Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
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写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

仕事の谷間には遠征あるのみ!

2008年06月28日 | トンボ


もうすぐ今年一番の大仕事を迎える。
リハーサルは順調に進み、あとは仕上げと本番を残すのみとなった。
そんな中、いいタイミングで仕事の谷間が出来た!

真面目に仕事をするフリをしながら、この機会をずっとうかがっていたのだ!
もう行くしかない!
今年はここ数年になく燃えている私目である。

そして向かう先は・・・遙か250キロの彼方である。
逢えなければ逢えないほど思いは募るのが人情というもの。
この際、距離は関係ないのだ。

昨夜は、仕事が早めに終わったこともあり、朝7時にかろうじて目が覚める。
子供を叩き起こし、車に乗せ、取るものもとりあえず勇んで出発する。
最近流行のエコドライブよろしく、往路は時速80キロと控えめに、しかし
確実にノンストップでひたすらアクセルを漕いだ。
県境を越えると、さすがに自然度の高さに圧倒される気がする。
以前、東京から遙か彼方の山寺まで、数百キロの温泉旅行をしたことがあったが、
それ以来の北方遠征である。

昼前には目的地に着くつもりだったが、道すがら、偶然よさげなカラカネ池をみつけたので
ちょっくら寄ってみることにする。
案の定、カラカネがそこかしこを飛び回っている。
ロケーションも開放的な場所で、日中撮影には最適!
しかし・・・もうだいぶ成熟して脂がのっているせいか?
非常に動きがスピーディでついて行けない!
池面にはクロイトの姿がやたら目立ち、それにオオイト、
たまにエゾイトが混じる。



エゾイトは落ち着きが無くて、いつも満足なショットが撮れない!
何かのついでに写すことが多いせいもあるんだろうか。

他は、コサナエにヨツボシ、ショウジョウ(記憶不確)
、オオヤマ・・・といった感じで、
そのあたりの野池の常連という感じだ。
結局30分ほど粘ったが、モノに出来なかった。。。
そういえば、今日の目的はこれではなかった・・・!
こんな事をしている場合ではない!
今度は、目的地へとまっすぐに向かう。
(途中、本物のツキノワグマを見かけた。のんきそうに道路を横断していた)

駐車場に車を止め、いかにも観光地といった風な広場から階段を下りると、
そこは屋根付き中庭のような趣といったらいいのか?うまく形容出来ないが、
ある意味不可思議な空間が広がっていた。

今回の目的のトンボの生息地として、マニアには広く知れ渡っている場所であろう。
こんな感じの色の池が特徴だ。



鮮やかな色といえばそうだし、写真で表すのもなかなか難しい・・・というか、
別に写真で表現しなくてはいけないわけでもないんだが、バスクリンを溶かしたような
池?という感じだ。こう書くと、なんかあまりよい印象を持たないように思われがちだが、
美しくて素晴らしいところだと思う。ただ、今回は、トンボを写すことしか頭の中にはなく、
景色を味わうどころではなかったのと、いかにも観光客が非常にたくさんいて、池の写真を
撮りまくっていたこと・・・などの印象しか残らなかった。
そういえば思い出した!「昔の絵はがきの色」みたいな池だ!

そんなこんなで散策をはじめたが、なかなかお目当てには行き当たらない。
一カ所、ここにいなければどこにいるんだ・・・という場所にたどり着いたが、
やはりなかなか見あたらない。
・・・ひょっとして、やばいかも?
と思い始めた直後、草むらにその姿を発見!
見事なコントラストの「♀」だ。



この個体をはじめ、あたりのトンボ類は、「人間慣れ」していないそうで、
人を全く怖がる様子がない・・・というか眼中にないようだ。
それにしても、「♀」・・・・か・・・・
♂はいないのか?・・・   ♀一頭だ。。。。

・・・・♂はいない。

うーむ、♂の色あいを味わいたいがために来たようなものなんだが・・・。
そんなわけで、そこはあきらめ、更に先へと進む。
あまり先に進んでしまうと、何分、子連れ故、帰り道のことが心配な訳だ。
できればとっとと写して引き上げたいのが本音だ(笑)。

そこで、早く見つけられるように、子供にも特徴を教えて、
一緒に探させることにした。
少し進んだところで、先を行っていた子供が、
「見つけた!」という。
どれどれ・・・何と!   
こりは、オオシオカラトンボではないか!
確かに色合いは似ておるが、探しているトンボとは姿格好が全く違うであろう!

オオシオカラトンボの数メートル先に、ちょっとした草むらがあった。
この辺にいるかもね・・・とちょっと入ったところ、喧嘩中の二頭の
青いイトトンボを発見。
一頭はエゾイト、そしてもう一頭は!今回の目的の♂であった!



傍らの大きな石にもたれかかると言うより、殆ど寝ころんで写している
私は他の観光客にどう写っただろうか?
この♂、かなり気が強く、他のトンボはおろか、当方のレンズにも果敢
にアタックしてきた。その時は気づかなかったが、あるいはレンズのガ
ラス面に写った自分の姿に反応していたのかもしれない。
そして、ざっと見渡した限りでは、♂の姿ばかりがあちこちに見られる
ではないか。
結局、出会った♀は最初に出会った一頭のみだった。
まあ、兎にも角にも、目的の初顔を得て、意気揚々と引き上げることと
する。

せっかくの遠路、このまま帰るのももったいないので、先ほどのカラカネ
池に寄ってみる。往時に寄ったときとそう変わらず、イトトンボで賑わっ
ているが、一頭、オツネントンボ♀が飛来すると、クロイトトンボの♂が
こぞってオツネン♀に絡んでいた。まるでいじめ現場を見ているような感
じがした。(あるいは、オツネン♀のフェロモンに反応していたのかもし
れない)



相変わらず、カラカネの動きはせわしなく、殆ど写すことが出来ない。
ウンコ座りをするのも結構疲れるので、車に戻って、ローチェアーを
持ち出し、座って撮影することに。
チャンスは何度となく訪れるが、どうもカメラの調子もおかしい。
ピントが来た!というところで、シャッターを押そうとしても切れな
い!!!
どうも本体のAFMF切り替えがバカになりかけているようだ。
どうにかこうにかピントの今ひとつ定まらないショット。


こうしてみると、かなり老熟してきているのがわかる。

夕方近くなって、♀も時々やってくるようになった。勿論産卵の為だ。
背後から大きめの羽音と共に、オオトラフの♀が尻を上げながら飛来
した!しかしそのままどこかへ行ってしまった。オオトラフとの再会
はいつのことか・・・。


エゾトンボの仲間は、自分の見た限りでは、交尾アタック成功率はかなり高いように思える。
たまたま子供が見ている目の前で、産卵していた♀が♂に捕捉された!



ピント合わせたつもりが、かなりのピンぼけ一枚しか撮れなかった。
でも決定的瞬間を親子で見られたことでかなり満足はした!
確かまぶたの奥に焼き付いているのは、♀を水面に押さえ込む♂という
図だったのだが、写されていたのは、その後、頭を水面に突っ込み、
おぼれかけながらも尾端で♀の首をつかもうとしている♂の図だった。

そんな具合で、得られたショットは少なめだったが、仕事の谷間を自分
の為に有効活用出来、これで思う存分、仕事にせいが出せそうである。
ちなみに御利益あって、明日は雨のようである。

33年ぶりの再会の為の無謀な遠征

2008年06月01日 | トンボ


去年は冷蔵庫の故障のために、見に行き損なっている。
それで今年こそは。。。と思っていた。
しかし、タイムリミットと思われた五月下旬の週末は例によって雨!
今年もダメかとあきらめかけたが、翌週の日曜は一時的に晴れ間が出るという。
片道300キロ。朝早くに出れば不可能ではない距離だ。
しかし、今の自分の状況では難しい。
そして、ギリギリになって思いついた。
子供を巻き込んで、前夜に出奔し、一泊して朝現地に臨む!
実に無謀な計画だった。

前日夕方、支度をすませ、車に乗り込む。
気の利く次女は、率先してタオルやら下着やらをやたら多く詰め込んだ。
夜半までに近場に着けば問題なしと踏み、下道を通って途中ラーメン屋で
夕食をすます。

現場近くのSAに陣を構え、とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着き、
就寝することとする。
最近は、朝方な自分なので、問題なくすぐに寝入ると思っていた。。。
しかし目論見は崩れた。

静かに目を閉じ、楽な姿勢をとって寝ているつもりだが、一向に睡眠に落ちないのだ。
心配なのは、翌日の帰りなのである。
高速を200キロあまり睡魔に襲われずに運転しきれるだろうか?
しかも日曜。帰宅を遅くするわけにはいかない。
それでも必死に寝ようとするが、睡眠に墜ちた覚えがないまま、
明け方次女のトイレコールで起きあがる。

なんて事だ!絶対に眠れると思っていたのに・・・。
こうなったら帰りの運転の為の気力を最大限残しつつ、休み休み帰るしかない。。。

しかし、次女に訊くと、おしっこコールをする前、私は大いびきをかいていたという。
ということは、少しは眠れたと言うことだ!
何とかなるかもしれない。
暗示と言うべきか?体と心が若干軽くなった。

それでも、予定を前倒しするに越したことはない。
7時前にはSAで軽食と飲み物を調達し、現地へと向かう。

現地に着くと、さすがに駐車場には他の車はない。
何と33年ぶりである!
しかし、その沼は、自分の記憶にある33年前のその沼の姿とは
ちょっと違っていた。
よくよく思い出してみると、ビジターセンター向かいの草原、及び、
トンボ茶屋のあたりは、昔、バリバリの沼地だったように思う。
たしか、そのあたりで自分はショウジョウトンボやモノサシトンボやキイトトンボの
ヤゴをすくっていたような気がするのだが・・・
ビジターセンターから向かって左の工場は昔からあったような気はする。

とにもかくにも、沼の周りを回ってみることにする。
観察路を真面目に回ってみたが、沼縁から離れた山道を散策するだけのコース!!!
なんだこれは?
それだけ貴重な環境というのはよくわかるが、これでトンボに満足に出会えるのか?

案の定、会えた面々には申し訳ないが、ろくな種類には会えない。
沼縁を飛んでいるのは、まあ時期的にそんな時期なんだが、コフキばかり。



ムカシヤンマの飛びそうな山道で出会ったコシアキ♀。
妙に綺麗で、思わず写した。そのあたりにいたのは、ハラビロ、クロスジギン、モンキアゲハ。

結構きついアップダウンを繰り返すコースをヒイヒイ言いながら回ったが、
案の定、足が筋肉痛になった。
それでも、お目当てのトンボには会えない。

片道300キロの骨折り損になってしまうのか?
焦りはじめたが、時計を見るとまだ8時半前。
33年前の記憶を便りに道を移動する。

水辺に出ると、いきなりイトトンボが飛んできて、
自ら進んで我が指に止まった!



なんという熱い歓迎ぶりか!
ブレ気味だが、気持ちがありがたく、記念ショットを撮らせて貰った。

撮り終わるやいなや、傍らに、今回の再会相手がいるではないか!
早速子供に教えようと振り向いた眼前に、アオヤンの姿が!
数年前、近所で見たのと同じ光景だ!
何とも言えぬ見事な若草色の♀が
草むらの蜘蛛の巣をつついている。



焦ってピントが合わせられないままシャッターを切り、
ボケ写真しかとれない。件の♀は、傍らの樹上にサナエのように止まって
蜘蛛を食っていた。
とりあえず、再会相手の写真を撮りたい気持ちが強く、アオヤンの深追いは
止めることにした。



天気は予報通りというか、まあまあ好天ではあったが、晴れ間の出ている時に限って、
敵は動きに落ち着きがなく、やっとピントを合わせられたと思ったときには、必ず
空は曇っている。羽のくもりが老熟度合いを物語っている。出来ればピカピカの個体を
写したいというのが人情というものではあるが、出会った個体は全てこんな感じで、
時期的に致し方なし。むしろ、待っていてくれた事に感謝の意を表したい。
それでも何枚か記念ショットを押さえ、水面に目を移す。

早くも夏のトンボの舞台になろうとしていた。
再会相手は、どちらかといえば茂みに隠れてひっそりと余生を過ごしている風だった。
水面を飛ぶのは、コシアキ、コシアキ、コフキ・・・コシアキ、コシアキ、コフキ・・・・おや?
一頭違うのがいる!
トラフだ!
これもかろうじて間に合った。
しかし・・・・すぐに消えた。

思うのだが、これは!というシャッターチャンスはいつも複数が同時に訪れる。
まあ、トンボの生理とでも言うべきものだろう。

数分後には、既に祭りの後・・・といった感じである。



はやる心を抑えつつ、ウチワヤンマの抜け殻でも写してみる。
夏のトンボといえば、やたらに多かったのが、モノサシだった。
むしろ、キイトトンボはこれからという感じで、少なかった。
子供にせがまれ、低くて写す気のなかったモノサシ交尾を写してみる。
イトトンボの連接、交尾は低いところでやられると、困ってしまう。
今後のためにも・・・と思って、ギリギリまで低いアングルから狙う。



そこでそうしてばかりもいられなくなり、沼を一周してみることにする。



ところどころ木々の間から、沼縁が見渡せ、アオヤンが飛んでいた。
憧れの花だったタヌキモの群落には、クロイトトンボ夫妻が止まっていた。

薄暗い林縁まで進むと、なにやら黒いトンボが飛んでいる。
一瞬、トラフ?と思ったが、違っていた。ホバリングしている。サラサだ。



自分にとっては、トラフ>>>>>>>>サラサという感じである。
初心者の人が、時期的にはトラフから先に出会うため、トラフよりもサラサを
珍重している記述などを見ると、トラフの貴重さを知らぬとは!!!と実に
イライラしてしまう(笑)。

今日はもう一つの目的があり、それは春のTrigomだった。
しかし、これも時期的に遅かったようだ。
かろうじて、それらしき細身のトンボが飛ぶ姿を見たのみ。



映画のロケに出てきそうな見事な沼姿である!





最初の歓迎ぶりが派手目だったので、かえってあきらめがつきにくくなり、最初の
場所に戻ってきた。
するとまたもやアオヤンが同じ場所に!!!今度は♂だ。
しかし、今度はフレームにも入れられずに終わった。
何年後にまた来れるかわからんが、ポイントとして覚えておくことにしよう・・・。

ふと見ると、羽化直後の綺麗なコフキ♀がいる。



オビトンボでは、こんな感じのままだが、通常♀ではなかなかこのステージの姿には
会えない。きれいなもんだ。



はしゃいでいる子供の後ろに・・・ベニイトの姿を発見!
しかし、子供の振り返るアクションが大きすぎて、焦って沼辺に逃げ込んでしまった。
そのあたりをみやると、複数のベニイトがいるではないか!
随分早い出現だ。





帰り道、睡魔に襲われることを覚悟して臨んだが、奇跡的に、睡魔に襲われずに無事帰宅できた
のは、今日の一番の収穫だったかもしれない。暗示がきいたのだろうか?