Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
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写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

裏ヤンマ 其の二 ~裏ヤンマの季節~

2007年07月22日 | トンボ
なかなか訪れない梅雨明けに裏ヤンマへ思いを馳せてみる。

黄昏飛翔は、シルエットを見て、ヤブだ!マルタンだ!ネアカだ!・・・
と言いながら見ているだけでも飽きないものだが、写真に撮るとなると
難しいものだ。特にマルタンヤンマは、高いところか極端に低いところを
飛ぶので、撮影は困難だ。

大抵最初に飛び始めるのは、オオヤマトンボだ。
エゾトンボ族特有の腹端の膨らんだシルエット。


オオヤマトンボ ♂

昼間普通に池を飛んでいるので、シルエットでそれとわかると、ああオオヤマね・・・
となってしまうわけだが、♀は時にシルエットを見て「何だこりゃ!?」となることが
ある。未熟個体では翅端が煙り、腹部が異様に長細くなるからだ。

やがて沼辺で産卵をしていた♀が上空を飛び出すと、次第に裏ヤンマの数も増えてくる。


マルタンヤンマ ♀

大概♀は10メートル以上の上空を飛んでいて、とても写真にはならない。
その数メートル下をガードするように飛ぶスマートなヤンマを見かけることがある。
マルタンの♂ではない。ヤブヤンマだ。


ヤブヤンマ ♂

ヤブヤンマは上記のような独特の飛び方をするのでわかるが、シルエットを見ると、
腹部が非常に長く、格好いい。


マルタンヤンマ ♂

マルタンの♂はあちこちへ移動して忙しいらしく、高さも安定しないので、撮影は
困難を極める。8月後半になってくると、比較的低い場所をゆっくりと飛んでいたり
するが、そんな頃合いに限ってスズメバチが騒ぎ出すので、怖くて撮影に集中でき
ない。

7時近くなって、だいぶ暗くなってくると、前半のメンバーはいつの間にか姿を消し、
トリをつとめるネアカヨシヤンマが登場する。


ネアカヨシヤンマ ♀

彼らの飛翔高度は暗くなるに連れて徐々に下がってくるが、地表近くもシャドウになるので
目で追うのも困難になる。最後は目視で確認できるか、彼らが先にいなくなるか?の勝負に
なる。この頃が一番あわただしく賑やかな時間であるが、とても絵になる写真など撮れない。

今年は間近で飛ぶ裏ヤンマのバッチリなショットにチャレンジしたいと思っているのだが、
どうなる事やら・・・。


注意 この記事にコメントはできませんのでご了承下さい。

百蛾夜行 第五巻

2007年07月22日 | 
カトカラとシャチホコを求めて



そろそろ夏本番である。今日は地元の祭りだったが、ずいぶんとムシムシして、
雨も降り出しそうにないので、山へと出かけてみる。
やはりこれからは何と言ってもカトカラである。
裏ヤンマと並んで、蛾も本番ということになる。
同時に、山のシャチホコ探しも楽しみの一つだ。



しかし結果から言うと目的に関しては芳しくなかった。
時期としてはまだ尚早なのか?キシタバが少数出ていたほか、
かろうじて峠のポイントで地味にジョナスが得られたのみ。。。



寂しいのでシマカラスヨトウもカトカラの仲間にしてしまいたいくらいだ。
他にもモンムラサキ、モンシロムラサキ、シラフ、ウスムラサキなどの
クチバもそこそこ出ていて、大型種が増えてくると随分賑やかになって
くる。スズメガもクルマ、モモ、クチバ、エゾ、ウンモンあたりが常駐して
いるが、時々飛び上がって小型種を蹴散らしてしまうのには困らされる。

寄り添う似たもの同士



ウスムラサキクチバにコトビスジエダシャクが寄り添う。



ネアオフトメイガとシロフクロケンモン。全く違う仲間だが、
大きさも色形も割と似ている。



コヨツメアオシャクに誘引されているナミシャクの小型種。

ナミシャクともエダシャクともつかぬ未見の種類を見かけて
写したが、そんなときに限ってストロボの接触が悪くて
写せなかった・・・。



一度出会うと度々出会えるようになるのはよくあることで、
先日初見のクシヒゲシマメイガは、今夜は♂に会えた。



峠や渓谷で見かけたカラフトゴマケンモン。オオシモフリヨトウやタッタカモクメシャチホコ
と紛らわしい。似たもの同士の中では最も普通に見られる。三年ぶりの出会いだった。
この時期、他にも似たものが出る。今回は写さなかったが、ノンネマイマイがそう。
カラフトゴマケンモンよりやや小さく、個体数は更に多い。



あまりにも小さいので見逃してしまいがちな仲間も多いが、その中から初物を探し出せる
確率は高くなく、それだけに宝探しのような醍醐味もある。これは、残念ながら初顔では
ないが、あまりの小ささに毎度感動して写してしまう。写真では小ささがわからないが、
最小のコヤガ、アヤホソコヤガ。



この時期になると、蛾に混じってチョウも灯火にやってくる。
オオムラサキは比較的見かける頻度が高い。

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で、今回の初顔。今回は天気の割には地味だった。洞窟には行かなかったが、手前の
渓谷でヒョウモンエダシャクのボロが群れていたので、あまり期待できなかったろう。



1.ヘリスジシャチホコ・・・今回の探索の成果と言えよう。
2.ツマグロキリガ・・・ひたすら地味。スルーしそうになったが思いとどまって撮影の甲斐あり。
3.ヒロオビクロギンガ・・・猫のような毛並み
4.アカフツヅリガ・・・暗がりにいて、随分大きなワモンノメイガだなあと思って一応写しておいた甲斐あり。
5.クロクモヒロズコガ
6.マエモンヒロズコガ
7.ツマキトガリホソガ
8.クロオビハイキバガ


最近、地道にミクロの同定をやっていたので数日で自宅にいながら数十種の怪しい初物が増えたが、
それに比べると地味な成果だった。通算1370種。1400目指しつつ、次回に期待・・・。

蛾の遠征・・・楽しいけど、行きはよいよい帰りは怖いで、帰りがつらい!
タップリ二時間かけて帰ることになるので、睡眠を前もって十分にとっておかないと
やばい。奥地探索の時は、ダブルヘッダーは無理だ。。。もうちょっと近ければなあ・・・。

百蛾夜行は今回お休み

2007年07月18日 | 
先日、少しだけ山方面に出向いたのだが、時間もなくて麓にも
たどり着かずに昔のポイントだけ覗いて帰ってきてしまった。
昔のポイントは道の駅だが、最近は低山のポイントや山奥の
初顔ラッシュに目がくらんで、ほとんど出向いていなかった。
しかし、しばらくぶりに出かけた甲斐があって三種ほど初顔が
あった。


ナミグルマアツバ


コトビスジエダシャク 前翅長21ミリ


クシヒゲシマメイガ 前翅長17ミリ

しかし初顔三種ではいかにも寂しい。
すでに真夏に突入しようとしている頃だ。
7月も半ばを過ぎてもうすぐ夏休み・・・というあたりが一年で
最もウキウキする頃合いでもある。

そんな時期なのにすっかり低温続きである。
これでは山に出向いてもろくな収穫は望めない。
山に行くのも実は結構距離があってきついので、
車にも無理させたくないし、よほど勝算がないと、出かける気に
なれないのである。
そうでなくても、家の用事がこのところ目白押しで、少なくとも
子供の夏休みにはいるまでは気が抜けない。家事や学校のことで
緊張するのも変な感じだ・・・

そんなわけで、ここ数日はおとなしく自宅で同定作業にいそしんでいる。
同定作業と言っても、図鑑など持っていないから、もっぱらインターネット
での検索に明け暮れるわけだ。
古~い昆虫図鑑は一つ持っていて、これは小学校一年か二年の頃に買っても
らった結構よさげなやつなんだが、なにしろ昔の図鑑だし、蛾にかんしても
500種載ってるか載ってないか?ってな感じなので、ほとんど役に立たない。
原色昆虫百科図鑑というやつで、他の場所で同じものを多分見たことがない。
ほとんど役には立たないが、たま~に役に立つときもある。
先日、インターネットで探しても見つからなかった種類が、この図鑑の標本
写真を見てヒントを得て探したら見事見つかったのである。
その種が何だったか?忘れたのでまた思い出したら書くとしよう。
(多分クロクモシロキバガかな???)

さて、最近の同定作業で、結局、ヒメハマキ、マダラメイガを中心に15種ほど
の自己新種を発掘した。
最も間抜けだったのは、写し損ねて再会を願っていたはずのニシキシマメイガを
実は三年前に写していたことである。当時は同定力もかなり低かったので、今見ると
ファイル名も誤同定が結構ある。気づいたら直しているが、間違いとわかっていても
正しい名前を思い出せなくて結局面倒でファイル名を直してないのもある。

ヒメハマキ、マダラメイガは蛾の中でも難解種揃いだが、特にヒメハマキはインター
ネットに登場しない種類も多くて、なかなか調べが進まない。10種以上の未同定ヒメ
ハマキを引っ張り出してきたが、わかったのは半分行くか行かないか?だったろうか。
マダラメイガも難しいのが多い。
にわか同定なので正しくない場合もあるだろうが、とりあえず
ウスグロフタスジマダラメイガ、ギンマダラメイガ、ヒメエノキアカオビマダラメイガ、
(アクロベーシスはかなり怪しい)アカフマダラメイガ、ニシキシマメイガ(過去の写真
にその存在を見つけたとき、フィールドで本物に会ったときと同じくらいときめいた)
オオフトメイガ、ナミガタウスキアオシャク、シロテンシロアシヒメハマキ、ギンボシ
モトキヒメハマキ、ニセコシワヒメハマキ、クローバヒメハマキ、ニセシロヒメシンクイ、
クリミガ、ニセクロクモシロキバガ、ホソオビキマルハキバガ、メンコガsp.
と言ったメンツを自宅にいながら追加できた。もちろん怪しい同定もかなり含んでいる。


小雨の候

2007年07月10日 | トンボと蛾
さすがに週末のダブルヘッダーは効いた。。。
これからしばらく雨が続きそうだが、いい骨休めになりそうである。
雨がしっかり降っていると、安心して家事にせいを出せるのだが、
外が何となく明るいとソワソワしてきてしまう。

少しくらいの雨なら傘をさしながら観察撮影というのもいいものである。
所用もあったので、そのついでにフィールドを訪れてみた。

もう少し後か?と予想していたが、ノシメトンボに混じって、ナツアカネが
姿を現しはじめた。アキアカネは殆ど見あたらなかったようで、既に高所に
移動しているのかもしれない。


ナツアカネ1号 これから夏の間アキアカネの留守を守る

先日キイトトンボの交尾を写そうとして、嫌いな木陰※での撮影だったために
ピントが合わず、気合いを入れねば!と思っていたので、初心に戻って
キイトトンボの小雨ポートレートを少々。(最近老眼の進行も急激であるため
ファインダーでピントが確認しづらくなっていたように感じて、心のため息を
ついていたが、今日、カメラを調整していたら、視度調節レバーがズレていた
。。。)
※木陰にいると不意にスズメバチに出会う気がして、恐怖状態になる。。。苦笑。



曇りの日は見たままだと基本アンダーになるわけだが、どうもフォトショップ
のカラーマッチングがうまくいっていなくて、原画よりアンダーに処理されて
しまう。最近はデジタル画像もハイキー傾向が主流なので、フォトショップ上
で露光量を調節して処理することが多い。大体0.5段くらいオーバー目にすると
原画(他のソフトで開いたとき)のニュアンスになる。
後で時間があるときにモニターのキャリブレーションをして見たら、
やはりアプリ毎の設定の互換も含めていつの間にか相当ずれていた。
これでアプリケーション間の食い違いは解消されるだろう。


キイトを写していると、傍らに光る物体が見えた。
何とタマムシであった。
二枚ほど全身の引き気味ショットを貰ったあと、捕まえようと手を伸ばしたら
ポトッと落ちて見えなくなった。せいぜい30センチほどの草に止まっていたの
見つからないわけがない・・・と探したが一向に見つからない。あきらめて、
立ち去ろうとしたら、足の下に異物感が・・・まさか!?・・・と思ったら
我が足の下敷きになっていた。ポトッと落ちた後、微妙にこっそり移動して
いたということか?憐れタマムシは道ばたの厨子に成り果てたか?と思われた
が拾い上げてみると、妙にきちんと足を揃えて縮こまっている。どうやら擬死の
ようだ。我が足もタマムシの危険をいち早く感じ取って踏みつける一歩手前で
サッと上がったようである。
そこで指にとまらせて数枚ショットを貰う。そのうち、タマムシも暇つぶしに
飽きたのか?空高く飛び去った。子供の頃はなかなか会えない憧れの虫だった。



ここのところ連日の低温で、日中裏ヤンマ画像も望み薄であるが、一応チェックしつつ
所用のための財布を車に置き忘れたことに気づき、そのまま車に戻ることにする。
途中、道ばたの木の幹に隠遁者の姿を発見。なんと古の珍種フシキキシタバであった。



また機会があれば小雨の撮影を楽しみたいものである。

百蛾夜行 第四巻

2007年07月07日 | 
豹紋の夜

すっかりルーティーンとなってしまった週末の山奥回りである。
ここのところ毎日朝が早いので、夜は眠気との戦いになってしまう。
七夕の前夜は、どんな蛾で埋め尽くされているのだろうか?

下界は雨がぱらぱらしていたが、山にさしかかると地面は乾いていた。
しかし月も出ておらず、まあまあの夜となった。
低山のポイントでは、蛾影もまあまあだ。これは期待が持てるかも?

わざともったいをつけてゆっくり見回ってみると、早速初物を見つけた。
いずれは必ず出会う種類の一つと思っていたセアカヨトウである。
装飾を施した青銅器のような渋い模様が特徴だ。
曇りの晩と言うことで、蛾の動きもせわしなく、下手に踏み込もうとすると
たちまち物好きのホソバやらなにやらがたかってくる。
今年の救いはカメムシの少ないこと。去年はこれがどこに行っても沢山出て
その悪臭たるや耐え難いものだった。今年は蛾以外の昆虫は地味だが、ふと
見渡してみると偶然の産物か面白い光景も見られる。


一瞬異種間交尾かと思ってしまった微妙なショット。
象がキリンに恋をした話は有名だが、これはさすがにないだろう。



夏になるとこういう光景も見られる。
オオムラサキ、スジグロチョウ、時にはゼフィルスもやってくる。
これはゼフィルスではないが、夜のトラフシジミ。


そんなこんなで他の虫に目がいっていると言うことは、蛾の収穫はさして
芳しくなかったとも言えるのだが、まあまあそこそこ面白い初顔には
出会えた。アオケンモン、クロフシロエダシャク、そしてコスカシバも紛れ込
んできていた。
このあたりのメンバーも、いずれは山でお目にかかれると予想していた連中だ。


七夕前夜の初顔其の一 
1.ナカシロオビエダシャク(初ではない) 2.アオケンモン 3.フタスジアツバ 4.クロフシロエダシャク 
5.キオビカバスジナミシャク? 6.ルリモンシャチホコ 7.セアカヨトウ

1は当初、よく調べずにクロスジハイイロエダシャクと記していたが、
ちゃんと調べたらナカシロオビエダシャクの変異と判明(一種減....)


カトカラはワモンが一頭と寂しく、その他、ミクロ系もそこそこ怪しいのが出たが、
あまり長居するのもなんなので、小一時間で切り上げ、標高を上げにかかる。

まずは峠のポイント。
天候はまあまあだが、飛び回っている蛾は小型種が中心だ。大型種はエゾシモフリ、
クルマ、ウンモンなどのより低地でも会える仲間しかおらず、目新しいところでは
ハンノケンモンの姿が目立ったが、生体は初めてではあるものの初物ではなかった。
ここでは、もういい加減会っても良さそうなものと思っていたルリモンシャチホコ
とマダラメイガのDioryctria sp.を新たに得たのみ。


マダラメイガトリオ 
一番左はまだ調べていない(初顔かどうかは微妙)。真ん中はおそらくヒメトビネマダラメイガ(初)。
右は、Dioryctria sp.(初) 割と大きく、暗がりで見たらツヅリガの一種に見えた。


カトカラは皆無。大した蛾影もなく車の往来も少なくないので、別場所へと移動する。
とりあえず洞窟&自販機ポイント。二週間ほど前、下界はこの蛾の姿ばかりが目についたが
今や山奥で盛りである。しかも他の蛾は殆どいない!いてもホシオビコケガやまだ調べてない
小型のキヨトウ系、ミヤマエグリツトガ e.t.c.・・・といった何とも地味なメンツだった。
かろうじて自販機でキオビカバスジナミシャクではないかと思われる小さなナミシャクを
見たに留まった。この仲間は新鮮な個体の綺麗さは幾ばくかと思うが、残念ながら擦れた個体
ばかりに出会う。


ここで繁殖しているのか?と勘違いしてしまいそうな光景


ヒョウモンエダシャクはチョウっぽいメジャー感の漂う蛾だが、よくよく見ると、前翅は
白地に墨を吐いたような色合いである。墨の黒という色と白の織りなす色世界は幽霊画など
にも見られるが何ともいえず不気味でその配色を見ると本能的に恐怖感を感じる。美しくも
あるが怖さも持った蛾と感じる。目の良い鳥もこの配色を見て恐れをなすのではないだろうか?



ちょうど旬なのだろうが、山奥まできてこれとは・・・
何とも呆れる光景だった。


ここも早々に見切りをつけて、今度は林道の集落付近へと向かう。
手前の分岐点でクロテンケンモンスズメを見かけたが、写す気も起きなかった。
少し進んだ先の明かりでも蛾影は地味で、ノコメセダカヨトウやホシシャク(生体は
初めて)などが見られただけで、すぐさま見切りをつけた。かろうじてウスイロアツバ
の初顔があった。


明かりに来ていた大型のクワガタ♀

残るは頼みの綱、渓谷沿いのポイント。
蛾影は少なくはないが、なぜかどの個体も擦れている。


七夕前夜の初顔其の二
8.ウスイロアツバ 9.ハスオビマドガ 10.コスカシバ 11.オオナミスジキヒメハマキ? 
12.ホシギンスジキハマキ 13.シロアシヨツメモンヒメハマキ 14.ツマグロギンハマキ
キヨトウ系などまだ調べていないが、現状不明のマダラメイガ一種を除き15種追加。


無期限暫定 テンオビヨトウ(初) 16種追加 通算1333種目
※その後の調べで過去に見ていて同定していなかった二種ニセクロクモシロキバガ、
キタウンモンエダシャク(いずれも6月撮影)を追加し、7/10現在で1335種となっ
ている。


結局、最後のポイントでは、ずっと探していたフタスジアツバにやっと会えた他、
擦れた新顔を僅かに得られただけに終わった。
今回、初顔はそれなりに出たが、今ひとつ派手さに欠ける夜だった。
帰り道にタカネの羽化でも。。。と最初思っていたが、既にその気は失せていた・・・笑い。


ホシシャク、ハンノケンモン(右上)、同開翅状態(右下)はいずれも生体に会うのは初めて。
バンタイマイマイ(左下)は埼玉では初めてお目にかかった

憧れのベニイトトンボ

2007年07月06日 | トンボ


ベニイトトンボは子供の頃からの憧れだった。
身近な田んぼでキイトトンボを見ることは出来たが、ベニイトトンボを
見ることは出来なかった。

埼玉に限っても、1970年頃までは県内のあちこちで見られたらしい。
その頃までは身近に適度な茂みのある水辺がたくさんあったことだろう。
ベニイトトンボは水際の茂みを住処としている。近似のキイトトンボが
明るい場所へ積極的に出てくるのに対し、本種は茂みの奥へ奥へと潜り
こむ習性がある(そのために綺麗な写真を撮るのが難しい)。
環境整備の為に茂みのある水環境が減ってしまい、必然的に数を減らし
たのかもしれない。

身近な水辺で思い当たるのは、昔至る所の農家で見られたカワドや裏庭の池
である。1970年頃までは、こういった場所でハグロトンボやカトリヤンマが
発生していたと考えられる。よく人家に飛び込んできたというヤブヤンマも
屋敷毎にあった小さな水辺で発生していたと考えられる。農家の裏庭の小さ
な池でヤブヤンマが産卵している光景を思い浮かべただけで、何だかワクワ
クしてしまう。。。

          閑話休題

それが70年代後半あたりから急激に産地を減らし、気がついたらベニイトは
日本全国でも希少種となってしまっていた。
ベニイトトンボは自分にとっても実質的になかなか出会えない存在になって
しまっていたが、嬉しいことに最近は少しずつ復活しているという話もきく。



茂みをかき分けて水辺に出たとたんにこんなカップルに出会ってしまった。
勿論写さないわけにはいかない。
しかしアシの葉がじゃまをしてなかなか写させてもらえない。
しかも、かなり低い位置に止まっていて、精一杯しゃがみ込んで狙っても、♂♀に
ピントを合わせることは出来なかった。



そうこうしているうちに交尾を終え、いよいよ産卵体勢に入った。
イトトンボの♂が連結体勢で立ち上がる格好は何とも絵になるが、うまいこと写し込む
のは難しい。



そばではぐれ♂が羨ましそうにこの光景を眺めていた。

ベニイトトンボの棲む水辺には、他にも色々なトンボが棲んでいる。
懐かしい平地の池沼に棲息する種類だ。



オオセスジイトトンボはその特殊な生活環境故、全国的に希少種である。
ベニイトトンボと生息域が重なることも多い。鮮やかな青い♂はなかなか
写すことが出来ない。



大食漢で知られる本種の♀。他のイトトンボを食べている。
大型種で色も鮮やかなだけに、連結は絵になる。


オオセスジイトトンボと同じような分布をするオオモノサシトンボだが、
なかなかオオセスジとセットで見ることはできない。



水辺の茂みから何かヤンマが飛び上がった。運良くすぐ近くに止まってくれたのを
見るとアオヤンマだった。低湿地の定番種だが、近年なかなかお目にかかれない。
体色は迷彩色として十分以上に機能し、茂みにいる姿をこちらが先に見つけるのは
至極至難の業だ。

イトトンボの中には見分けの難しい種類も多い。
その資料集めにイトトンボの宝庫へと出向く訳である。
しかし、なかなかそうは問屋が卸さないものだ。
ムスジイトトンボは水面にクロモやマツモの生えるような池を好む。
意外とセスジイトトンボとおおっぴらに混成することは少ないが、
よく探すと両者を見つけることが出来る。



ムスジイトトンボ♀の標識は、水色矢印で指し示した背中のくぼみ。
セスジイトトンボ♀とある画像だが、どうも怪しい。ハイブリッドだったりして???



アオモンイトトンボの♀も実はなかなかに出会う機会が少なく、資料を
集められないでいたが、ちょうど狭い空間にアオモンとアジアの♀を
見つけることが出来た。



アオモンイトトンボ♀ 成熟するとかなり地味で、一見アジアイトトンボとの区別が
難しいが、並べてみると一回り大きく、色もどす黒い感じがする。

裏ヤンマ 其の一

2007年07月03日 | トンボ
「裏ヤンマ」という単語は、当方が勝手に作ったものであるが、
人によっては大いに共感してくれたり、はたまた人によっては、
何だー?!と眉を顰めつつも説明を聞いて納得・・・みたいな
感じで、反応も様々である。
本当はもうちょっと和風な感じに凝って作りたいのだが、時間も
もったいないので、不本意ながらとりあえずのプレートを作った。笑い。



いずれ屏風絵みたいに作り替えようかと思っている。笑い。
こちらは拙著 埼玉蜻蛉紀行pdf(2001.11.14発刊)より...
http://homepage2.nifty.com/KUNIKAMINUSI/urayamma.html
これ紙で出したかったけど、産地情報を結構載せてるので、今となっては出せないね・・・ああ世知辛い・・・苦笑

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さて、今シーズンも夏に突入し、裏ヤンマの季節となった。
まずはその第一弾として、初夏に出る裏ヤンマ・ヤブヤンマをキャプチャーしに出かけた。

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天気予報では晴れて30度を越えるとのことであったが、晴れ上がる気配は一向になく、
むしろ肌寒いくらいなもんである。
目的地について、早速にヤブとタカネの羽化殻を確認するものの、この天気では何も飛びは
しない。小一時間ほど待ってみたが、タカネの♂が一頭、時々やって来ては消える程度だった。



タカネトンボ 羽化殻


ヤブヤンマ 羽化殻




まさかこんな小さなトンボがいるわけないよな・・・
と思って写したらムシヒキの一種のようだ。


またの機会にしようか・・・とあきらめて帰りかけたが、もうしばらく待ってみると、
下手をすれば降りそうな天気だったのが、陽も射すようになってきた。昼頃になると
気温もぐんと上がりだした。

するとまず、タカネの♀がやって来て産卵をはじめる。♂共々とても手に負えるよう
な代物ではない。よくこんなのを写せるなあ・・・としみじみ思いながら見送る。
タカネの♀はしばらく出たり消えたりしていたが、今度はヤブヤンマの♂が飛んでき
た。飛翔写真も撮りたいのだが、落ち着きなく飛んでいるので、とても撮れそうにな
い。♂の先遣隊が去るやいなや、♀がやって来た!
しばらくはホバリングをするでもなく、とまるでもなく、周囲をウロウロしていたが
、やがて岸辺に止まって産卵をはじめたようだ。
いつものように、ストロボをセットして写す。ヤブ♀の産卵時は同時にホバリング撮
影のチャンスでもあるわけだが、産卵に集中し出すと、なかなか飛んでくれない。
そおーっと脅かして飛び上がらせると、しばらく様子伺いでホバリングしてくれるの
で、そんなときがチャンスだ。


200mm★MacroF4 f=8.0 1/180 ストロボ1/8?
200mm★MacroF4 f=4.0 1/180 ストロボ1/32

何枚か写すことが出来たが、思ったように近寄れず、あまり芳しいショットは得られなかった。

トンボは飛んでこないときは暇で仕方ないが、一頭飛び出すと、次から次へとやってくるので、
急に忙しくなる。(仕事と同じだ・・・苦笑)
足下でばさばさ羽音がしたので見ると、今の今まで気づかなかったタカネ♂の羽化不全が一頭。
せっかくなので顔の度アップと、生殖器の写真を撮らせて貰う。


ナントカXールド・・・(笑)


ヤブヤンマ♀は二頭飛来しており、時々鉢合わせになると、お互いに警戒するようにグルグル
回って空中で絡んでいたが、産卵場所のテリトリーみたいなものだろうか?それにしても♂のよ
うに激しく争うことはない。
その内の一頭が日当たりの良い場所に陣取った。これは自然光撮影のチャンスだ!
そーっと近づき、何枚もシャッターを切る。しかし、いつもの癖で、気がつくと度アップばかり
撮ってしまう。あとでチェックしたら、光線状態は良くキャプチャーできたものの、ロー具合が
全く足らないいつもの角度のショットばかりでがっかりしてしまった。半ば以降、タカネでまた
来るかもしれないが、その時にチャンスがあったらその辺に注意して撮影できればと思った
・・・反省。


ヤブヤンマ 産卵 200mm★MacroF4 f=4.0 1/500
いい色では撮れたが、撮影角度がなっとらん!反省。。。



ヤブヤンマ 産卵 200mm★MacroF4 f=4.0 1/125(ブレずによく踏ん張った!感動した!)
暗い場所なので自然光で写せたのは何よりの収穫。でも度アップ癖が治らなくなった・・・苦笑。
やっぱりフルサイズ一眼じゃないからこうなっちゃうのかな?



ヤブヤンマ♀の度アップ

遅まきながらブログ作成記念にあの懐かしい「故郷・埼玉のトンボpdf(ver.2.0)」の
オーバービューダウンロードサービスを実施します。こちらからどうぞ!

http://homepage2.nifty.com/KUNIKAMINUSI/OVERVIEW.pdf