もう1つの感性の本棚

書くことを仕事にしている者として、日常をどのような感性で掬い取るか。

街の縁取り45~南向きの海

2006-11-27 19:15:09 | 街の縁取り
 この週末、伊豆・下田方面に家人と出かけた。
 蓮台寺温泉に安いツアーで連泊し、中日には下田でレンタカーを借り出し、石廊崎、奥石廊崎まで足を伸ばした。

 太平洋は、8月に熱海に行って以来。新潟に転勤してから南向きの海を見るのも久しぶりだった。前夜はずっと雨が降っていたのだが、この日は晴れ間が広がった。

 南向きの海――。
 これにどういう意味があるのか、自分でも分からない。ともあれ北向きの日本海と真逆の方角に広がる海を眺めたということだけかも知れない。
 ここで書く程、意味を見出したわけでもないが、人が持つ「磁性」について再考した。
 以前、日本列島の並び方について、東北の人が南北に、西日本の人が東西にという感覚を持ちやすいことに触れたことがある。
 ロシアが下で太平洋が上にある地図はよく知られているが、暮らす場所における「磁性」は、大げさに言えば世界観と繋がっている。そこに気候や風土という味付けがあり、世界観は固まる。

 週明けに新潟に帰ってきて、上下を簡単に逆さに出来るナビのように、南と北がひっくり返った不思議な感覚が続いている。

 自分が向いて落ち着く方角はどっちか。いい年になって、新たな磁性が身の内に生じていることを楽しみたい。