静かな一日

ジャスミン、どうお？　



いつも「お姉ちゃん、お姉ちゃん♪」ってアリスに追いかけられていた毎日。



今朝は静かだねぇ……。



のんびりするねぇ……。



朝、カーテンを開けて、夜にケージを覆っているカバーを外してやっていると、アリスは待ちきれなくて目いっぱい小さな切ない声で
キュン、キュゥ～～ン、キュゥ～～～ンと甘え鳴きをする。



はい、はい、夜は寂しかったねぇ。
ケージの扉を開けるや否や、私の膝の上に這い登って来るアリス。

そんなアリスが、ひとりぼっちで病院に居る。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ズン！　遊ぶ？♪

よし！　ジャスミン、今日はアリスに面会に行こうね。
昨日は術後なので、「お母さんが来ると興奮するので」面会不可だったのだ。



今日は、アナタの爪も切ってもらってこようね☆

いつものオヤツのお皿の音をカチャカチャ言わせて、それにつられて冷蔵庫の上から下りてきたジャスミン。
単純な猫、まんまと捕まる。



騙したんじゃないからね、オカァサン一度も「オヤツ」って言っていないからね♪



看護師さんが、「アリスちゃん、とてもいい子にしていますよ♪　でも、すごくこわがりサンですねぇ」と言う。
それは、ここが病院だからだ。



ジャスミンだって、「とてもおとなしくて、いい子で爪を切らせてくれる猫ちゃん」に変身している。

アリスに面会をした☆

犬や猫が入っているいくつもあるケージの中で、アリスはケージの奥深くの隅っこに、ひと際小さくうずくまっていた。

思わず溢れそうになった涙をこらえて、思いっきりの笑顔と優しい声で「アリス～　アリス、おいで～」と呼んだ。



アリスは、ちょっとためらった後、トコトコトコとケージの前面にやって来た！
私は柵の間に手を押し入れて、思い切り頭を撫でてやる。

アリスが私の手をペロペロ舐めはじめた。
それを見た看護師さんが、「やっぱりお母さんですねぇ。アリスちゃんの態度が全然違う～！」と言っていた。

にんまりする私。

明日迎えに来るからね。　いっぱい抱っこしてあげるからね。　早くお散歩に行かれるといいね。

家に帰ってきて、病院行きのキャリーバッグを嫌がるかと思ったら、くつろいでいるジャスミン。



良かった、ジャスミンが根に持たないタイプで。



ジャスミン、明日からまたアリスに追いかけられるよ。　覚悟してね。


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