季節は秋。もうすぐ見慣れた山々が色づき、まるで恋をしているかのように化粧を始める。だからだろうか・・・。そんな彼らを見て僕も何故かドキドキする。誰かの真剣な眼差しを目にすると、それに入り込んでしまう自分がたまにいる。僕は何がしたいんだろう。
そんな秋特有の準備を進める山々を尻目に、庭の草木は初夏の如く若々しい緑を輝かせていた。彼らから生命の息吹が感じられてきそうだ。若さ故の躍動。季節は秋だというのに。いや、何も固執することはない。今の精一杯。それぞれの鼓動。それぞれの目的。それぞれの道。選ぶのは彼らで僕ではない。