サマセット・モームです。
平凡な株式ブローカーのチャールズ・ストリックランドは、
ある日突然家族と仕事を捨ててロンドンからパリに出奔してしまいます。
小説家を志している僕・・・語り手はストリックランド夫人から依頼されて、
ストリックランドに会いにパリへ行きます。
そこで知ったストリックランドの胸のうち・・・
なんと、絵を描きたくてすべてを捨てたというのです。
彼にはそれが説明できなかった。雷にうたれたようなものだと彼はいったが、
そういういい方にも満足できず、啓示ともいうべきものだったといいなおした。
なにかが心の中できゅっと締めつけられたように思われ、
とつぜん一つの歓喜、すばらしい解放感が感じられた。
ゆったりと安らかな気持になり、たちまち、その場ですぐに、
これからの生涯をアレキサンドリアで送ろうと決心した。
並みの芸術家ではないゆえ、奇行に走ってしまうストリックランド。
タヒチを舞台に繰り広げられるゴーギャンの色彩豊かな後半は
ストリックランドの行為が良いか悪いかは別として、
天才とはこういうものなのかな~と考えさせられました・・・。
この作品の題名・・・
月は芸術を、六ペンスは俗世間を現してるそうで・・・とても印象的ですね。
素材提供:Pari’s Wind