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Eko's スクール日記

米国ロースクールJD課程に在籍中です。こちらは旧ブログなので更新はありません。

白鯨とか、本の話題

2007-03-12 22:04:32 | 
どうも、ヒマ人です。
はぁ、またヒマに戻りました。
最大瞬間風速に狂喜乱舞したのもつかの間、しずしずと仕事量は減りゆき、今日は実働7時間30分のうち、確実に4時間はやることありませんでした。
加藤は○ねさんのブログもすっごく深いところまで読み進みました。しまいにはネットの見すぎで頭痛がしてきました。
これからますますヒマになることが確実に予想されています。迫りくる恐怖(ヒマすぎて)の日々に、怯えおののく私です。

で、最近、メルヴィルの「白鯨」を読み終わりました。
隙間時間にチビチビと読んだので時間がかかりましたが、面白かったです。
事前の予想では、難解で幽玄な哲学的文章かと思っていたけど全然違った。
要は鯨の話だった。それと昔の鯨捕りの話。臨場感あふれていて、文章がまた新・旧約聖書からギリシャ神話、生物学、地理学、歴史学等々に及ぶ博覧強記っぷりで、entertainingでした。

個人的に好きだったのは、エイハブ船長やイシュマイルらがナンタケット島の出身であること。
ナンタケット、マサチューセッツ州の沖合いの、ポークチョップ型の島です。今では隣のマーサズ・ヴィニヤードと共に、お金持ちの別荘が並ぶチャーミングなリゾート地。
残念ながらナンタケットには行かなかったけど、マーサズには行きました。とてもいいところでした。
あーまたニューイングランドに帰りたくなった。

今は、日本語ではカポーティの「冷血」、英語では主にPaul Austerの"Moon Palace"を読んでいます。
同時に何冊か読み進めるタイプなので、他に"Reading Lilota in Tehran"も読みかけてるし、Richard Wright"のNative Son"は、主人公のBiggerが捕まりそうになったところで先の悲惨な展開が読めるので「イヤーッ!」と放り出してかれこれ2年くらいになるし、"Race, Crime and the Law"(これは学術書)なんて何年越しか分からなくなってる。でもPo Bronsonの"Why Do I Love These People?"もすごく読みたいし、Paul Austerは"New York Trilogy"も読みたいし、"Law 101"(これは一般人向けに法律をやさしく説いた本)もアマゾンで買ったんで早く読みたくてウズウズしている。ロースクールに行く前に"Civil Action"も読んでおきたい。"Legal Writing in Plain English"も気になってる。

時間が足りな~い!仕事はヒマなのに~!まあそのうちたっぷり時間がある予定なので、どこまで読めるか分からないけど読書三昧しようと思います。

・・でも、ちょっと前に大学の先輩(男、企業戦士)と飲んだとき、日経文庫か何かの働き甲斐についての本を勧められたときは軽く困惑した。多分、一生読まないな。

Barack Obamaの記事

2006-10-19 22:15:34 | 
紀伊国屋書店の洋書フロアに行くと、真っ先に目に飛び込んできました。



大好きな政治家、米上院議員のBarack Obama(バラク・オバマと発音)です。
今、アフリカン・アメリカン初のアメリカ合衆国大統領に最も近いと言われている人です。

思わず飛びついて、即購入を決め値段を見ると、
「うっ・・。た、高い。。」
1176円もする。
これが同じ洋書でも日本の本屋で割りと普通に買えるインターナショナル版ならもっと安いんだけど、それはObamaの特集ではないみたい。米国直輸入版だからのこの値段のようです。
仕方ありません。Obamaのためですから。

ちょっと前に、アマゾンのおすすめ品メールで知った新著"The Audacity of Hope"もいよいよ発売になりましたが(これも買わなきゃ!)、そこからの抜粋も載っています。
記事のほうはこれからゆっくり読ませていただきます。

私がObamaを知ったのは、2004年の上院選で、Reconstruction後アメリカ史上3人目(!まだたった3人。)のアフリカン・アメリカンの上院議員に当選した頃だったと思います。
さわやかな笑顔も素敵ですが、生い立ちやこれまでのキャリアに強く惹かれ、すぐさま最初の本、自らの半生をつづった"Dreams From My Father"を購入しました。



カンザス生まれの白人のお母さんとケニアからの留学生だったお父さんがハワイ大学で出会い、結婚して生まれたのがBarackです。
お父さんはその後ケニアに帰ったので、Barackは実質的にお母さんと母方祖父に育てられました。
やさしいお母さん、自分が白人の血も黒人の血も引いていること、白人のおじいちゃん(←いいキャラ)やその友だちとの関係など、子ども時代の話も生き生きと描かれています。
コロンビア大を卒業後、シカゴでCommunity Organizerとして働きます。その間の日々はヘビーでもあるけど人間的に成長していくObamaの様子が伝わってきます。
そして、すでに亡くなったお父さんの痕跡をたどって、ケニアを訪れ、異母兄弟や親戚とも会い、初めて知る父の話を聞き、自分のルーツを考える、というところでこの本は終わっています。
ちなみにこの本、日本人にはアカデミックな文章よりはるかに難しい口語満載の文章なのでちょい難易度高めです。

その後、Barackはハーバード・ロースクールに進み、アフリカン・アメリカン初のHarvard Law ReviewのPresident*になります。
卒業後はシカゴでCivil Rightsのlawyerとなり、イリノイ州議員を経て上院議員になっています。

*各ロースクールには、記事の選考・校正からすべて学生の手で作られる法律雑誌がいくつかあって、その中でも、シンプルに学校名を付した ○○Law Review 又は ○○Law Journal がもっとも権威があります。このような法律雑誌の編集委員になる学生は、ロースクールの試験の成績や論文・校正などの選抜試験で選ばれ、秀才ぞろいです。数あるローレビューの中でも当然トップレベルに位置するHarvard Law Reviewですが、そのプレジデント、つまり編集長というのは、ハーバードの一番の秀才っていうのとほとんど同義なわけです。もう心底尊敬です。

ハーバード・ローで知り合った美人の奥さんとの間にかわいい二人のお嬢さんがいる家庭人でもあります。

2004年の民主党大会でのKeynote Address、聞いたときはかなり感動しました。

"..Well, I say to them tonight, there's not a liberal America and a conservative America — there's the United States of America. There's not a black America and white America and Latino America and Asian America; there's the United States of America."
「ワァーーーーッ!!」
(アメリカ人、大喜び。)

キャッチーなフレーズではありますが、この人が言うからこそ輝く言葉です。

ちなみに、最初の"Dreams..."は、当初紀伊国屋にもおいてなくて、「入荷の予定はありません。」とあっさり言われてしょうがなくAmazonでアメリカから取り寄せましたが、今では紀伊国屋にも背表紙ではなく表紙をこちらに向けて置いてあります。
ようやく、時代が私に追いついたな、という感じです。

洋の東西とLSAT

2006-08-05 14:50:14 | 
本格的に暑くなりましたね。外は鉄板の上のような暑さで、日がかげるまでは出かける気力も出ません。こういう日は勉強や読書が一番。
ということで、ちょっと前になりますが、読んで面白かった本2冊。

*The Geography of Thought -How Asians and Westerners Think Differently...and Why (Richard E. Nisbett)
確か、「思考の森」か何かのタイトルで邦訳が出ていて、それが1,2年前に話題になっていたと思います。
1年前に読み始めたけど、勉強その他が忙しくなってしばらく放っておいたのを、落ち着いてから改めて読みました。

タイトルのとおり、アジア人(特に日、中、韓の東アジア人)と欧米人(特にプロテスタント系のドイツ、アングロサクソン、アメリカ人)の思考がどう違い、さらには思考の元になる世界の認知の仕方がどう異なるか、ということを、豊富な例と分かりやすい説明で書いてある本です。
読みながら、「なるほど!」と目からうろこ。「アメリカ人とどうやってもイマイチ話がかみ合わないのはこういうことか。」と分かる気がしました。

簡単に言うと、東アジア人が、全体や調和や関係により注意を向けるのに対して、欧米人は対象そのものにのみ注意を払い、背景や全体や調和や関係はそもそも認知すらしないという傾向があるとのこと。

色々と面白い話が一杯なのですが、今の自分の状況から特に興味深かったのが、formal logicについての話。
Formal logic(形式論理学)は、
If X, then Y.
という命題は、
If NOT Y, then NOT X.

No X unless Y.
と同じということで、内容よりも論理の構造体系を扱うものです。
これをマスターすることは、LSAT(Law School Admission Test)のLogic GamesとLogical Reasoningの両セクションを攻略する上でとっても大事なんです。

この本によると、東アジア人は、純粋に論理の構造だけを扱うのが欧米人に比べて苦手で、内容のもっともらしさに引きずられてしまう、とありました。
つまり、日常の経験則から言うとおかしい内容だと、形式論理学の構造上正しくても間違っているとしてしまうというのです。

これは、すごくしっくりきました。
何を隠そう、私もformal logicが苦手で、今でこそ形式だけを意識することに大分慣れてきましたが、最初の頃は「えっ?ちょっと待って。それおかしくない??」と、内容に引きずられていました。
ただ、欧米人にとってformal logicが簡単というわけでもなく、比較の問題のようです。現に、LSATのテキストでは、どれもformal logicについてかなり力を入れて説明していますしね。また、欧米人は欧米人で、(一見矛盾したことに中道やさらには真理を見出す東アジア人と異なり)論理矛盾恐怖症ともいえる態度が論理的な間違いを招くことがあるそうです。

すごく面白かったし、日本人よりもむしろアメリカ人に読んでほしい本だなと思いました。

*Never Let Me Go (Kazuo Ishiguro)
「日の名残り」でおなじみのカズオ・イシグロの新作です。
これも、読み始めて忙しくなり放っておいたら、先日とうとう邦訳が出てしまいました。そのままズバリ「私を離さないで」というタイトルです。

最初の方は、正直ちょっとboringな感じなんです。
一見、どこかのboading school(寄宿学校)かな、と思わせるシチュエーションで、一見小さなエピソードがつづられていきます。
その中に、よく考えると「あれ?」と思うようなことがちらちらとあり、それが後々の伏線になっているのですが。

そして、途中から薄皮をはぐように、すべてのことが示すchillingな現実が明らかになっていきます。
こうなると、もう止まりません。朝の3時まででも読んでしまいます。
そして最後には、哀しさというか怖さというか切なさというか、そういうなんともいえない感情が残ります。
「日の名残り」とはずいぶん違うテイストの物語ですが、面白いですよ。

・・今は、Paul AusterのThe Brooklin Folliesを読んでいます。洒脱な筆致の中に人生のアイロニーが潜んでいて、「ニヤリ」としつつちょっと切なく苦い涙、という感じです。

今は読みたい気分 「悪霊」

2006-02-23 21:27:16 | 
多分,出願手続も(ほぼ)終わり,実際にロースクールに入学するまでのこの時期が,存分に法律関係以外の本が読める最後の(少なくとも当分ない貴重な)時期・・。
なので,これまで読みたくても目先のこと優先で読めずにいた本をなるべく読んでおこうと思っています。

直近では,ドストエフスキーの「悪霊」を読み終わりました。
これで5大長編(罪と罰,白痴,未成年,カラマーゾフの兄弟,悪霊)読破!
ドストエフスキーは,とても好きです。
こんなに人間のことが分かるのなら,おかしくなってしまっても不思議ではないと思う。
一番好きなのはやっぱりカラマーゾフですが,悪霊もとても面白かったです。
それぞれ個性的で目の前に見えるかのような登場人物。
はらはら,どきどきな展開。リアルなロシアの風物,情景。
文章はとても鋭いのだけれど,けっこうユーモラスで,思わず「くすっ」となってしまうこともしばしば。

今回,「うーむ,なるほど確かに。。」と思った言葉をひとつ。

(ピョートル・ヴェルホーヴェンスキーの言葉)「ほんとうらしく思わせるには,できるだけ曖昧に書く必要があるんです,つまり,これですよ,こんなふうにちらとほのめかすんです。真実というやつは,端のほうをちらと垣間見せて,人の気持ちをそそるのが手なんですよ。人間というやつは,他人に欺かれるよりは,いつも自分で自分を欺くものでね,むろん,他人よりは自分の嘘のほうをよけいに信ずるものなんですよ,これがいちばん,これがいちばんなんですね!(後略)」

持って行くとしたら・・・

2006-01-30 21:45:36 | 
アメリカなりどこなり外国に長期滞在するとして,日本の本で何か持っていくなら何を選びますか?

私は,今だったら,古今集,新古今集の他,三島由紀夫の「豊饒の海シリーズ」全4巻にすると思います。

あっ,誤解のないように申し添えますが,このシリーズ,決して映画化がきっかけで読んだわけではありません。
ミシマ,大好きなんです。
他にも読んだし,これからまた「禁色」なーんて読むつもりですが,やはりこの4冊が最高峰でしょう。
芳醇な日本語の圧倒的な美しさ,インドの風物から日本の宮中行事,仏教の教義,テーブルマナーなどありとあらゆることに通暁している博識ぶり。
ストーリー展開の巧みさ,登場人物それぞれの強烈な魅力と個性。
読み終わるのが本当にもったいないくらいでした。

ちなみに,私は2巻の飯沼勲くんと4巻の安永透くんが大好きです。