もう1つの感性の本棚

書くことを仕事にしている者として、日常をどのような感性で掬い取るか。

街の縁取り37~馬は駆け、人は賭ける。三条競馬場

2006-10-26 23:59:53 | 街の縁取り
 その存在はまったく知らなかった。

 仕事で、東京から新潟に戻る途中、燕三条でレンタカーを借りて、燕や白根を回っている際、信濃川に架かる橋を渡り切る間際、「異空間」が視界の隅に入った。
 いきなりハンドルを切るわけにもいかず、いったん通り過ぎて車を停め、歩いて河畔まで戻った。

 三条競馬場跡、正確には場外馬券売り場として再利用されている施設が、そこに存在していた。

 観客スタンドは閉鎖されていたが、地階の馬券売り場には、老年層を中心にした男達が、ガランとした大部屋で、競馬新聞を片手にテレビ画面を見ながらレースを見つめている。
 ダートコースの中心には大きな池があって渡り鳥(雁だろう)が休息している。このコースは今、乗馬クラブの練習場として使われているそうだ。砂地に馬の蹄跡があった

 競馬に余り興味がないので、冒頭に書いたようにまったく知らなかったのだが、ここは新潟県下で2つしかない競馬場の内の1つだという。
 ネットで調べると、地方競馬を巡っている人達のサイトやWikipediaで後知恵として知識を仕入れた。ここではWikipediaの内容を転載する。

 【三条競馬場】
 三条競馬場(さんじょうけいばじょう)は新潟県三条市にあった地方競馬の競馬場。新潟県競馬組合(新潟県・三条市・当時の豊栄市・新潟市で構成する一部事務組合)の管轄で、新潟競馬場(JRA併用)と交代で新潟県競馬を開催してきたが、県の予算が厳しい現状などを考慮して2002年1月の開催を最後に新潟県競馬の開催が廃止された(三条競馬場での開催は2001年8月が最後)。現在は東京都競馬に施設は売却され、南関東地方競馬の場外馬券発売施設となっている。

 新潟に来て強く感じるのは、廃れていくものの圧倒的な多さだ。
 東京の場合、廃れていくものも多いが、その跡に次のものが立ち上がる。
 地方都市には、この新陳代謝がない。廃れたものを除去することにもエネルギーとコストが掛かるため、廃れたままに放置されることになる。

 この競馬場に関しては、こういう言い方は間違いか。廃れたとは言えない。使われているのだから。機能と空間のギャップは大きいとしても。
 観光客の視点かも知れないが、ある種、贅沢なことかも知れないとも思う。コースの横で馬券が買えるんだから。東京の場外とはかなり違って、風光明媚でもある。

 役割を終えたと言われることが多い中で二巡目に入る新潟国体(2009年新潟ときめき国体)で、乗馬競技の会場になる可能性もあるらしいが、競走馬が再びここを疾駆することはまずないだろう。

 中央競馬ですら売上はピーク時に比べて半減近い状態にある。たまたま時期を同じくしてテレビ東京系で、競馬というか、サラブレッドの種馬市場のことを取り上げた番組を見たが、アラブ系の外資が経営が破綻した北海道の牧場を買い集めていることが紹介されたいた。日本はレース賞金が高く、種付け料もレースで買った馬が数千万円になる点が魅力らしい。
 施設が残った地方競馬も、もしかすると外資系が上手く活用する時代が来るのではないだろうか。
 競馬は金銭欲と直結し、優雅な遊びとしての虚栄心や興奮の受け皿として、もっと深堀り出来る。
 スパや他のギャンブル、またスポーツとしての乗馬と組み合わせ、オトナのレジャー施設として復活する余地はありそうな気がする。
 外資によって救われ、利用者にとって恩典がある施設としては、ゴルフ場という先例がある。その前には金融機関もあった。愉快なことかと言えばそうではないが、資産価値そのものを転がしていく方法論はともかく、実態として再生することを優先した場合、その担い手が内側にいないとすれば、外に求めるしかない。

 外資は、地方競馬にはすでに進出し、中央競馬への参入を目指しているそうだ。既存勢力の抵抗から阻まれているようだが、多分時間の問題だろう。

 今度、三条で馬券を買ってみよう。




 



 

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