益田森林・林業普及情報

島根県西部農林振興センター 益田事務所

葉の蜜腺に集まるアリ

2007年10月08日 | 森の環境と生き物
 樹木の中には、蜜を分泌する蜜腺(腺体)を葉に持つものがあります。
 例えば、サクラ類、アカメガシワ、アブラギリ、ヤマナラシ等です。

 身近なものでは、ソメイヨシノ(サクラ)の葉と葉柄の
 さかい目のあたりを見て下さい。
 イボのような2つの突起が見つかるはずです。
 これが蜜腺です。

 私自身は、蜜腺の役割については、あまり知らなかったのですが、
 私が、今年6月に受講した森林環境教育研修で、
 講師の先生が、次のように説明されていました。

 ① 落葉性広葉樹の葉は、春から秋までの“使い捨て”なので、
   1年以上使う常緑広葉樹の葉のように、堅く丈夫に作る余裕がない。
   特に、成長の早い先駆性の樹種は、光を多く受けるため、
   薄くて大きな葉を付ける傾向がある。

 ② 常緑広葉樹の葉に比べて、“安っぽい”つくりのこれらの葉は、
   害虫から葉を守るしくみが必要である。

 ③ 落葉広葉樹、とりわけ薄くて大きな葉を付ける樹種には、
   蜜腺を持つものも多い。

 ④ これらの樹種は、蜜腺から蜜を分泌することにより、アリを集め、
   蛾の卵や幼虫を除いてもらうことにより、害虫から葉を守るのである。

 「なるほど、そういう理屈か!」と納得し、
 良くできた自然のしくみ・工夫に感心しました。

 この講師先生の良くできた話は、しっかり、
 西益田小学校の森林教室のネタで使わせていただきました(笑)。

 森林教室を趣味や業務でされる方は、ぜひ、ネタとして使われればと思います。
 「植物もただ虫のエサとして食われるだけではない。
  逆に虫を利用して、虫を撃退している。」なんて、
 すごく面白くないですか?
 

 とはいうものの、実は私自身は、蜜腺にアリが集まっている場面に
 出会った記憶がありませんでした。

 おそらく、蜜の出る時期や時間帯等、
 樹木の生理的な変動があるのだろうと勝手に思っていました。


 さて、前置きが長くなりましたが、
 今回、初めて、アリが蜜腺に群がっている場面を観察できましたので、
 御紹介します(写真1)。


 写真1 アカメガシワの蜜腺に集まるアリ 

 アカメガシワは、写真のとおり葉柄の上部のところに蜜腺があります。
 観察していて、気付いたのですが、葉脈の先端にも同じような「穴」があり、
 アリがなめているようです(写真2)。


 写真2 葉脈の先端の蜜腺?でごそごそするアリ


 今度は、「蜜腺に集まったアリが、毛虫を攻撃する」場面を
 見てみたいものです。


投稿者 島根県西部農林振興センター益田事務所林業普及グループ 
     主任林業普及員 大場寛文

 ~清流高津川、山の緑に映える柿色の瓦屋根の町並み~ 
  なつかしの国石見(いわみ)
 


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