薫山とユッキーのブログ

本・映画と徒然なる日記です。
キティちゃんのコレクションも始めました。

のぼうの城 著者 和田竜

2012-05-05 16:06:52 | 

戦国物の小説は読んだことがありませんでしたが、
以前本屋でフェアまで行われていた本だっので
ブームが去った今頃になって読んでみました。

これは、もお予想をかなり上回る面白い内容です。

北条氏滅亡間際より話が始まり
舞台は成田氏!?

知名度低い武将の国が舞台です。

当時最大の小田原城攻めと小国の忍城の城攻めの対比。

登場する人物の魅力的な人物

石田光成の大軍を前に籠城戦。。。
なんだか、結末が予想されてしまうような悲壮感漂う展開もありますが
エンディングは読者の予想を裏切る内容かと思います。
(歴史に詳しい方だと意外性はないかも。。)

こんな戦いが歴史上あったなんてびっくりです。
上下巻でしたがあっという間に読み終わりました。

映画化されたと聞いていましたが、話の中の水攻めが
津波を連想するので、上映が先延ばしになったようです。

映画のキャストは、あれれな人物だったので
小説で十分な気もします。

薫山


偶然のラビリンス 著者デヴィッド アンブローズ

2012-05-04 14:51:21 | 

偶然をテーマにしたミステリーのようなお話。

前半は実際に起きた偶然にまつわる数々の実際に起きた事件の
紹介もあり、面白いのですが
この作者のお約束のような驚天動地の転換点が
中盤過ぎに発生します。。

この転換点ですが、真に受けるかしないかは
読者の視点でいろいろなことが想像されるので
ストーリーの背景が非常にもろく不安定なので
好きだという人が少ないのだと思います。

人にはすすめませんが、、、この作者の作風は好きです。

薫山

この転換点の話が好きだという人はいないと思いますが
参考までに、、、

結末のネタバレにもなりますので
ファンの方で未読の方はここから先は読まないようにお願いします。

 

 


突然、この世界は観測者によって構築された世界というぶっ飛びの内容に飛躍するのですが
実はこの話、宇宙論の中で少数意見ですが
おなじ趣旨の説を論ずる意見もなくはないのです。
(マイナーすぎる説ではありますが、、、宇宙論の中では11次元説なるものもあったりします、、、)
だからといって、この説を支持する気持ちはありません。。

無から発生したビッグバンより、地球だけで見ても
生物の多様性が一種のプログラムのような形で具現化しているという考えのものです。

そして、この作者特有の伏線の張り方が巧妙すぎて複雑すぎるので
普通に読むと荒唐無稽な話でくくられて終わってしまうのが
残念です。


沈黙への三日間 著者フランクシェツィング

2012-03-25 11:52:35 | 

深海のyrrがまあまあだったので、次に読んでみた本です。
深海のyrrでは、魅力的な登場人物がいなかったので感情移入できませんでしたが
今作ではオコナー、ミルコ、クーンなど個性的な人物が多く楽しめた。

ネタバレになるので明かせませんが、今時珍しい人物をターゲットとした
暗殺を計画するストーリーです。
ただし、プロの暗殺者が使用する手段がかなりがっかりな内容で
このため、ジャッカルの日のようなストーリーを期待していたため
肩すかしとなりました。

良かった点は、巻末のおまけである
テロリズムとウィスキーのかなり詳細な解説が気に入りました。

この作者のストーリーは、毎回もっと面白くできそうなのに
自分の好みとは異なる内容になるので
もう読むのをやめます。

薫山

 


オルタードカーボン 著者リチャードモーガン

2012-02-05 18:11:06 | 

幻想的な表紙、そしてフィリップKディック賞作品とのことなので
買って読んでみました。

世界観はブレードランナー、マトリックス、ニューロマンサーのような
ハードSFです。

人間の魂がデータ化!!された未来で恒星間移動も
データ伝送のような形式で移動し、人体に相当する
躯体をオルタードカーボンというもので身にまとう世界設定です。

このため、魂?精神?そのものは、その人なのに
外観は別人ということも可能となっています。

主人公がエンヴォイという特殊な訓練を受けている人物のようでは
ありますが、存在感が薄く、むしろ敵方の方が強烈なインパクトが
ある人物が多いです。

暴力表現も、ものすごいシーンが随所にあり、、、
とても人には、おすすめできない内容でした。。

映画化されるとも書かれていますが、実写だと難しい表現も
多い様な気もしました。

もう少し暴力表現の少ない他の作品も読んでみたい気もしました。

薫山

 

 


100万人を破滅させた大銀行の犯罪 著者:椎名 麻紗枝

2011-11-13 14:03:34 | 

お客様より、「いい本だよ、あなたも読みなさい」と言われてもらったまま
書棚の奥底に眠っていた本でした。

片づけをしてたら、出てきたので読んでみました^^;;

平成バブルの後処理の銀行関係の想像以上のモラルのない
資金回収手口などなどなど、、、
著者は弁護士なので、資料関係もかなり詳細で改めてバブルの
怖さを知ることができた本です。

かなり古い本ですが、国内では融資の審査が担保ありきの
稚拙な審査が当たり前であった時代であり、今思えば破綻して
当たり前な経営手法だった、銀行、保険会社も実名で登場します。

今、世界はギリシャ危機がイタリアにも拡大して混乱していますが
もともとの米国で起きたサブプライム問題などは
日本で実際に起きた平成バブルの時の不動産担保融資への偏重が
招いたことも一因なので
歴史に学ばず、愚行を繰り返すのは愚かだなと思いますが
なかなか難しいですよね。。。

薫山

 


シャーロックホームズ傑作選 著者コナン・ドイル

2011-08-14 09:25:21 | 

ホームズの作品は数多いので傑作選と書いてあったので
読んでみました。

傑作選というタイトルですが、初期の作品が多すぎのような感じです。

子供のころに読んだときは、ホームズの推理ってすごいと
感激して読んでいた記憶がありますが
大人になって読んでみると、いささか強引すぎではないかと
首をかしげたくなるところが多数ある感じがします。

しかし、この本で良かったのは
ホームズを出し抜いてしまう人物が登場することです。
モリアーティー教授ではないですよ。

ホームズも賞賛してしまうぐらいなので
初期の作品もなかなか面白いと思いました。

集英社文庫は、小説だけでなく付録がすごいです。

写真や年表・解説が豊富なので手元に残しておきたい本になります。

薫山

 


もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら 著者 岩崎夏海

2011-05-04 08:34:12 | 

200万部売れた話題の本なので
以前から気になっていました。

買いづらい絵柄の表紙なので
ためらっていたのですが、電子ブックのデータ(ツタヤガラパゴス)で買うと
半値だったので買ってみました。

ドラッカーのマネジメントに書かれている組織運営の基本原理が
高校野球の活動にも違和感なく合致しているので
ストーリーの発想としては面白くて、最初は楽しく読めたのですが
中盤から、TVドラマなどで、ありがちな展開となってしまって
素直に楽しめずにエンディングに至りました。。。。

学生時代に読めば、共感を持って
盛り上がれたと思うのですが、
なんだかストーリー展開が読者を感動させようと
仕組まれたストーリーに見えてしまって
自分の斜に構えた猜疑心に満ちた一面を再発見してしまい
自己嫌悪感を感じてしまった作品です。。
(これだけ広く読まれているのに、良さが今一つわからなかった)

また、著者の名前から実体験をもとに出版した書籍だと
完全な勘違いによる思い込みも購入した動機でしたが
著者は男性でAKB48をプロデュースしたメンバーであることがわかり
ますます、売れる本という商売戦略満載の商品に手を出してしまった自分に
がっかり感が募りました。

表紙の絵柄により学生層をターゲットとして
ドラッカーをテーマとすることによりビジネスマン層も取り込んでいます。
ドラッカーの入門書としての価値は、実例をもとにストーリーがあるので
それはそれで使命を果たしています。とてもわかりやすいです。

本書で学んだことの中で一番良かったこと。

ドラッカーのマネジメントでは、組織運営の一番大事なものは「真摯さ!!」とありました。
当たり前のことですが、能力や知識も大事ですが「真摯さ」が重要というのは
うれしい言葉でした。

真摯さがあれば、その組織は強いはずです。

今勤務している組織には、真摯さが欠如している方が多いのが残念です。
変えていかないといけませんね。

薫山

 

 


これからの正義の話をしよう 著者マイケル・サンデル

2011-04-24 19:59:19 | 

ベストセラーになった本で題名に惹かれたので買って読んでみました。
ちょうど日本では、東日本大震災の善後策などで
政府なども錯綜している状況下ではありますが
この本の冒頭で、アメリカで実際に起こったハリケーンカテリーナの
災害後の内容がなかなか考えさせられる展開から始まります。

カテリーナ災害の直後、現地では水不足が発生し
通常価格より値上げした水が流通したり、モーテルも家をなくした人が
宿泊に来ることから宿泊料を値上げした問題が取り扱われていました。
日本の文化から考えると、「なんてひどいことをするのだ」と
憤慨すると思います。
私もそうでしたが、自由経済市場が支配する地域では
値上げを政府が統制するのはよくないとの反対意見もあったそうです。
このように
具体的な事例を基に読者に考えさせて
正しい判断、まさに正義に基づく判断の根拠をどこに持ってくるのか?

なかなか考えさせてくれる面白い本でした。

テーマは、戦争や勲章、入学試験、医療、スポーツ、報酬など
さまざまなものが取り扱われて、ゆっくりとじっくりと理解しながら
読み進めることについて、なんだか自分が一つ大人になったと実感させられる本でした。

怖いのは、フィリップモリス社が海外の国に煙草を売りつける際に
その国で煙草を拡販したほうが、平均余命が短縮して国の社会保障費負担が軽減するような
秘密の計画書なるものがあったりして、恐ろしいトリビアな知識も得られたりします。
(フィリップモリス社は謝罪したとか。。。)

内容の根底はベンサムの最大多数の最大幸福か、それともロールズ、の政治哲学(判断は数ではなく質を優先)
をもとに検証していくスタイルなので、ロールズという方がいかに偉大な方だったのかを
現代に示してくれている一面もあります。
(JSミルの学説も出てきます)

終盤に至りますと、カント、アリストテレスも出てきて、特にカントの意見は難解で有名なので
一般市民にも理解しやすいようにという配慮はわかるのですが、やはり難解でしたw

翻訳は全く違和感のない訳なので、訳者もすごいなと思いました。

悩み事があったり、決断に困ったりすることがよくある方は
この本を読むと問題点のとらえ方や決断の材料探しなどで
発見があるかもしれません。

この本で唯一やきもきさせられたのは、さまざまなテーマを扱い
著者がそのテーマについて判断する際の重要な項目も指摘してくれるのではありますが
著者自身結論を明示せず、読者の判断にゆだねる形の結論が多いので
私個人としては、サンデルさんだったら、こうだと思う、というようなしめくくりが欲しいと
思ったぐらいです。

薫山

 

 


へんないきもの 著者 早川いくを

2011-03-07 13:15:42 | 

タイトル通り、変な生き物たちを詳細なイラストで

2ページに一体のペースで説明している図鑑のような小説ですが

この本の面白いところは、生物たちの説明が

学術的な堅い説明ではなく、漫才のような面白い説明がされているので

とても楽しく読めます。

しかし、生物というのは、こんなに不思議な形態で進化している

生き物がたくさんいるのだと知ることができるので

面白いです。

ビーバーやアイアイが実は凶暴な一面もあるとか

クマムシという生き物は、高温低温、真空空間や有機溶媒にも

耐性がある頑健な生命体の説明が一番の発見でした。

本屋で見つけたら、ちょっと立ち読みしてみてください。

きっとぐいぐいと読んでしまうと思いますよ。

薫山

 


重力ピエロ 著者 伊坂幸太郎

2011-01-15 13:58:58 | 

僕と弟のはる、父、母の家族愛を楽しく、そして深く書かれた小説なので

なかなか楽しめて読めました。

しかし中盤から発生する、物語の伏線ともなる放火事件は余計だったかなと思います。

各章のタイトルがとても奇抜で面白くて、意味ないのかなと思いきや

ストーリーに沿ったタイトルなのだと読み進めていくとわかる内容でした。

ゲノムなど、いろいろな小ネタとしてのうんちくも多くて

良かったです

薫山

 


リスクリテラシーが身につく統計的思考法 著者 ゲルト ギーゲレンツァー

2010-10-10 21:09:15 | 
リテラシーとは、使いこなす、把握するなどの意味です。
題名は小難しいですが、内容は統計や確率の初心者でも理解できる
説明がされています。

しかし、冒頭から医療事故の確率把握などや
陳腐なものが多くて目新しいものはありませんでした。

確率論が好きなので、いろいろと関連のものを読みすぎてしまったためかも
しれません。

モンティホールの法則について、経緯が細かく説明されていたのは
よかったです。
モンティホールの法則は面白いので、たいていの確率の本には
登場します。

どういうものかといいますと
3つの扉の向こうに1つだけ景品があります。
司会者は景品がどこにあるのかを知っています。
出演者がたとえば一つの扉を選択したとします。

そこで司会者が出演者に向かって
「選択した扉を一度だけ変えることができますが変えますか?」と
聞きます。

この時、出演者が選択した扉を変えた方がよいのか?
というのが問題です。

パッと考えると、変えたって変えなくなって
当たる確率は同じじゃん と思いますが
実は、、、、

というのが この法則の面白いところです。

読んでのお楽しみですね

薫山

死亡フラグが立ちました! 著者 七尾与志

2010-08-10 20:42:54 | 
まず、「このミス大賞シリーズ」と書いてあったので
てっきり「このミステリーがすごい」大賞受賞作品と
思って読んでみましたが
あとがきを読んで納得。。。
正確には「このミステリーがすごい」大賞最終候補作品ということで
受賞作品ではないようです。。
まぎらわしい

表紙から想像したのは
コミカルな作品かと思っていたのですが
シリアスな面とコミカルな面が混ざり合って
どちらも中途半端な感があります。
偶然を装って事故死と思わせるプロの殺し屋の存在は
話の持って行き方でもっと面白い作品になれる題材だと
思うのですが
なぜバナナの皮を使うのか。。
殺し屋は完全犯罪を計画する完璧主義者の一面があるのに
バナナの皮を使うのは、単に話を面白くしたいだけという
作者のエゴも感じました。
ストーリーは読んでて楽しいのですが
引っかかる点も多々あり消化不良な面多数です。
エンディングもよく読めば、ご都合主義の塊で
とても計画的な犯罪者が練りに練ったものとは、とても読み取れません。。。
(だいたい本宮氏がやばいぞ!と叫んで逃げていく理由が
まったくわかりません。。。
主人公たちは何も悪いことしていないので、遠くでサイレンが鳴っているだけなのに
逃げなくってもいいじゃんw)

薫山

不思議な夢 著者 星新一 

2010-04-25 08:53:30 | 
こちらは前回と違い、星さんのショートショート集だったので
気軽に読むことができたのですが
文庫未収録作品と銘打っているせいか
今までの星さんの作品とどこか違う雰囲気の作品が
多いです。
「黒い光」という作品は
星さんのファンから見たら
こんな作品があったのか!?と驚かれると思います。

全般的に宇宙探検の話が多くて
奥底に世界平和を祈念しているようなテーマ性が
あったり、登場人物がエヌ氏ではなくて
普通の名前の人物がたくさん出てくるのも新鮮な気がしました。

薫山

ブランコの向こうで 著者 星新一

2010-04-11 10:05:19 | 
久しぶりに星さんのショートショートでも読もうと思って
選んだ本なのですが
予想に反して、長編小説でした。

少年がひょんなことから
人の夢の世界を冒険することになったストーリーなのですが
いろいろな人の個性的な夢なので
なかなか面白いです。

特に終盤の彫刻をする老人の話は
人生そのものを語っているかのような
重厚なお話で
大人でないとこの良さはわからないかな
という感じです。

薫山

小説ヘッジファンド 著者 幸田真音

2010-04-03 15:00:50 | 
題名どおりヘッジファンドをテーマにした小説ですが
実際にあった円高に急落した事実を背景にストーリーが
組み立てられています。
さりげない登場人物の会話により
ヘッジファンドが取り扱う、金利スワップや
アービトラージについての知識が得られます。

ジョージソロス氏のポンド攻撃のエピソードも
語られてたりして
意外と面白い内容でした。

しかしキーマンとなる高城智子が
理想像を重ねすぎてしまって
エンディングのエピソードは
余計だったような
これでよかったような。。。
読み手によって好みの分かれるところだと思います。

薫山