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2014年4月12日(土)08:03
ベトナム航空の客室乗務員(CA)が万引された衣料品や化粧品を航空機で密輸していた事件で、CAらが機内に32キロ分の荷物の持ち込みを許可されていたことが11日、ベトナム航空への取材で分かった。平成21年に同種事件で副機長が摘発された後も改善されていなかった。警視庁に盗品等運搬容疑で逮捕されたCAのグエン・ビッチ・ゴック容疑者(25)は「副機長に誘われた」と供述。別の万引事件の捜査でもCAらの関与が浮上しており、組織的犯行の疑いが一層強まっている。
■2人一組
一連の密輸は、万引グループが商品を盗み出すことから始まる。
警視庁に窃盗容疑で逮捕されたベトナム人の男4人は関東近県で、ベトナムで人気が高い「資生堂」の化粧品や「ユニクロ」の衣料品を狙って万引を繰り返していた。
ユニクロでは衣料品などに万引防止用のタグを付けており、店外に無断で持ち出せばアラームが鳴る。
万引グループは2人一組で行動。1人が商品を精算せずに持ち出そうとして店員に止められ、騒ぎを起こした隙に、もう1人がスーツケースに大量に商品を詰め込んで逃走する大胆な手口だった。
捜査関係者は「見張り役を置くなど犯行が手慣れている」と指摘する。
盗品はあらかじめ確保された販売ルートに乗ってさばかれる。その中心にいたのが万引グループから盗品を買い取り、グエン容疑者らに郵送していた仲介役の女(30)=盗品等有償譲り受け罪で起訴=だった。
グエン容疑者らは日本からベトナムに盗品を持ち帰り、仲介役の女に紹介された首都ハノイの雑貨店に運び込む。この店は女の妹が経営し、1点250~400円の報酬を払って盗品を受け取り、現地のベトナム人に正規輸入品より安く転売していたとみられる。
盗品はダウンジャケットなど人気が高い特定の商品に偏り、報酬も人気商品ほど高くするなど、細かく定められていた。
■小遣い稼ぎ
「日本から運ぶだけでカネになる仕事がある」。グエン容疑者はベトナム航空の副機長からこう誘われ、昨年6月ごろから盗品密輸に関わるようになった。
グエン容疑者は「多くの同僚が小遣い稼ぎでやっている」とも供述。警視庁はベトナム航空内で副機長やCAら20人超が密輸に関与したとみており、他県警のベトナム人による万引事件の捜査でも、CAらの関与が浮上しているという。
ベトナム航空によると、CAらには手荷物以外に、スーツケースで32キロ分の持ち込みを許可。一方で、ケースの中身の検査は随時行っていたといい、担当者は「税関などが検査を厳格化しないと不正を見抜ききれない」と釈明する。
平成25年に万引容疑で摘発された外国人の4割はベトナム人だった。警視庁幹部は「ベトナム航空ルートを断たなければ、ベトナム人による万引は根絶できない」としている。