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子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

『空の名前』高橋健司

2013年03月02日 | 日記
『空の名前』

ずっと忘れていた本。
ドリカムの『眼鏡越しの空』を聴いていて,その歌詞に出てくる本。
「そうだ,持ってたんだ,この本!」と想い出し,本棚の奥の奥から引っ張り出してきた。
今の家に引っ越してきてから初めてひらいた。

いっけん,図鑑?と思うのだが,ちょっと違う。

空や天気,季節の移ろいに関する日本語,古典文学の一節や歳時記などから選ばれた言葉が,それをイメージした写真と共に紹介されている。

写真の数は316点。つまり,それだけの言葉が紹介されているのだ。
類似語を合わせると,もっと。

写真の分類?索引(構成)も素晴らしい。

序章.気象学による雲の分類法
1.雲の章
2.水の章
3.氷の章
4.風の章
5.季節の章


季節の章に,『二十四節季』もちゃんと載ってるではないかっ!(笑)
少し前,二十四節気について話題にしたばかりだったので。


たとえば,画像で添付した「天使(ヤコブ)の梯子」の解説。

旧約聖書創生の記第28章を引用し,以下のような文章が記されています。

「雲の切れ間から射し込む,幾筋もの神々しい御光は,あたかも天と地を行き交うための階段
のように思えます。そこでヨーロッパではこれを天使の梯子,ヤコブの梯子といっているのです」


宮沢賢治でいうところの「光のパイプオルガン」だ。

日本気象協会に勤務されていた高橋さん。
まえがきに「気象学上の用語は原則として取り上げませんでした」とあるが,序章だけは,雲の章での俗称をイメージしやすいように,簡単な解説を載せている。

写真の趣味が高じてこの本を出すことになった高橋健司さんいわく,
「地球がスタジオ」だそうだ。

美しい自然,美しい日本の風景,美しい日本の言葉たち…。
もっともっと知りたい。出会いたい。

空を眺めよう。もっと。
外に出て,ほんの小さいな感動でもいい。味わっておこう。

この本もしばらくは手元に置いて眺めることにしよう。

そうして,また,この詩を想い出した。
最初の質問


★2012年度★第10回お昼休みのおはなし会

2013年02月22日 | 日記
1・2年生中心に30人ほど集まってくれました。
ランチを早々に済ませ,「今日は何のおはなし~?」と駆けつけてくれる子供たち。
嬉しいですねぇ~。
先生方にもたくさんお越しいただきました。いつもご理解・ご協力をありがとうございます。




お届したお話は,以下の3作品。

「なわとびしましょ」伊沢尚子・文/及川賢治・絵/福音館書店
「バナナのはなし」長谷川義史・作/学習研究社
「王子様の耳はロバの耳」ポルトガルの昔話


『なわとびしましょ』

ペッタンペッタン,なわとびしましょ!おはいんなさい♪

まず最初は,たけしくん。それからおじいさん,おばあさん,魚屋さんに犬も,ろくろっ首も,宇宙人も…。

みんな仲良くおはいんなさい♪

最後に,縄を踏んだのは…だぁれだ?


『バナナのはなし』


子どもたちが大好きなバナナ。一番身近な果物の不思議について,楽しく答えている絵本です。

冷蔵庫に入れておくと,どうして黒くなるのか。
皮に浮いてくる黒い点々はなに?
にがい筋の正体は?
バナナの花は?
バナナの樹にどんなふうに実をつける?
種は?

大人も一緒に「へぇ~!!!」の連続でした。

久しぶりに科学系の絵本をお届けしました。


『王子様の耳はロバの耳』


ポルトガルの昔話です。

子どものいない王様とお后さまが3人の妖精を呼んで,子どもを授けて欲しいと頼みました。
3人の妖精は、願いをかなえ,お后さまに王子が産まれました。
再び現れた3人の妖精は、魔法の力で王子に贈り物をすることに。
1人目の妖精は「世界一美しい王子に、なりますように」
2番目の妖精は「思いやりのある、賢い王子になりますように」
3番目の妖精は考えた末,
「それでは王子に、ロバの耳が生えますように。そうすれば決していばる事のない王子になるでしょう」

やがて王子は妖精の願い通り、美しく賢い王子になりましたが,ロバの耳も大きく立派に。
ある日床屋に散髪をお願いしました。床屋に王様が「絶対話すなよ」
でも,秘密を黙っていられなくなった床屋は,穴を掘って秘密を叫び土をかけました。
やれやれ,すっきり!
ところが,その土から生えてきたアシの葉を,通りかかった羊飼いが笛にして吹いてみると…。


♪王子さまの耳は、ロバの耳。
♪王子さまの耳は、ロバの耳。


と勝手に歌いだし…。




これまた,久しぶりに,語り(素話)でお届けしました。絵がなくとも,子どもたちは,よく聞き入ってくれてました。
♪王子さまの耳は、ロバの耳♪と,一緒に口づさんてくれたり,秘密をばらした床屋が王様に罰を受けそうになると「ヒャー」と驚いたり…。

本当に,うちの学校の子たちは,おはなしが大好き!
子どもも大人も,同じ空間・時間を共有して楽しめることが読み聞かせの良さ。
また,子どもの成長や発達に気づかされ,子どもたちと楽しく触れ合い,コミュニケーションできる絶好の機会でもあります。
我が子だけよければ…ではなく,保護者皆で,子どもたちみんなの成長を,共に見守っていきたいものです。

たまには,よその子を叱ってもいいのですよ。
今日も,
「こら~!廊下は走らな~い!」
と叱ったら,ピタっと止まって,「はい,すみません」と素直に歩き始めました。

口うるさいウザイおばちゃんだと思われても,べつにいいんです。
挨拶含め,どんどん子どもたちに声をかけてあげましょう。

「私たちは,あなたたちをいつも見てますよ,いつも見守ってますよ,ちゃんと認めてますよ」
というサインをどんどん大人が出してあげましょうよ。


『卒業ホームラン 自選短編集・男子編』重松清

2013年02月13日 | 日記
重松氏の文章は,大変読みやすく,男子編とあったので,息子にどうかと買ったもの。
しかし,どの作品も,これは,大人に特に親に読んでもらいたい。

タイトルにもなっている「卒業ホームラン」。
息子の入っている少年野球チームの監督でもあるお父さんが,今季全勝がかかっている小学校生活最後の試合で,指導者として「勝負」をとるか,親心から最後くらいは…と,息子をベンチ入りさせるかどうするか,悩める姿が上手く描かれています。

加えて,今どきのスポーツ少年団の抱える悩みも。
つまり,保護者の対応。

「なぜ,うちの子が途中で降板させられたんですか?」
「どうして,うちはいつも補欠なんですか?」
「今日は,祖父母も応援に来てるので,ひとつ,よろしく!」

などなど。大変だ~。
いったい,誰のための,何のためのスポーツなんでしょうね。ふふふ

結局,大差で負けてしまった試合。
監督としても最後の試合。
試合そのものより何よりも,周り保護者にも気を使ったりして…へとへと。
最後の試合もベンチにすら入れなかった息子の,最後の一言に救われます。

上手か下手か,勝ったか負けたか…それよりも何よりも,野球をする理由は,

「だって,野球が好きだから!」

でいいのではないでしょうかね?

収録されている作品は,

1 エビスくん
2 卒業ホームラン
3 さかあがりの神様
4 フイッチのイッチ
5 サマーキャンプへようこそ
6 また次の春へ-トン汁-

の6作品。

どの作品も,重松ワールド全開。
多感な小学校高学年の少年・少女,また,そういう子を持つ父親が主人公。
親友とは?父親とは?家族とは?
涙なくしては読めないものも…

個人的には,「卒業ホームラン」に次いで,「サマーキャンプへようこそ」が好きです。
我が家も,アウトドアなんて無縁だった夫を,「子どもはやっぱり自然の中で遊ばせるべきよ!」なんて,無理やりアウトドア父さんに仕立てあげた経緯があり…,身につまされます。

子どもはよく大人を見抜いているものですね。

重松氏が3.11震災直後,自身の愛着深い作品を集めたもの。女子編『まゆみのマーチ』と共に印税のすべてが,将来にわたって,あしなが育英会に寄付されます。

『数学脳をつくる』藤原和博

2013年01月30日 | 日記
藤原和博氏:民間人から初めて公立(杉並区)の中学校長になった方として有名です。


画像にあるような問題があったとします。どれが正解でしょう。


④が仲間外れとする答える人が圧倒的に多いそうです。
理由は,「線が切れているから」


次に多いのが②
理由は「左右対称じゃないから」

①を選んだ人が一番少なかったそうです。
選んだ人の理由は「小さいから」


ちなみに,息子は,③。理由は「尖っているから」


数学の問題だと思うと,肩に力が入って,眉間にシワが寄って…(笑),たった1つの正解を探しがちですが,すべての図形に仲間外れの理由が存在し,それらの違う見方がそれぞれ必要になる場面が存在します。


たとえば,職業別にみると…,


不動産関係の人は①…土地が小さい。有効活用できないから。

デザイナー関係の人は②…線対称でなく美しくないから。

鉄道関係の設計者は③…尖った線路では電車は走れないから。

動物園の飼育係は④…檻から動物が逃げてしまうから。


チェックする対象によって,チェックする内容も変わるから面白い。



仲間外れやグループ分けは,たとえば,日々,ゴミの分別とか普段やっていることですね。
自治体によって分別のルールが,まぁ,さまざま。

嫌な奴,嫌いな子を,ある理由だけで「仲間外れにする」こともあれば,別の理由で他の仲間に入れることもある。
子どもの世界では,仲間分け,グループ分けは,とてもダイナミックに変化しているようです(苦笑)


物事や人物ををいろんな方向から多角的にとらえるってことが大事なのですね。
もっと頭を柔らかくしなくては。



この本では,数学的な見方=本質を見抜く力を鍛える学問だと説いています。
よのなかには,数学的な考え方がとても多く隠されています。

「なんで,算数ってあるの?」
「何で数学を勉強しなくちゃいけないの?」
と,中学進学目前に文句を言いながら宿題をしている息子に,上手にそして知的に(笑)答えるために,さらに読み進めていきたいです。


「くっつける技術」
「区別する技術」
「捨てる技術」
「かみくだく技術」
「寄せる技術」
「なんとなくの技術」
「近似する技術」
「類推する技術」
の8つの技術が紹介されています。

「この8つの技術は,どれも,自分の人生を編集する技術でもあり,未来につながる”光”を見つけるための基本的な『処世術』となる」(本文より)

★2012年度★第9回お昼休みのおはなし会

2013年01月19日 | 日記
①「おへそのあな」長谷川義史/作,BL出版
②「はつてんじん」川端誠/作,クレヨンハウス
③「ふしぎサーカス」伊藤文人/作,サンマーク出版


『おへそのあな』
誕生前のおなかのなかの赤ちゃんが,おへその穴から,家族の様子をみています。
頭が下になっているので,見える景色は,みな逆さま。
(なぜ,逆さまなのか,子どもたちはわかったかな?)

赤ちゃんは,家族の会話を聴いています。お料理の匂いを嗅いでいます。
赤ちゃんの誕生を待ちわびる,家族の幸せそうなようす。

そして,赤ちゃんは,生まれてくる日に,そっと,聞こえないように言うのです。
「あした,生まれていくからね」

子どもが生まれたときの感動がよみがえる,素敵な絵本です。。
これからお姉ちゃん,お兄ちゃんになるお子さんにオススメ。

また,1年生は,3学期の総合学習として,生まれてからこれまでの自分史を作ります。
誕生前から今までの自分の成長について,お母さんにインタビューもします。
家事や仕事で時間に追われる日々で,我が子が生まれたときの感動を忘れがちですが,優しい気持ちに戻って,一緒に作り上げて下さいね。



『はつてんじん』
初天神…学問の神様,菅原道真をまつる天満宮の縁日は毎月25日。新年になってから,天満宮にはじめてお参りに行くことを,“初天神”といいます。

やんちゃな金坊とお父さんは連れ立って,天神様へお参りへ。
本当は「これ買って~!あれ買って~!」とねだってばかりの金坊を連れて行きたくないお父さんなのです…。
途中の屋台で金坊は,わたがし,たこやき…とおいしそうなものをねだりますが,お父さんは「あれは,どくだ。」とごまかします。
でも,とうとう,根負けして凧を買うことなりますが…

お父さんと金坊のかけあいが楽しい,落語絵本。


落語が大好きな子どもたち。
最後,金坊そっちのけで凧上げに夢中になるお父さんにかけた金坊の言葉(オチ)が,ちゃんと理解できてました!

担当のTさんが前に出ただけで,「おっ!面白い話だよ,きっと!」と子どもたち(笑)。
お笑い系担当就任おめでとうございます,Tさん!
今年も,子どもたちに,たくさん笑ってもらいましょう~!


『ふしぎサーカス』
ひっくりかえしてみると…あれぇ~?
バスがピエロに!ピエロが女の子!犬がウサギに!
とても愉快なさかさ絵本。

ここまでくると芸術作品ですね。
2005年「第23回 アートの中のユーモア国際ビエンナーレ」にて特別賞受賞。世界が認めた,伊藤文人のさかさ絵ワールドを,ぜひお手元でもお楽しみ下さい。



その他,メンバーが紹介してくれた絵本です。

『ミリーのすてきなぼうし』きたむらさとし/作,BL出版
素敵な帽子が欲しくて帽子屋さんに出かけたミリー。
欲しかった素敵な羽のついた帽子は,なんと99999円!
「このくらいしかないんですが…」と,ミリーがお金が全く入っていない財布を見せると,店員さんが「では,これをどうぞ」と,ミリーの頭に想像の帽子を乗せてくれます。
ミリーが街の通りを歩き,見るもの,出会うものが変る度に,想像の帽子も変わっていきます。
そして,すれちがう街のひとびとの頭にも想像の帽子があることに気が付きます。

帰宅後,お母さんに,帽子の事を話します。
お母さんも「素敵ねぇ~」と…。

私は,帽子屋の店員さんとお母さんの,とても優しい,想像力ある大人の対応に感動しました。
クジャクの帽子は圧巻ですよ。

2010年の課題図書になったのも理解できます。みなに読んでもらいたい作品です。

『ちょっとだけ…』瀧村 有子/著,鈴木 永子/絵,福音館書店
下の子の赤ちゃんの世話で忙しいなっちゃんのお母さん。
なっちゃんは,お姉ちゃんとして,ひとりでお母さんに頼らずに,いろいろやってみようと頑張ります。
でも,やっぱり,お母さんにお願いしたいことがある…。
なっちゃんは,「”ちょっとだけ”でいいからだっこして」とお母さんにお願いします。
お母さんは,「いっぱいだっこしたいんですけど、いいですか?」

お姉さんとして成長していくなっちゃんですが,お母さんの愛情を一人占めできない切なさに心打たれます。鈴木永子さんのイラストが優しく表現しています。


ミリーのお母さん,なっちゃんのお母さんのように,子どもへの優しい声掛け,少し,私も見習おうと思いました。

Sさん,2冊の絵本のご紹介ありがとうございました。

次回の定例会,お昼休みのおはなし会は,2/21(木)です。