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子ども・若者排斥運動

2005年04月30日 20時50分26秒 | アンファニズム
 現在、2つの都市で子ども・若者排斥運動が行われつつある。
 1つは大阪府の不登校「半減」政策であり、これにはもう予算も人員もついてしまっている。もう1つは、横浜と神奈川の青少年の夜間外出を規制する条例である。こちらはまだ検討中だ。

 大阪府の政策は、子どもを学校に閉じ込めておきたいのだ。これは、街中に子どもが自由に行き来することを許さないという意思表示だ。経済効率優先と、大人の子どもに対する優位者としてのプライドのために、昼間の時間帯における子どもの外面(行動)と内面(思想・信条)の自由をつぶすものだ。
 もう一つ、横浜の、市と県のふたつで検討中の条例は、夜の時間帯における青少年排斥運動だ。
 
 
 大正末期から昭和初期にかけて活躍したアクティヴィストの高橋貞樹は、こう書いている。

「米国の太平洋沿岸カリフォルニアその他の諸州には、もはやこれ以上の日本人は要しないという移民制限排斥の意味で「日本人無用(ルビで「ノ-モーア・ジャパニ-ズ」)の立て札を市街・村落の入口にたててあるが少なからぬと言う。けれどもわれらは、至るところにわれらを差別する「無用(ルビで「ノ-モーア・エッタ」)」の無形の立て札を見る。」と語っている。
(高橋貞樹「被差別一千年史」岩波文庫1992,1993:197)
 ひるがえって、今の日本のひとつの都市ではどうだろうか? “No more children during daytime”の見えない立看板が立てられたも同然ではないか。もう一つの都市では、もうじき“no more children and youth during night time ”の立看板がかかげられそうな気配である。
それが年齢や日時を問わずに拡大すれば、移民排斥運動の前に、自国内での青少年排斥運動が盛り上がるだろう。すでにニ-ト・ひきこもり・フリ-タ-などが、教育・医療・福祉の対象として閉じ込められようとしている。子どもの昼間の学校への囲い込みは、大人への弾圧の前兆かもしれない。

 それにしても、子どもとともに住めない大人中心主義社会もここまで来たのか、とあきれざるをえない。右肩下がりの経済のなかで、将来の下層階級・階層予備軍、あるいは現在の下級身分を見るのが何よりも嫌でかなわない人々が、苦痛で気が遠のいた状態で作ったとしか思えない政策によって現在を壊され、その延長線上に存在するであろう健全な未来を奪われるのは、子どもと若い世代である。
 立場を超えて、この2つの愚行を、ゆるしてはならない。
 
 
 



 
 

1 コメント

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上田市不登校ゼロ宣言 (きょん)
2005-05-02 15:38:35
上田市でも、不登校ゼロ宣言をして教育相談所の体制強化のほか、大学と連携して不登校に関する調査研究などを行うのだそうですよ・・・

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20050425wm04.htm