夕方からの雨は激しい風と一緒に時折殴りつけるように降り続いている。でも何もない夜だ。何もないように感じる夜。でもザワザワしてる。本当はザワザワすることがあった。ただやり切れない不安交じりの夜。でもこれが毎日なんだろうと思う。何かあったのに何もなかったフリをして過ごしている。どうしたいわけじゃない。どうしようもなくただ時間が過ぎるのも仕方ないのでどうにかしようとしているこれまでと同じ、そう、いつもの夜なんだ。
この身体が当たり前に動くことを、僕はいつも忘れてしまう。親指を骨折しちまう。小指も折っちまう。足の捻挫を重ねてしまう。肩を脱臼してしまう。爪を深爪してしまう。風邪をひいてしまう。口の中に口内炎ができる。鼻づまりになる。ニキビができる。あぁ僕はこんな風に身体を痛める度に、ほんの些細な事でも不便を感じて不機嫌になり泣きたくなりやり切れなくなり惨めになり、そうなる前の当たり前の身体に感謝するんだ。そして時が経ちまた忘れる。何をやっているんだろう?ホント何やってんだろうね、僕は。でもこんな僕だからごめんなさい。今のうちに言っておくよ。ありがとう。いつもこんな僕に付き合ってくれて。君を十分に休ませてあげたいとも思うけれどまだまだこんな日々が続いていくんだよ。続けなくちゃ駄目なんだよ。きっと。続けていきたいんだよ。ずっと。どうしようもない僕がここに居るのは・・・その答えを追いかけてみたいんだ。探してみたいんだ。みんなそうしているように。やり方や思いや形だったりその動機や求めるモノや大きさや方向や過程や・・・でもね、たぶん違うけど同じなんだ。なんだか途方もないことのようにも思えるし、シンプルすぎてつまらなくも思える。けれど僕はやめないと思う。今日みたいな夜に、僕はまたそう思っているから。