エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

26年ぶりの再訪も夫婦では未踏の石狩4座へ・・・

2022年08月11日 | 山紀行 (十勝・大雪)
行って来ました。26年ぶりの再訪も夫婦では未踏の石狩4座へ
石狩岳(1967m)✖ 小石狩岳(1924m)
  ✖ 川上岳(1894m)✖ ニペの耳(1895m)
■ 山 行 日      2022年08月10日(水)   日帰り
■ コ ー ス      シュナイダーコース 往復
■ メ ン バ ー       夫婦登山 №17
■ 登 山 形 態       登山道
■ 地 形 図      1/25000地形図  「石狩岳」
■ 三角点・点名     4座とも標高点のみ 三角点無し 石狩岳のみ山名記載あり
■ コースタイム     登り 4時間20分     下り 3時間10分
<登り>
05:30         登山口出発
06:00~15      沢渡渉 (裸足になって)
06:25         急登の始まり
06:50         C1080尾根の肩
07:25~30      C1230付近 休憩
08:13         C1530付近「かくれんぼ岩」
09:00~10      C1770分岐 休憩
09:50         石狩岳 (1966m)頂上   登行中止に。

<下り>
10:05         下山開始
10:30~50      分岐 (1770)
11:15         かくれんぼ岩
12:50         沢渡渉
13:15         登山口 P


★ 昨年のリトライ・・・
昨年の10月に25年ぶりの再訪と夫婦登山としての未踏峰狙いも兼ねてこの地を訪れた。
しかし、林道の途中で倒木に出合い処理不可能と諦めて「南ペトウトル山」に変更し帰宅した事
を思い出す。あの倒木はその後夕方までには関係者による処理がされて林道は開通したらしい。
登山口の約4km手前だったようで、倒木の場所で出会った先行者の若者はそこから歩いて石狩岳
まで登ったようだ。そんな記録を後から知ると、あっさり諦めた自分の判断を悔いてしまったが、
過ぎた事は仕方がないと今回リトライ計画となった。本来の計画は、音更山とポン音更山も含め
て6座の未踏峰を狙っていたが、各地で大雨警報が発令される中で初日の出発を延期した事で音
更山とポン音更山はお預けとなった・・。

私自身は、1996年6月に職場の仲間たちと音更山~石狩岳~沼の原まで縦走した際にピーク
を踏んでいるが、チーヤンが未踏なためにようやく叶った計画でもあった。これが26年ぶりの
再訪で前日は登山口で車中泊キャンプをして当日に備える事にした。


★ 命を守る選択で途中下山・・・
「ドライブで終わっても、決行」と勇んで出掛けた石狩岳登山口。
片道約250km、約5時間のドライブでした。登山口駐車場には誰も居ず、天候はくもり、目指
す石狩岳も厚い雲に覆われて頂上部は見えずでした。ともかく今日はここでキャンプ。直火の焚
火台を作り早々にBBQ開始。すると一台の車がやって来た。話をすると東京から来たと言う単
独の男性で、明日石狩岳に登ると言う。同じ仲間が増えて嬉しかったが、なにせ天気が心配。
BBQを終える頃、予定していない雨粒がポツポツと降り始めたが後に上がる・・・。

未明2時頃、車の屋根に雨音が鳴り始め、次第に強くなって来て目を覚ます。
雨予報では無かったのでちょっとショックだったが、山の天気なので仕方なく見守る事に・・。
起床を1時間遅らせ4時に起床。ようやく雨が上がったので「決行」と決める。

単独の男性は4時半頃に出発したが、私たちの出発は5時半になった。

最初から下の雨具を履いて出発。雨で濡れた草ですぐにカッパも濡れる。
30分ほどで沢の渡渉点、細い丸太1本が掛けられていたが雨で濡れてスベスベで渡れない。
止む無く「裸足」になり無事渡渉。登山道は明瞭で歩き易くピンテもあるので迷う事は無かった。
最初の急登はジグを切りながらC1080付近尾根の肩まで登る。最初は緩斜度の尾根筋だった
が、次第に首が痛くなるほどの急登が続き足が重くなる。岩場が何ヶ所もありゼィゼィ汗が噴き
出る。そして、C1200を過ぎた頃から雨が降り出して来た。すぐに上着も着て対応したが、
雨は本降りから止まない。

自分の体力の無さが情けなく何度も足を止めて休む。チーヤンには「また始まったか・・」と言
わんばかりだが、返す言葉は無い。
結局、1770の分岐まで3時間半も掛かってしまった。当初の予定は、石狩岳まで3時間だっ
たのに、これほどキツイ登りは久しぶりと反省である。

分岐では、雨は小降りで風も無くやや終期の「コマクサ」が迎えてくれホッと癒される気分にな
った。山頂まで0.7kmの標識も頂上は雲で覆われ周りの視界もほとんど無かった・・。
時刻はまだ9時なので、雨が降っていても「ニペの耳」まで行くつもりで先ずは石狩岳を目指す。
雨は次第に強くなり場所により風も出て来た。汗を掻いているので身体も手も冷やされ寒ささえ
覚える状況。途中で単独の男性とすれ違い石狩岳から最高点の間が強風と知らされる。

ようやく石狩岳頂上に立つ。
26年前のイメージとは少し違った印象。山頂標識が小さく横たわり頼りなかった。
先ずはチーヤンの初登頂を祝し、握手する。そして、記念写真。強風で雨に打たれながらの写真。
先はまったく見えず、直ぐ近くの最高点でさえ見えない。ジッとしていると体がどんどん冷やさ
れ、手もカジカムほどに寒く感じた。そして、足も限界近くを感じていたので、無理をしない選
択を判断。今度はもっと天気の良い時にまた来よう。初めてのシュナイダーコースも経験し、次
の覚悟も備えた。今日は登頂よりも「命を守る選択」を優先し、下山する事に決めた。
これはチーヤンの希望でもあった・・。


★ 未踏1000m超峰のカウント・・・
東大雪の主峰と言える「石狩岳」や「音更山」は地形図に山名表記はあるが、小石狩岳、川上岳
ニペの耳は標高点のみで山名表記が無い。ポン音更山に於いては、標高点も無い山なのに通称名
として呼ばれている山である。また、これらの山には三角点も無いため一般的に登る対象とする
愛好家は少ないようだ。では何故1000m超峰としてカウントしているのか?と聞かれると、
こうだから・・・という明確な答えは無い。基本的には地形図に山名の表記がある山が対象では
あるが、登山界に於ける様々な文献での表記や岳人たちの中でメジャーとなっている山名である
事が理由と言えば理由である。

最高点は、石狩岳の1967mで稜線を辿る事によりこれらの山々も踏む事になるため、敢えて
カウントしないという愛好家が居てもおかしくない。なのでカウントは人それぞれであり、当然
その数も人により変わってくると言うものである。また、石狩岳の標高は1966mとあるもそ
のすぐ南にある標高点1967mが石狩岳の最高点とする双耳峰扱いになっているので、私的に
は最高点を標高として載せる事にした。



唯一の花の写真 分岐に咲いていた「コマクサ」・・苦労も忘れるひとときでした。

★ 前泊のキャンプ・・・
記事は前後するかも知れないがご勘弁を・・・。
今回の山行はまず登山口で前泊。翌日石狩岳~ニペの耳までを往復し帰宅する計画である。

自宅から登山口まで約250km、約5時間を要して到着した。昨年は倒木で中止になった石狩岳
だったので、今回はチェンソーも用意していたが、幸い倒木も林道の決壊も無かった。
登山口駐車帯から見えるはずの石狩岳は、厚い雲に覆われてどんよりした天候だった。明日は晴れ
るさと運は天に任せて、早々にBBQの準備をする。今回は焚き火台ではなく直火で焚き火。石で
焚き火台を作り網を乗せただけも完璧の出来。薪も持参していたが、現地の流木も調達。

早々に明日の成功を祈って「乾杯」
やっぱり外で食べるBBQは格別である。ビールも旨い!

しかし、食べている時ポツンと雨粒が落ちる事もありBBQは早めに終了。

食事中に1台の車が来て、挨拶を交わす。東京から来たと言う単独の男性。明日は石狩岳、明後日
はにペソツに登ると言うが、すぐに車に戻ってしまい挨拶で終わる。



超シンプルなBBQ。直火石の焚き火台に網を乗せただけ。


ジンギスカンと牛バラと野菜のみ・・・


明日の成功を祈って・・・

★ もう老体かと思う足取り・・・
予想外の夜中の雨で目を覚ます。中止かなと半ば諦めもあり起床は1時間遅らせ4時に起きる。

思案するも雨が上がったので「決行」と決める。
始めからカッパを履き、5時半に出発。東京の男性は4時半に出発していた・・。

<中略>

異変と言えば大げさ、チーヤンから言わせれば「また始まったの?」と言わんばかりだが、返す
言葉は無い。気持ちで反省しても教訓には成らず普段は酒を飲むだけで体力づくりはサボってい
る。その結果山に登るといつもそうなのだ。汗を掻き、急登での足取りはいつも遅い。何度も足
は止まりペースもダウンする。

「もう老体か」ではなく、訓練不足なだけ。
それでも夫婦登山だからまだ許されるかな?ありがたきパートナーに感謝。一歩一歩登ればいつ
か頂上に辿り着く。それが登山である。



シュナイダーコース登山口標識


沢の渡渉点、帰路に撮影。この丸太はスベスベで渡れず、往路では裸足になって渡渉。


標高約1530mにある標識・・急登の途中です。


ようやく辿り着いた標高1770の分岐点。ここまで3時間半を要してしまった。でもホッとする。


自分にとっては死闘の4時間半。なんとか着いた石狩岳のピークだった。


石狩岳山頂標識・・・倒れ掛けていて寂しそう


チーヤンにとっては記念の初登頂! 最悪の雨と風もやはり初ピークの感動はあったと思う。


帰路の分岐にて



★ 途中下山も納得の一座に価値あり・・・
実際のところ雨が降るかもと分かっていたら山には登らないもの。なのに敢えて登ったのは、自分
を試すためとあわよくば・・・と言う野心もあった。登山らしい登山をずっと出来ずに時間だけが
過ぎ、すっかり筋力、体力が落ちている事も自覚していたし、先ずは現地まで行かないと何も始ま
らないと思った。それは、チーヤンも多少は同感してくれていたし、無理をするしないではなく、
先ずは登山口まで行って現地判断しよう。結果として「ドライブで終わったとしても」行動を起こ
した事に意味はあり、今後に繋がる夫婦登山だと信じて出発した。

前日は、障害も無く無事登山口に着けたし、BBQも楽しんだ。
当日は、天気予報に反した雨に当たったが、決行した事が第一歩の始まりだった。
しかし、ブランクだった私の体力は予想以上に落ちていてシュナイダーコースの急登は苦しかった。

予定より1時間以上遅れて標高1770の分岐に辿り着いた時は、本当に「ホッ」としたが、正直
体力も足も限界を感じていたのだ。しかし、ここまで来てせめて「石狩岳」でも踏まないと折角の
苦労が無駄になると思い、気持ちを奮い立たせて出発したのである。

コースタイム40分のところ50分を要してようやく辿り着いた「石狩岳」だった。
風は強く雨は容赦なく降り続く、視界はまったく無く頂上の岩場だけが見える程度だった。
カッパは着ていても体はずぶ濡れ、冷たい風が体の熱を奪っていくのを実感する。

時間的余裕があっても、この天気と自分の体に自問するまでも無くチーヤンが「ここで止めよう」
と、ある意味背中を押してくれたのだ。先ずは未踏の一座は踏んだ。この事に価値はあり、良い経
験と教訓にもなった。

結果的に途中下山となってしまったが、二人して納得の一座を踏めたし価値ある夫婦登山だったと
満足の下山だった。「ダメならまた来ればいいっしょ・・・」これで良いのだ。

あとは私自身がもう少し体力を付ける訓練をしなければ同じ繰り返しになる事だけは言うまでもな
い・・・そこが難しい。


※ 8/16 加筆しました。