エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

南日高・・・▲豊似岳(1105m)

2010年01月27日 | 山紀行 (日高山系)
厳冬の日高山脈最南端・・・
▲豊似岳 (1105m)▲オキシマップ山 (895m)
(えりもの風と日高の厳しさを実感してC1012でタイムアウト撤退)

■ 山 行 日  2010年01月22日(金)~23日(土)    1泊2日
■ ル ー ト   追分峠から公営牧場経由三枚岳南尾根ルート
■ メンバー    夫婦登山 No.3
■ 登山形態   山スキー&ツボ足(アイゼン歩行)
■ 地 形 図  1/25000図  「えりも」
■ コースタイム  (稜線C1012まで 登り 4H30 下り 2H12)

【1/22 (金)】

★ 22年ぶりのえりも岬・・・
 遥か日高山脈の最南端に歌にもなった「えりも岬」がある。この地に再び訪れる機会を得て車を走らせ
たが、日高路の国道は別世界だった。雪が全く無く路面は乾燥し正に夏道状態だった。
自宅からは約180㌔で3時間30分で岬に着いた。烈風吹き荒れる誰も居ない岬の駐車場に着いたのは、
もう夕方の4:30だった。吹き飛ばされないようにそ~とドアを開けて外に出るや22年ぶりの寒風で歓迎
された。観光・見物などと悠長な事など言う余裕も無くそそくさと車に戻って退散である。
今日の宿は、登山口となる追分峠手前の国道脇にあった駐車帯に決めて16:50、安着となる。

【 1/23(土) 】
★ えりもの烈風に負けて・・・
昨夜の安着の頃から次第に風が強まり、時折突風となってホテルハイエースを揺らした。19:30には
消灯しシュラフに潜り込むも夜中に何度も起こされた。5:00起床のアラームを聞くまでもなくすでに目は
覚めていたが、ホテル外の暗闇に轟く突風の音で「山行中止」の4文字が頭に浮かび妻と共に二度寝体
制になった。


★ 反省、遅すぎた出発・・・
 結局起床したのは6:30。いつものようにコーヒーを落としながら次第に明るくなる外の様子を気にして
いると東の窓の向こうに赤く染まった太陽が顔を出し始め時折青空も広がりつつあった。

8:00 登山開始  相変わらず風は強いが、青空も顔を出して目指す豊似岳とオキシマップ山もカスミ
ながら全容を見せていた。この天気なら登れるかも知れない・・・と思いつつ遅すぎた出発は登頂に届か
ない諦めの時間だった。
それでも、許す限り行ける所まで歩こう・・というのがエバ夫婦の口癖。国道から除雪されていない牧場
入口からスキーを履いて出発する。

8:10 ゲート前

牧場への林道ゲート


牧場からオキシマップ山は目の前だ・・・


牧場北端にある「豊似岳」登山口の標識

★ 鹿牧場・・・
広大に広がる牧場跡は、かつて道営の肉牛牧場として営まれていたようだが今は四季を通じて牧場経
営はしていないようだ。バラセンで囲われた牧場の区域も荒れ放題になって微かに生えた牧草は鹿の
食糧としてその群れがあっちこっちに見られた。まるでここは鹿牧場と言っても過言ではない状態になっ
ている様だ。それはまた、牧場北側に集落しているはずの崩壊した牛舎や誰も居ない牧場事務所跡の
淋しく錆びれた一角が物語っている様だった。
 そんな牧場の中の道を通り抜けて北側にある登山道入口に着いた。
(9:18)
★ 夏道・・・
地形図に載っている点線が本当に登山道とは正直思っていなかったので、入口の標識を見て驚いた。
同時に標識には「三枚岳」と表示された山があり頂上まで2時間・・・と豊似岳の手前にあることも始めて
知った次第だ。取り合えず尾根に向かって付けられた登山道を辿る事に何の違和感も無く歩き始めた。



登山口からすぐの登山道は尾根の先端に向けて延びている・・・


チーヤンが名付けた「人面木」はC373付近の登山道脇にあった

★ スキーデポ・・・
登山口の積雪は、30cm前後だろうか。ラッセル・・と言うほどの深雪でもなく僅かにトレースを残す程度
で楽な登行で歩いていた。しかし、最初の尾根の取り付きとなる標高400m付近の南斜面は雪が固くジ
グを切りながら何とか登れるという状況だった。しかし、標高550m付近の尾根上では岩が露出して雪が
無い状態や固くて苦労する場面が多くなり、スキーをデポしてアイゼンに切り替える事にした。
(10:30頃)

★ ツボ足でOK・・・
エバのアイゼンは、兼用靴との調整が悪くすぐに使用不可となりツボ足歩行となる。そのためチーヤンに
終始先頭をお願いし、次第に急斜度になる斜面も直登で登ることが出来た。
標高850m付近からはスキーだとよほど雪の条件が良い時以外はジグを切っても登れない程の斜度で、
この時ばかりはツボで良かったと思った。振り返ると辿ってきた牧場の全容と襟裳岬の先端まで望めて、
自分たちが日高山脈の最南端に居ることを実感させてくれた。

★ 感動の場所・・・
夏の登山口から稜線まで2時間45分も要してしまった。もちろん夏道ではないし厳冬の1月もその時々
で雪の状態は変わるのでこの時間が遅いのか早いのかはわからない。
(稜線上 12:05着)
今回は、すっかりチーヤンに助けられた。エバ自身体調も悪く(ただ身体が重いだけです)、休む事が多か
ったし頂上は無論、稜線までも登れるとは思っていなかったので感謝の意で一杯だ。
自分の中で計画していた登行限度12:00は過ぎてしまったが、日高らしい痩せ尾根に立って絶景の景
色と共によくぞここまで登って来た・・と感動のひと時を味わう事が出来た。
少しだけ稜線を辿り密集した潅木帯を歩くとやはり所々ズボッと埋まる場面もありツボ足では限界がある
と判断した。今回の私たちの頂上は、C1012の稜線の屈曲点とし次回のリベンジを誓って下山する事
にした。
下山開始 12:35

稜線からの下りは、身体の重みを利用して快適にステップを切り降りていく。何故か空に青空が風が微
風となり一気に稜線が遠くなって行く。スキーを再び履き、夏の登山口には
13:50に着いた。あとはの
んびりと牛ならぬ鹿牧場の作業道を歩きながら何度も振り返り真っ青なキャンパスに浮かび上がる豊似
とオキシマップを眺めては、今日の教訓と反省を必ずや次回で克服し登頂する事を誓って帰路に着いた。



尾根上 C653付近の登山道には雪がほとんど無かった・・・


予想以上に時間を要しタイムアウトとなった稜線上 C1012付近にて・・・(後方に豊似岳)


稜線の分岐点・・・ここには昔軍事利用していたという崩壊した小屋の残骸と電柱が立っていた


南尾根への下り・・・前方には歩いて来た牧場とえりも岬を展望しながら下る


旧牧場事務所と登った尾根を一望する・・・


下山後快晴となって牧場から望むオキシマップ山



下山後、牧場から望むオキシマップ山(左)と豊似岳(中奥)そして三枚岳(右)