25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

ぼくの経済分析論

2018年01月19日 | 社会・経済・政治
ぼくの考えで、経済を消費者の立場から述べると、こうなる。
 消費には絶対消費(食料やエネルギー、家賃や家の修理代など生活の欠かせない消費)と選択消費(生活に欠かせないものではなく、自分の好み、意思で買いたいと思う消費)がある。データやグラフや図は専門家ではないし、また面倒なことなので、省略する。

 経済が停滞していると言われて久しく、名目賃金が上がったのは2010年から12年で、まさに民主党政権下であった。ただ東北大震災で狂ってしまった。
 安倍政権になってからインフレターゲットを定め、異次元の金融緩和を行った。お金がじゃぶじゃぶと世に回っているはずなのに、回っていないのが現状である。
 そもそも物が高くなれば名目賃金の価値は下がる。ゆえに選択消費を加減する。つまりサイフのヒモを締める。貯金にまわす。物が高くなるということは輸入が高くなっているということである。輸入の主なものは石油である。石油から様々な製品が出来上がる。現在はやや円安だから輸入には不利であるが、運のいいことにアメリカのシェールガスが背景にあるため、石油価格を上げられないという状況だから、円安でも物価は上がらず、イオンなどはさらに値下げをしている。
 消費者から言えば、物は安く手に入った方がよい。デフレは歓迎するべきことだ。賃金も据え置かれるか下がることになるが物価も下がるのだから名目賃金は上がるか、同じままである。物価が安くなり、名目賃金が下がらなければ、その差額は消費にまわるだろうから、経済は成長する。

 一方、インフレになれば、貯金や現金の価値は物価が上がった分だけ減る。その代わり政府の借金の価値は下がるから政府はインフレを歓迎する。賃金の価値が下がるのだから賃上げをしおてほしいというのは労働者の意思である。ところが政府が春闘に介入して、大企業が賃金をいくらか上げても、中小企業や零細企業に波及していかない。
 大企業にはトヨタのような輸出企業が多い。例えば、米ドルで1万ドルの車を売っていて、円安になったからと輸出企業は値下げをしていない。1ドル80円だったのが100円になったら1万ドルの車は8000ドルになってしかるべきなのにそれをしていない。だから輸出企業の生産量は上がっていない。
 輸出企業は差額の20ドルをため込む、つまり為替の差益がある、ということであり、別に車の売れる台数はほぼ横ばいであり、生産量は上がっていないのである。釣出企業にお金が内部留保されているのはつまり実質的な経済活動びよるものではない。為替変動によってもたらされたいわば不労所得である。これはいつ変わるかわからないから、退職まで払い続ける給料、特に基本給に反映させることに慎重である。下請け企業にはその恩恵はない。

 安倍政権は民主党時代に株価は上がらなかったではないか、安倍政権えは株価が上がり、それによってトリクルダウンが起き、下々までその恩恵が及んでいく、と自慢気に言っていたが、それはあり得ない。株の7割が外国投資家が買っている。3割の投資家は株高によって儲ける。いわば不労所得を得る。その3割の人は贅沢三昧する人もいるだろうが、絶対消費に差はあるかもしれないがたかがしれたものだ。そうすれば選択消費を行うか、と言えば、する人もいるだろうが、また株購入やファンドへの投資に向けることは予想できる。つまり下々までまわってこない。

 結局日本は輸入を安定してできる環境があれば安定した生活ができるようになるということだ。そのためには石油価格が安定することが望ましい。
 異次元の金融緩和は日銀にお金が積もっていくのは実体経済が成長しないからである。つまり利息が安くても借る企業、個人がいないからである。それは新しい成長産業を見いだせていない現在の日本の状況である。成長戦略は資金を使う産業を応援するもののはずだった。それが機能していないのは加計問題でもわかるはずだ。

 さらに国民の将来不安がある。団塊世代が75歳の後期高齢者になると、膨大な医療費が発生してくる。物価が上がると年金の価値も下がる。ところが年金生活をする老人が自民党を支えてきたという矛盾がある。日本はこういうところがあるのだ。

 100円ショップに行けば物はこんなものまであるのか、と驚くほどある。100円ショップの商品はほとんどが選択消費対象である。どれを買うかは消費者の心理である。100円ショップは依然と100円ショップを続けている。消費者は安い方がありがたいからだ。得した分を貯めれば将来の不安への防御ができる。
 またこれはぼくの意見だが、資本主義は新しい段階に入っていて、高度経済成長期のように投資が投資を呼ぶ、という時代ではなくなっている。何が変わったかと言えば、消費者のサイフのヒモが経済を左右し、政権が左右される、交代させる「無意識の力」をもってしまった、ということだ。ところが国民の個々はそれを意識化していない。これが〈大衆の原像〉でもある。

 これに国債だ、金利だとなってくると頭が相当ややこしくなるので、今まで勉強したことをぼくの視点から述べた。