続・騒音被害者

2021年10月25日 | 短歌
マンション住まいのM氏は、夜10時すぎ2週連続して警官の訪問を受けた。いずれも2人組だったが顔ぶれは違っていた

最初の時は、マンション内で子供の騒ぐ声がするというものであった。そういう通告があったのだという

次の週に来た警官は、M氏が部屋の中を歩き回っていなかったかと尋ねた。足音が響いてうるさいという苦情があったのだという

M氏は、「先週と騒音の内容が違いますね」と言ったところ、警官たちはキョトンとしていた。前の週に彼らの同僚たちが、同じような問題で同じマンションの住民たちを尋ねていたことを知らなかったのである
市内をパトカーで巡回していた彼らに、110番の司令室から現場に直行せよとの指令が届き、そのままM氏のマンションに飛び込んだのであろう

騒音被害を通告したX氏がだれなのかM氏は知らない。警官が教えてくれないからである
このことも腹立たしいが、この後のことについて、警官たちから一切事後報告がないことも気になる
いったいこの事件は解決したのか、それともM氏は今なおX氏から騒音発生源と目されているのか、スッキリしない

X氏は2週にわたって違う種類の騒音を通告した
X氏は現実にその音を聞いたのだろうか、という疑念をM氏は抱き始めている
現実には存在しない音や声が聞こえる精神疾患があるということを、何かで読んだことがあるからである

警官・警察からその後の報告がないこと、X氏が普通の人ではないかもしれないという疑念
M氏は、最近夜中に目が覚めると、それらのことが思いうかんで眠れなくなることがあるという

M氏のような騒音被害者もいるのである

◇ 騒音被害者 ◇
加害者の疑いあるとて
尋問をさるうち
ある者は被害者となる


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