樹木の中には、蜜を分泌する蜜腺(腺体)を葉に持つものがあります。
例えば、サクラ類、アカメガシワ、アブラギリ、ヤマナラシ等です。
身近なものでは、ソメイヨシノ(サクラ)の葉と葉柄の
さかい目のあたりを見て下さい。
イボのような2つの突起が見つかるはずです。
これが蜜腺です。
私自身は、蜜腺の役割については、あまり知らなかったのですが、
私が、今年6月に受講した森林環境教育研修で、
講師の先生が、次のように説明されていました。
① 落葉性広葉樹の葉は、春から秋までの“使い捨て”なので、
1年以上使う常緑広葉樹の葉のように、堅く丈夫に作る余裕がない。
特に、成長の早い先駆性の樹種は、光を多く受けるため、
薄くて大きな葉を付ける傾向がある。
② 常緑広葉樹の葉に比べて、“安っぽい”つくりのこれらの葉は、
害虫から葉を守るしくみが必要である。
③ 落葉広葉樹、とりわけ薄くて大きな葉を付ける樹種には、
蜜腺を持つものも多い。
④ これらの樹種は、蜜腺から蜜を分泌することにより、アリを集め、
蛾の卵や幼虫を除いてもらうことにより、害虫から葉を守るのである。
「なるほど、そういう理屈か!」と納得し、
良くできた自然のしくみ・工夫に感心しました。
この講師先生の良くできた話は、しっかり、
西益田小学校の森林教室のネタで使わせていただきました(笑)。
森林教室を趣味や業務でされる方は、ぜひ、ネタとして使われればと思います。
「植物もただ虫のエサとして食われるだけではない。
逆に虫を利用して、虫を撃退している。」なんて、
すごく面白くないですか?
とはいうものの、実は私自身は、蜜腺にアリが集まっている場面に
出会った記憶がありませんでした。
おそらく、蜜の出る時期や時間帯等、
樹木の生理的な変動があるのだろうと勝手に思っていました。
さて、前置きが長くなりましたが、
今回、初めて、アリが蜜腺に群がっている場面を観察できましたので、
御紹介します(写真1)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/eb/d7443bfc1d2d15c2f6b36dc8227792b6.jpg)
写真1 アカメガシワの蜜腺に集まるアリ
アカメガシワは、写真のとおり葉柄の上部のところに蜜腺があります。
観察していて、気付いたのですが、葉脈の先端にも同じような「穴」があり、
アリがなめているようです(写真2)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/da/0201f2d00b303e85ace07c2406fca29d.jpg)
写真2 葉脈の先端の蜜腺?でごそごそするアリ
今度は、「蜜腺に集まったアリが、毛虫を攻撃する」場面を
見てみたいものです。
投稿者 島根県西部農林振興センター益田事務所林業普及グループ
主任林業普及員 大場寛文
~清流高津川、山の緑に映える柿色の瓦屋根の町並み~
なつかしの国石見(いわみ)
例えば、サクラ類、アカメガシワ、アブラギリ、ヤマナラシ等です。
身近なものでは、ソメイヨシノ(サクラ)の葉と葉柄の
さかい目のあたりを見て下さい。
イボのような2つの突起が見つかるはずです。
これが蜜腺です。
私自身は、蜜腺の役割については、あまり知らなかったのですが、
私が、今年6月に受講した森林環境教育研修で、
講師の先生が、次のように説明されていました。
① 落葉性広葉樹の葉は、春から秋までの“使い捨て”なので、
1年以上使う常緑広葉樹の葉のように、堅く丈夫に作る余裕がない。
特に、成長の早い先駆性の樹種は、光を多く受けるため、
薄くて大きな葉を付ける傾向がある。
② 常緑広葉樹の葉に比べて、“安っぽい”つくりのこれらの葉は、
害虫から葉を守るしくみが必要である。
③ 落葉広葉樹、とりわけ薄くて大きな葉を付ける樹種には、
蜜腺を持つものも多い。
④ これらの樹種は、蜜腺から蜜を分泌することにより、アリを集め、
蛾の卵や幼虫を除いてもらうことにより、害虫から葉を守るのである。
「なるほど、そういう理屈か!」と納得し、
良くできた自然のしくみ・工夫に感心しました。
この講師先生の良くできた話は、しっかり、
西益田小学校の森林教室のネタで使わせていただきました(笑)。
森林教室を趣味や業務でされる方は、ぜひ、ネタとして使われればと思います。
「植物もただ虫のエサとして食われるだけではない。
逆に虫を利用して、虫を撃退している。」なんて、
すごく面白くないですか?
とはいうものの、実は私自身は、蜜腺にアリが集まっている場面に
出会った記憶がありませんでした。
おそらく、蜜の出る時期や時間帯等、
樹木の生理的な変動があるのだろうと勝手に思っていました。
さて、前置きが長くなりましたが、
今回、初めて、アリが蜜腺に群がっている場面を観察できましたので、
御紹介します(写真1)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/eb/d7443bfc1d2d15c2f6b36dc8227792b6.jpg)
写真1 アカメガシワの蜜腺に集まるアリ
アカメガシワは、写真のとおり葉柄の上部のところに蜜腺があります。
観察していて、気付いたのですが、葉脈の先端にも同じような「穴」があり、
アリがなめているようです(写真2)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/da/0201f2d00b303e85ace07c2406fca29d.jpg)
写真2 葉脈の先端の蜜腺?でごそごそするアリ
今度は、「蜜腺に集まったアリが、毛虫を攻撃する」場面を
見てみたいものです。
投稿者 島根県西部農林振興センター益田事務所林業普及グループ
主任林業普及員 大場寛文
~清流高津川、山の緑に映える柿色の瓦屋根の町並み~
なつかしの国石見(いわみ)