まず、本人は他人の考えがわからないということを念頭に置いた上で、そのキャラの世界観のみで構成されたSSが書けるくらいにはキャラ付けをしっかりしなきゃいけない、と想った。それだけ。
愛しい彼女がもう一度だけ俺に会いに来て一言だけ欲しい言葉をくれるのだとしたら。
おそらくそれは「愛してる」でも「好きだった」でも「許すよ」でもないだろう、大体そんな言葉は絶対に欲しくない。吐き気がするような綺麗事はいらないからただ、こう言って欲しい。
「死んでしまえ」
蔑むような瞳で嘲笑いながら、俺を指差して死んでしまえと言って欲しい。例えば最愛の彼女が会いに来てくれるのだとしたら。そうしたら多分死んでくれなんて言葉じゃ足りないから憎しみで研いだ小刀を片手に何度も何度も心臓を突き刺して、満足したら誰か「彼女の愛する人」と幸せにしながら去って欲しい。俺を床に磔にして、俺だけを残して、俺を不幸にして欲しい。そうしたらたまらなく俺は嬉しいだろう。
俺の願い?
「彼女に殉じること」
例えば最愛の彼にもう一度だけ会うことが出来て一言だけ言えるのだとしたら。
おそらくそれは「最低」でも「大嫌い」でも「不幸になれ」でもないだろう、そんな刃のような言葉は絶対に口にしたくない。傷つけてしまうような類の言葉は嫌いだから拙くてもこう言いたい。
「幸せになってね」
心からの願いを込めて最高の笑顔で幸せになってねと言って、それを彼が信じてくれればいい。例えば最愛の彼にもう一度だけ会うことが出来るのだとしたら。そうしたら多分言葉だけじゃ彼は信じないから嫌がられても突き放されてもずっとずっと抱き締めて耳元で何度だって綺麗事を並べ立ててあげようと思う。それで彼が幸せになれて私を必要ないというのなら私は喜んで身を引くだろう。
私の願い?
「彼が幸せであるように」
―――
前者の男は不死身なので刺されても死にませんがそれはつまり、「床に釘や何かで固定されたら永遠に痛いまま死なない挙句動けない」ってことです。意識も失ったりしません。彼女が自分に復讐してくれるのを嬉々として待っています。それ以外は望んでいません。愛してるとか今更言われても信じられません。そんな事はいいから俺を殺して嫌な感情をスッキリさせろと。それは俺のせいなんだろと。そんな感じの奴です。
後者の女は死んでいるので彼に会いに行くことができません。どんなに幸せを願っても届かないのです。なのに彼はどんどん自分を追い詰めて不幸になろう不幸になろうとどんどん深みに落ちていく。本人はそれで(狂気の沙汰ではあるものの)幸せなのですが、彼女にとってそれは幸福ではない。彼女は「彼女が思う幸福の図に彼が当てはまるようになる事」が望みなのであり、「彼が幸福になる事」はそんなに重視していません。
お互いにお互いの気持ちを知ることができなくて、お互いにお互いの認識が間違っている二人の小話。
おそらくそれは「愛してる」でも「好きだった」でも「許すよ」でもないだろう、大体そんな言葉は絶対に欲しくない。吐き気がするような綺麗事はいらないからただ、こう言って欲しい。
「死んでしまえ」
蔑むような瞳で嘲笑いながら、俺を指差して死んでしまえと言って欲しい。例えば最愛の彼女が会いに来てくれるのだとしたら。そうしたら多分死んでくれなんて言葉じゃ足りないから憎しみで研いだ小刀を片手に何度も何度も心臓を突き刺して、満足したら誰か「彼女の愛する人」と幸せにしながら去って欲しい。俺を床に磔にして、俺だけを残して、俺を不幸にして欲しい。そうしたらたまらなく俺は嬉しいだろう。
俺の願い?
「彼女に殉じること」
例えば最愛の彼にもう一度だけ会うことが出来て一言だけ言えるのだとしたら。
おそらくそれは「最低」でも「大嫌い」でも「不幸になれ」でもないだろう、そんな刃のような言葉は絶対に口にしたくない。傷つけてしまうような類の言葉は嫌いだから拙くてもこう言いたい。
「幸せになってね」
心からの願いを込めて最高の笑顔で幸せになってねと言って、それを彼が信じてくれればいい。例えば最愛の彼にもう一度だけ会うことが出来るのだとしたら。そうしたら多分言葉だけじゃ彼は信じないから嫌がられても突き放されてもずっとずっと抱き締めて耳元で何度だって綺麗事を並べ立ててあげようと思う。それで彼が幸せになれて私を必要ないというのなら私は喜んで身を引くだろう。
私の願い?
「彼が幸せであるように」
―――
前者の男は不死身なので刺されても死にませんがそれはつまり、「床に釘や何かで固定されたら永遠に痛いまま死なない挙句動けない」ってことです。意識も失ったりしません。彼女が自分に復讐してくれるのを嬉々として待っています。それ以外は望んでいません。愛してるとか今更言われても信じられません。そんな事はいいから俺を殺して嫌な感情をスッキリさせろと。それは俺のせいなんだろと。そんな感じの奴です。
後者の女は死んでいるので彼に会いに行くことができません。どんなに幸せを願っても届かないのです。なのに彼はどんどん自分を追い詰めて不幸になろう不幸になろうとどんどん深みに落ちていく。本人はそれで(狂気の沙汰ではあるものの)幸せなのですが、彼女にとってそれは幸福ではない。彼女は「彼女が思う幸福の図に彼が当てはまるようになる事」が望みなのであり、「彼が幸福になる事」はそんなに重視していません。
お互いにお互いの気持ちを知ることができなくて、お互いにお互いの認識が間違っている二人の小話。