好。
 ・熱加工しやすく、加熱軟化して曲げても白化しない。

となっています。もともと本来は透明な素材なんですね、PMMAは。
その透明なアクリルを、たとえば
http://www.koei-ltd.co.jp/Plastic-net10.htm
のような着色剤で黒くしたものが普通のプロフィットには用いられているのでしょう。

●それにしてもアクリルは、たいへん優秀な物性を持つ素材ですね。エボナイト
も優秀だと言われますが、ノスタルジーを別にすると、変色など分りやすく目に
付く欠点があるエボよりも万年筆向きだと思われます。樹脂に関する色々なサイトが
『アクリルはプラスチックの中でも最も美しいと言われ、
 その美観や透明性から「プラスチックの女王」と呼ばれています』
などと記述しているのを読んでからプロフィット(黒)を眺めると、透明な素材を
黒く着色したものらしく透明感や深みのある、素晴らしい黒だと思えてきます。
●「本当はエボナイトが軸素材として最高であるが加工が難しいので使用例が減っている」
という表現を私も長いこと信じてきましたが、樹脂素材に詳しいある方から、
「エボナイトは熱伝導率が極めて低いので優れている」という話について実際は

[ 熱伝導率 W/(m・K) ]
 ・アクリル  0.19
 ・エボナイト 0.17   

なので、他の樹脂製万年筆に対してエボは比べ物にならないほど優れていると
いうほどでもなく、あまり違いは無いという見方もできる、と教えていただき
ました。また、熱で膨張する割合に関しては、

[ 熱膨張率 α×10-6 ( 1℃毎 ) ]
 ・セルロイド 10
 ・エボナイト 50~80

とセルロイドよりもエボナイトの方が伸縮が激しいので、あらゆる点で優れた
素材と言い切るのには慎重になったほうが良い、ということでした。

●またゴム系の樹脂であるエボナイトの研究や改良に日々投じられているエネルギーと、
石油樹脂であるアクリルの研究開発改良や設備投資に対して世界中で投じられて
いる資金や人材や才能とを比較すると、圧倒的にアクリルの方が大きいでしょうし。
あ、私が長く愛用している1本はパイロット社のエボナイト製万年筆「カスタム845」 で、エボナイトは理屈ぬきでなんだか好きです。
でも、物性があらゆる面で優秀だから好きだ、というわけではありません。

●一般的な黒いプロフィットと、透明なプロフィットの、見た目には大きく異なる
軸素材の違いがもたらす重量バランスの変化について調べてみようかと考えた
のですが、止めておきます。おそらく全く同じでしょう。