ある閉店

2022年11月20日 | 短歌
いつも寄りそってくれた人が、突然いなくなってしまったら、それはさびしいことだろう

それが、店の明かりであったとしても、長年なれ親しんだものがなくなってしまったら、周辺の光景は寂しくなるのにちがいない

わが住まいの、駐車場一つ隔てたとなりに、二十四時間営業のコンビニがある
そのコンビニがあったことも、いまの住家を選ぶ条件の一つであったような気がする
住み始めてからは、カーテンを引くと窓ごしに、朝イチであれ真夜中であれ、いつもそのコンビニの明かりが目に飛びこんでくる
そのことが、一人暮らしの身には癒やしにもなっていたと思う

ニ、三日まえ、そのコンビニの前を通りかかると、入口わきの一枚のはり紙が目にとまった。今月いっぱいで閉店する、とあった

いつのまにか、小さな商店が一軒また一軒と、この通りから消えてゆく流れでもあろう
二十四時間の、そのコンビニのこうこうとした照明がなくなってしまえば、また寂しさの増す街になる

◇ ある閉店 ◇
おでん買うこともならずよ
寂しさの増す街となる
コンビニなきあと
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