
今月初め頃、友人が出版した「日本のベラ大図鑑」が届いた。そろそろ書店で買われたり、実際に手に取ってご覧になられた方も多いと思う。
一部のマニア・オタクガイドダイバーや一般のオタクダイバーの方には広く知られている著者が
自分が撮影した写真のみを使用し、日本で見られるであろう種を出来る限り網羅したベラ図鑑だ。

一ガイドダイバーである僕が、書評などとは烏滸がましいが、多分、撮影中や写真同定中(監修の木村先生が確認していくのではあるが、撮影しながら、この種のこの時の幼魚のステージがないなどは、著者自身の仕事なので)、
苦労されたであろう点を少しクローズアップしていきながら、この図鑑の素晴らしさを説明したいと思います。
まず、一般ダイバーにとって、ブダイなどと同様にあまりにも普通種的なベラは見過ごされやすいのだが、この普通種たるベラの地味な種から深場の種、逃げて逃げて撮影しづらい種、
浅場過ぎて、少しの波やうねりでもピンが合わせづらく撮影しづらい種まで、きちんと写真が流れずに動きを止める撮影方法で撮られた生態写真で構成されている点である。
僕も少しだけ撮影のお手伝いはしているが、著者は、多分、もっと真面目なガイドダイバーの所に足繁く通い、逃げるベラをガイドが上手く著者の撮りやすいように追い込み、著者がそれをきちんと決め撮る!!
これを繰り返し、繰り返しやってきた成果であろうと推察される。
もちろん、著者自身が、ベラの動きに精通し常日頃からその動きを観察しながら、一人の時にも、飽くなき精神で、常にシャッターチャンスを狙い続けた成果である事は言うまでもない。
写真の中には、かなり苦労して撮れた写真でも、次回チャンスがあれば、また狙い、より素晴らしい写真を撮ろうとする頑固なまでの意思も垣間見える。
かく言う、僕も、「あんなに苦労して撮ったあの種のあの時の写真は使ってないのか・・・・┓( ̄∇ ̄;)┏」・・・・・・っという驚きを感じながらページを開き進めたものです・・・・(^^;)。
ただ、そこにあるのは一点、より良いものを作ろうという著者の純粋な思い入れだけなので、却って痛快に見させて頂いた次第である。
幼魚も、よく観察して撮られ、圧巻なのは、一部のオタクなガイドダイバーや一般マニアダイバー、マニアアクアリストしか知りえないであろうキヌベラやリュウグウベラの幼魚が撮影されていた事である。
僕自身も経験があるのだが、この2種は、本当に悩まされた2種で、セナスジベラやコガシラベラ、オトメベラは勿論の事、幼魚のステージではよく似通っている近似種のハコベラ・ヤマブキベラ・ヤンセンニシキベラを
やっつけて、エリアによっては、ニシキベラの幼魚とも区別して、ようやく行き着く2種なのだが、更にこの2種の区別や各成長ステージ毎の変化が微妙で、解ってしまうまでは本当にやっかいな2種なのである。
各種のそれぞれの幼魚のステージとしては、研究者や一部のマニアなダイバーやアクアリストには、若干物足りないものもあるのは事実だが、現存する日本の図鑑の中で、これだけ充実したベラ図鑑はないであろう。
また、イトヒキベラ属のハイブリット(交雑種)も掲載されていて、この部分の写真は羨ましいかぎりである。思い起こせば、著者が初めて久米島に来てくれたのも、IOPニュースか何かに、瀬能先生と僕が
発表したニシキベラ属(ヤンセンニシキベラとハコベラ)の交雑種を見られて来られた事だった事が思いだす。生憎と、天候のかげんでその棲息エリアには行けずに、ここには掲載されていないが、著者の思い入れを
垣間見た時であったと思い起こされる。
一部、研究者の意見が分かれる種の掲載もあるが、一人の一般ダイバーが、これだけの情熱を持って長期に渡り撮影し、これだけの図鑑を作り上げた努力を称賛したい思う。
「おめでとう。そして、ご苦労様でした。」
出版社や編集長をご紹介した経緯もあるのだが、同封の著者のコメントが、ちょっと嬉しかったので、記念に図鑑に貼らせて頂いた・・・・(^^;)。

ダイブ・エスティバン
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