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プラムの部屋♪

長い長い休暇中デス。(*_ _) ゴメンナサイ。

『月と六ペンス』

2005-08-22 16:14:15 | 作家ま行

 サマセット・モームです。

 

平凡な株式ブローカーのチャールズ・ストリックランドは、

ある日突然家族と仕事を捨ててロンドンからパリに出奔してしまいます。

小説家を志している僕・・・語り手はストリックランド夫人から依頼されて、

ストリックランドに会いにパリへ行きます。

そこで知ったストリックランドの胸のうち・・・

なんと、絵を描きたくてすべてを捨てたというのです。

 

彼にはそれが説明できなかった。雷にうたれたようなものだと彼はいったが、

そういういい方にも満足できず、啓示ともいうべきものだったといいなおした。

なにかが心の中できゅっと締めつけられたように思われ、

とつぜん一つの歓喜、すばらしい解放感が感じられた。

ゆったりと安らかな気持になり、たちまち、その場ですぐに、

これからの生涯をアレキサンドリアで送ろうと決心した。

 

並みの芸術家ではないゆえ、奇行に走ってしまうストリックランド。

タヒチを舞台に繰り広げられるゴーギャンの色彩豊かな後半は

ストリックランドの行為が良いか悪いかは別として、

天才とはこういうものなのかな~と考えさせられました・・・。

 

この作品の題名・・・

月は芸術を、六ペンスは俗世間を現してるそうで・・・とても印象的ですね。

 

素材提供:Pari’s Wind


87分署シリーズ

2005-08-17 15:14:39 | 作家ま行

 エド・マクべイン・・・警察小説の草分け的存在の人気シリーズです。

 


キャレラ刑事が酷い暴行を受けて瀕死の重傷を負った作品で

一気に読む気を失ってしまうまで、夢中になって読んだシリーズです。

・・・というわけで。。キャレラ刑事、好きなんです~。

耳が聞こえず、口も利けない、キャレラの愛妻テディは更に好きなんです~。

なので、テディが大活躍した『ハートの刺青』は大好きな作品です。



二人の出会いは、テディの働いていた会社に泥棒が入ったか何かで通報し

駆けつけた警官がキャレラで・・・即効デートに誘い出し、

見事テディのハートをゲットした・・・というような感じだったと記憶しています。

キャレラ刑事のような直球勝負に、たちまち心を揺さぶられる女性は

おそらくテディだけではないでしょうね~

 

この作品のラストの、テディの肩に彫られたレース模様の黒い蝶を見た

キャレラが「こいつは驚きだぜ!」と言って肩にキッスするシーンは最高



アイソラという架空の街の刑事部屋が物語の中心地。

そこで活躍するスティーブ・キャレラ、アーサー・ブラウン、バート・クリング、

マイヤー・マイヤー等、個性豊かな刑事達は、読み進める程に愛着が沸きます。

贔屓の人物を見つける楽しみはシリーズ物ならでは、ですよね。

素材提供:Flower mau


『愛の続き』

2005-08-03 14:06:45 | 作家ま行

 イアン・マキューアンです。



 

実はこの作品の後の『アムステルダム』でブッカー賞を受賞しているのですが

後書で訳者さんが触れているように、

『愛の続き』でブッカー賞を与えなかった罪滅ぼしで

『アムステルダム』をブッカー賞にしたのでは?なんて疑ってしまうくらい

この作品は素晴らしいし、逆に『アムステルダム』に関しては、

面白い・・・けど。。う~む。。なのです~



これは最初から不思議な世界に惹き込まれて

ラストまで一気に突っ走っちゃいました。

ちょっと今までに無いタイプの作品って気がします。



主人公のジョーは、恋人のクラリッサと出かけたピクニックで、

気球事故に遭遇します。

その場にたまたま居合わせた何人かの男たちが救助に駆けつけますが、

救助にあたった男のひとりが死んでしまうのです。

それも、気球に乗ったまま強い風に煽られて飛んでいく男の子を救う為、

ただ一人最後の最後まで手を離さなかった勇敢な男が・・・です。

手を離してしまった男達の苦悩も相当なものですね。。



そしてその事件後のある夜、かかってきた1本の電話がジョーの悪夢の始まりに・・・

「あなたはぼくを愛している」

この電話の主パリーの愛は「ド・クレランボー症候群」といって、

ある人物が自分を愛していると思い込む妄想症の一種です。

彼の病んだ愛が次々と生む恐怖・不幸!

どういうわけか怖いもの見たさに読み進めずにいられないのです。

ただこの作品、科学者が主人公だけあって、科学的な分析がちりばめられていて

そういった理屈が苦手な人はあまり楽しめないかも知れません。

個人的には程よい加減で息抜きや、さり気ない優しさも感じられて面白かったです。



でもとにかく怖いのは、バリーの思い込みの手紙!

彼なりの論理でジョーを追い詰めていく、なんともいえないおぞましさ・・・。

この独特の恐怖感、是非味わって頂きたいですね。。

 

素材提供:Flower&mau