「…、…。」
目が覚めてもそこはどうしようもない現実で、やっぱり天気はなかった。暗い暗いコンクリートの天井、部屋。そこに紛れそうになって、けどなんとか浮かび上がっている灯篭のような生き物はかつての嵐だ。
「…夢を、見たよ。」
「どんな?」
かろうじて答えてくれるけれど、その声はなんとなく震えていた。大空の元でなしに生まれる嵐など嵐に非ず、それは私も同じ。最強と謳われた雲より冷徹にして生まれし雪。空の元でなければ、縁日のかき氷と同じかもしれない。
「雨の話。並盛中の、野球の合同試合でね。」
さらりと小さな音を立ててカーテンが開いた。寝ていた所為で闇に慣れていた目には日光は眩しくて。シーツを深く被ると剥ぎ取られた。…何すんのよぅ。
「あんたは、文句を言いながら、あの人の隣でそっぽを向いてた。『負けたら許さねえからな』って。あの人は苦笑しながら、あいつを応援してて、」
ついでに頭を叩かれた所為で目は確かに開いてしまった。ばかぁ。投げつけた枕は床に撃沈、腕組みで睨まれた。
「あの子もね、あいつは仲間にするとか、あいつは銃が得意そうだとか、そんなこと言ってて。あの人は止めろよって、言ってたの。」
名前を口にしない私に苛立ったのか相手は私の投げた枕を投げつけてきた。避けもしなかったそれは起き上がった私の顔面にクリーンヒット。鼻が圧し折れたらどうしてくれるのよ。
「私は雲と一緒に端っこの方に居た。けどね、私は応援してたんだよ。頑張ってって。負けないでって。そうしたら目が合って、雨は格好良く笑って、『おう』って。『頑張るかんな』『見ててくれよ』って。雲は不機嫌そうにして、『群れるな』なんて言ってたけど。」
けらけら笑いながら欠伸を零した。伸びをしてベッドから出ると唐突に服を投げつけられた。服着ないで寝るなって。私の勝手でしょ。
「晴はいつもみたいに『極限頑張れ!』なんてよくわからないことを叫んでた。隣ではあの子も居て笑ってた。あの人も幸せそうだった。」
投げつけられた服を来て立ち上がる。まだ寝てたかったんだけど…。今日が終わるだろ、って言われた。別にいいじゃんって言えないのは今日なんだけど、でもやっぱり眠かった。
「ああ、雷は地面に座り込んでお弁当のつまみ食いなんかしてたの。霧のあの子もね、こっそり覗きに来てたわ。よく晴れた冬の日だった。雲があって風が吹いてて、ちょっと朝靄が掛かってて、静電気が凄くて。雨が降った次の日みたいに葉っぱは濡れてた。…丁度10年前の私たち。」
ガーターを絞めて太もものポケットに銃を突っ込んだ。よし、じゃあ行こっか。すっきりさっぱり切り取った言葉に嵐は顔を歪めて踵を返した。平和で幸せだったなあ。呟くとそうだななんてぶっきらぼうに返ってくる。
むうと頬を膨らませて私はその背に頭突きした。
葬式に来なかったでしょ、あんた。
―――
(大空の話。)
10年前って話じゃツナが死ぬのは9年後になるんですが…。
ど、どんまい!!(∑)気にしちゃいかん☆(滝汗)
題名の通りなので某ちゃんは勝手に持っていくこと。以上!(…)
目が覚めてもそこはどうしようもない現実で、やっぱり天気はなかった。暗い暗いコンクリートの天井、部屋。そこに紛れそうになって、けどなんとか浮かび上がっている灯篭のような生き物はかつての嵐だ。
「…夢を、見たよ。」
「どんな?」
かろうじて答えてくれるけれど、その声はなんとなく震えていた。大空の元でなしに生まれる嵐など嵐に非ず、それは私も同じ。最強と謳われた雲より冷徹にして生まれし雪。空の元でなければ、縁日のかき氷と同じかもしれない。
「雨の話。並盛中の、野球の合同試合でね。」
さらりと小さな音を立ててカーテンが開いた。寝ていた所為で闇に慣れていた目には日光は眩しくて。シーツを深く被ると剥ぎ取られた。…何すんのよぅ。
「あんたは、文句を言いながら、あの人の隣でそっぽを向いてた。『負けたら許さねえからな』って。あの人は苦笑しながら、あいつを応援してて、」
ついでに頭を叩かれた所為で目は確かに開いてしまった。ばかぁ。投げつけた枕は床に撃沈、腕組みで睨まれた。
「あの子もね、あいつは仲間にするとか、あいつは銃が得意そうだとか、そんなこと言ってて。あの人は止めろよって、言ってたの。」
名前を口にしない私に苛立ったのか相手は私の投げた枕を投げつけてきた。避けもしなかったそれは起き上がった私の顔面にクリーンヒット。鼻が圧し折れたらどうしてくれるのよ。
「私は雲と一緒に端っこの方に居た。けどね、私は応援してたんだよ。頑張ってって。負けないでって。そうしたら目が合って、雨は格好良く笑って、『おう』って。『頑張るかんな』『見ててくれよ』って。雲は不機嫌そうにして、『群れるな』なんて言ってたけど。」
けらけら笑いながら欠伸を零した。伸びをしてベッドから出ると唐突に服を投げつけられた。服着ないで寝るなって。私の勝手でしょ。
「晴はいつもみたいに『極限頑張れ!』なんてよくわからないことを叫んでた。隣ではあの子も居て笑ってた。あの人も幸せそうだった。」
投げつけられた服を来て立ち上がる。まだ寝てたかったんだけど…。今日が終わるだろ、って言われた。別にいいじゃんって言えないのは今日なんだけど、でもやっぱり眠かった。
「ああ、雷は地面に座り込んでお弁当のつまみ食いなんかしてたの。霧のあの子もね、こっそり覗きに来てたわ。よく晴れた冬の日だった。雲があって風が吹いてて、ちょっと朝靄が掛かってて、静電気が凄くて。雨が降った次の日みたいに葉っぱは濡れてた。…丁度10年前の私たち。」
ガーターを絞めて太もものポケットに銃を突っ込んだ。よし、じゃあ行こっか。すっきりさっぱり切り取った言葉に嵐は顔を歪めて踵を返した。平和で幸せだったなあ。呟くとそうだななんてぶっきらぼうに返ってくる。
むうと頬を膨らませて私はその背に頭突きした。
葬式に来なかったでしょ、あんた。
―――
(大空の話。)
10年前って話じゃツナが死ぬのは9年後になるんですが…。
ど、どんまい!!(∑)気にしちゃいかん☆(滝汗)
題名の通りなので某ちゃんは勝手に持っていくこと。以上!(…)