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Eko's スクール日記

米国ロースクールJD課程に在籍中です。こちらは旧ブログなので更新はありません。

入門書: 参考図書その4

2007-05-13 20:43:07 |  ロースクール準備編・参考図書
1L科目をざっと予習するのにいい本です。

1 Jay M. Feinman "Law 101, Second Edition" (2006)
 有名な本ですね。邦訳も出ているようですが、JDの人には必要ないでしょう。
1L科目が一通り網羅してあります。一応一般向けですが、1Lの人やロースクール入学前の人に人気があるらしいです。
実はまだ読み終わっていないのですが、今まで読んだところのどの科目も、要点を押さえて大変分かりやすく書かれているのにちょっと感動しました。
しかも結構おもしろいです。ちょっと長くなりますが例えば、tortsのnegligenceのreasonable careのところで出てくる判断基準 "reasonable person" について。これは特定の人でも平均的な人という意味でもないlegal termなのですが、

The reasonable person always looks before he leaps, never pets a strange dog, waits for the airplane to come to a complete stop at the gate before unbuckling his seatbelt, and otherwise engages in the kind of cautious conduct that annoys the rest of us.
(Reasonable personは、必ず跳ぶ前に見るし、決して変な犬を飼わないし、飛行機が搭乗ゲートで完全に停止するまでシートベルトを外さないし、その他我々をイラつかせる注意深い行動をとる。)

笑っちゃいました。


2 Lawrence M. Friedman "American Law: An Introduction, Second Edition" (1998)
参考図書1に挙げたMontaukマニュアルで、外国人が入学前に読むとよい本として推薦してあったので、去年受かった時点でアメリカアマゾンで買いました。
1よりさらに入門書度が高いです。個々の1L科目の説明というより、アメリカの司法制度を歴史的なものも踏まえて概説してあるという感じです。
分かりやすく書いてあるのでボリュームの割りにさらっと読めますが、正直なところ、日本の大学の法学部を卒業した人やアメリカの司法制度についてある程度の知識がある人にはちょっと簡単すぎると思います。他学部出身の方にはいいかもしれません。
この本が物足りなかったので、1を読んだという感じでした。


3 Jonathan Harr "A Civil Action"
 水質汚染の訴訟を題材にした有名なノンフィクションです。ジョン・トラボルタ主演で映画化もされていますが、映画は当然ながら手続など不正確らしいです。
Civil procedureを一通り理解するのに適した本だと何かで見たので、やはり去年受かった時点で買ったのですが、まだ読んでいません。渡米までに時間があれば読むけど、1で十分な気もします。

Essay 関係:参考図書その3

2007-05-05 11:54:08 |  ロースクール準備編・参考図書
JD Admissionで、LSAT, undergrad GPAに次いで、かつrecommendation letter(s)と並び重要な要素である、essay/personal statement。今日は、essayを書くのに役立った本です。

1 Montaukマニュアル
 参考図書その1に挙げている How To Get Into The Top Law Schoolsです。2004年版を挙げていますが、2006年に新しいのが出ています(以下のコメントは2004年版に基づいています。)。
エッセイの書き方やstrategyが詳しく説明してあり、実際のエッセイがいくつもコメント付きで解説してあります。ただ、よい例に載っているエッセイは、概して実際の各校のinstructionにある語数・ページ数制限を大きく越えているものが多いように思うので、注意が必要かもしれません。

2 William Strunk Jr., E. B. White "The Elements of Style Fourth Edition" (2000)
 アプリケーションに特化したものではなく、writing一般に関してとても有名な本です。Montaukマニュアル、フリーマンの本、参考図書その2に挙げた Best 170 Law Schoolsでも一様に推薦されています。えっというくらい小さくて薄い本ですが、文法から文章の書き方の留意点まできれいな英語で簡潔かつ分かりやすく記載されています。ロースクールに行ってからも使うようなので、マストですね。

3 Adrienne Dowhan, Chiris Dowhan, and Dan Kaufman "Essays That Will Get You Into Law School Second Edition" (Barron's, 2003)
 JD admission向けエッセイのマニュアル本は他にもいくつかあるので、好きなものでいいと思います。私はたまたまこれを使ったというだけで、上記2つほど絶対推薦というわけではありません。とはいえ、書き方などが具体的に説明してあり、また実際のエッセイも41収録されているので、とても役に立ちました。

4 How To Get Into Harvard Law School
 参考図書その1にも挙げている本です。実際のエッセイが50も収録されているので、その意味で参考になりました。

私の場合、書いたものを1年目に校正サービスに出して直してもらい、2年目はさらにそれを自分で校正し、ネイティブを含む複数の人に見てもらいました。もとになるものを一つ完成して、あとは各校の語数制限などに合わせてリバイズしました。


学校選び:参考図書その2

2007-04-30 12:30:35 |  ロースクール準備編・参考図書
出願校を選ぶに当たって、各校のサイトなど以外で、参考になった本です。
(*あくまでもJDプログラムについてです。)


1 U.S.News & World Report "America's Best Graduate Schools 2008 Edition"


いわずと知れたランキングの最大手ですね。私が持っているのはひとつ前の 2007 editionですが、3月に最新版が出ました。毎年3月更新です。
単にランキングを見るというより、ランキングのページで各学校の大体のデータ(LSAT, GPA, Bar Passing Rateなど)が一覧できるし、後ろの州ごとの各校データではtuitionやbed&board, application deadlineなど基本的なところが簡潔に載っているので、ざっと比較するのに最適です。(もちろん、実際に出願する場合はちゃんと各校のウェブサイトなどで確認する必要はありますが。Tuitionなどは毎年「インフレ率ってこんな高いか??」ってくらい値上がりするし。)
オンラインでもある程度は見られますが、肝心なデータは有料だったりするので、紙ベースのも買っておいて損はないと思います。日本でも、大手書店の洋書コーナーで2000円くらいで買えます。
なお、オンラインで無料で見られるstudent bodyの詳細は、紙ベースには載っていません。これは結構有益な情報なので、やはりオンラインとの併用がよいと思います。


2 The Princeton Review "Best 170 Law Schools 2007 Edition"


私が持っているのは best 117 schoolsの2005 editionですが、見る見るうちに収録学校数が増えて、最新版では170になっています。
各校について各種数字データのほかに、在校生へのアンケート結果をまとめた文章が載っていて、これが一番有益でした。オフィシャルな各校のサイトを見るだけでは分かりにくい雰囲気などを垣間見ることができます。志望校全部を訪問するのは日本在住の場合事実上難しいと思うので、学生の本音っぽいものが読めるのは貴重です。
もちろん、人によって見方も違うでしょうしアンケート結果の偏りもあるでしょうから、鵜呑みにする必要はないですが。
170校以外の ABA approved校及び CBA approved校についても、アンケート結果以外の数字データは載っています。
アマゾンでも買えるし、大手書店の洋書コーナーでも置いてあるところがあります。書店で買うと3000円くらいです。

まず敵を知る:参考図書その1

2006-01-25 01:11:55 |  ロースクール準備編・参考図書
今日も東京はめちゃめちゃ寒かったです。
お堀も凍っておりました・・。

今日は参考図書の紹介です。
何度か書いているように,JDについては進学する日本人の絶対数もまだまだ少なく,情報が限られているんですよね。
そんな中で,私が実際に読んで役に立った本を御紹介します。

今回は,出願手続とロースクールでの生活についての,いわばGeneral Information的な本です。

【日本語の本】

1 ダグラス・K・フリーマン「リーガル・エリートたちの挑戦」(商事法務,2003年)
  著者は,日本生まれのアメリカ人で,日本人とアメリカ人のハーフです。進学の動機,出願手続の過程,そしてコロンビア・ローでの生活が,率直でユーモアを交えた筆致で書かれていて,大変参考になりました。

2 阿川尚之「アメリカン・ロイヤーの誕生 ジョージタウン・ロー・スクール留学記」(中公文庫,1986年)
  純粋日本人の方の数少ない体験談です。情報としてはやや古いかもしれませんが,これも実際のところを知るのに役立ちました。

3 山岡永知・坂本力也「「アメリカ弁護士」への道 米国ロースクール留学 ~米国司法制度と法学教育システム~」(三修社,2004年)
  情報は一番新しいです。JD出願に必要な情報などを網羅してあります。体験談はあまり載っていません。

【英語の本】

1 Richard Montauk, J.D. "How to Get Into the Top Law Schools" (2004)
  出願手続の戦略が,具体的,実践的に,一流校のAdmissionの人たちのコメントを交えつつ詳細に書かれています。これがとにかく一番役に立ちました。出願手続というのは,全体で自分という商品のMarketingなのだということがよく分かります。Essay(Personal Statement)の例もコメント付きで載っているほか,外国人が出願する場合についても色々と書いてあります。JDに出願するなら,他の何をおいてもマストな本でしょう。

2 Robert H. Miller "Law School Confidential: A Complete Guide to the Law School Experience: By Students, for Students" (2004)
  出願手続については1よりずっとさらっとしてます。それより,そもそも本当にロースクールでいいのか,いいとして,どのように学校を選べばよいのか,さらには,ロースクールの3年間の生活が実際のところどのようなものなのか,というのを知り,考えるのに大変役立ちました。自分としてはこれを最初に読んで良かったです。幻想を抱きすぎないという意味でも・・。

3 Willie J. Epps, Jr. "How to Get Into Harvard Law School" (1996)
  出願手続について詳しく説明してあります。Addmissionの人たちのコメントの他,実際にハーバードに受かった人たちの,成績,出身,人種,性別,志望動機,コメントその他が多数紹介してあり,また,Essayもたくさん読めるので参考になります。

4 Scott Turow "One L" (1977)
  映画「ペーパーチェイス」と並んで,ハーバード・ローの厳しい生活を描いていることで有名な本です。「ハーバード・ロースクール」とかいうタイトルで邦訳も出ているようです。最近はここに描かれているほどcutthroatではないとも聞きますが,ハーバードに限らず,ロースクールのハードな日々を知って心の準備をするにはいいと思います。読み物としても面白いです。