ボクの舌だけは、
育ちの悪さを隠し切れないのだろうか?
舌だけは。
貧しい環境で育ち、
喰いたくても喰えない状況が続いた
子供時代、
漸くありつけたご馳走を、
大人になっても
心底うまいと感じ、
それが至高の晩餐となる。
その呪縛からは、
一生逃れられない。
貧しい食生活が
精神形成にも影響を与え、
また、
自ら自由に使える金を
手に入れ、
一流の料理を口にしても、
心の底からうまいとは思えない。
一方、
恵まれた環境で育ち、
子供の頃から、
一流の料理人が作った、
一流の調理法で拵えられた、
一流の料理を食べて来た人間は、
大人になっても
その
一流志向?は消えないだろう。
そして、
貧しい環境で育った人間と、
恵まれた環境で育った人間、
その二人が大人になるにつれ
自分でお金を稼ぐようになり、
幸いにも双方とも、
商いの神に愛され、
二人の間の
経済格差が次第になくなっていき、
それが収束していったとして、
二人は、
(俗に)一流の(と称される)
ものを、
平等に、
同じような感覚で、
本当に美味しいと
感じられるのだろうか?
また、
本当に美味しいものを、
本当に美味しいと、
心から思えるのだろうか?
味わえるのだろうか?
それとも、
味に関する鋭い感性とは
天からの授かりものであり、
環境なんてものは
関係ないのだろうか?
何れにしろ、
素材本来の美味しさだとか、
食材の本質的な味わいだとか、
見極めるのは、難しい。
【鍋島克彦A.K.A.鍋島ガチ彦のスーサイド直前日記】
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